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最強魔導師は不毛の大地でスローライフを送る ~凶悪な魔物が跋扈し瘴気漂う腐界でも、魔法があれば快適です~  作者: えぞぎんぎつね


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65 新設備の相談

 お昼ご飯を食べて、後片付けをしながら、俺はふと考えた。

 今まで俺が必要だと思う建物や設備を中心に作ってきた。


 だが、俺が気づいていない需要だってあるはずだ。

 ここらで皆にほしい建物や設備について尋ねるべきではないだろうか。



 そこで、後片付けを終えた後、俺は皆に尋ねてみることにした。


「みんな聞いてくれ!」

「どしたの?」「なに~?」

『なでてくれるわんか?』『あそぶわんか?』


 子供たちとコボルトたちが集まってくる。

 フィロとカトリーヌ、ノエルは俺の方を見た。


「リラとミア、ジルカとシルヴァ、聖獣たちも聞いてくれ」


 俺はコボルトたちを撫でながら呼びかける。


「聞いているが?」「うん、なに?」

「なんであるかー?」「聞こうではないか」


 全員の注目を集めた後、本題に入る。


「この拠点にも仲間が増えてきたわけだが、欲しい設備や建物はないか?」

「せつび? うーん」「建物かー」


 子供たちは真剣に考え始める。


「今すぐじゃなくてもいいのだけど、考えておいてくれると嬉しいな」

「わかったー」「でもおもいつかないねー」

「うん、べんりだものねー」「瘴気もないしね! お腹いっぱい食べられるし」


 子供たちは今のところあまり不満を感じていないらしい。

 一方、コボルトたちは尻尾を振りながら、舌を出して「はぁはぁ」いって俺を囲む。


『なでなでばしょがほしいわん!』

「なでなで場所? それって、どんな場所なの?」

『えっと、みんなが、こぼるとをなでなでするばしょだわん!』

「ほほう……ちなみにどんな機能があったらいい?」

『えっとー、ねっころがれるばしょだといいわんねー』

『みずがのめるといいわん!』『おやつもたべほうだいだといいわんねー』

『ひかげだといいわん』

『あ、でも、すずしい日にひなたぼっこもしたいわんねー』

「なるほどなるほど」


 それがコボルトたちが考える最高の環境なのだろう。

 俺は少し考える。皆でのんびりお昼寝とか休憩したりお話できる建物が欲しいのかもしれない。


 今の家でも似たようなことはできるだろうと思わなくもないが、場所も物資も余っている。

 新しく建ててもいいだろう。


「じゃあ、こういう感じで……、窓を大きめにして……」

『わふわふ?』


 俺は地面に指で簡単な設計図を描いていく。


『まどをあけたら、かぜがはいるわんね?』

「そうそう。寒い季節に窓を閉めたままでも日差しが入るようにガラス窓にする?」

『いいかんがえだわん!』『がらすなら、すなから、つくれるわんね!』

『とくいだわん!』

「おお、すごい。さすがは大地の精霊だね!」

『ほめられたわん!』


 撫でられ待ちをしているコボルトたちを撫でまくる。

 ガラスの主原料は砂に含まれる石英だ。

 砂も土と同じく大地の精霊の領分だから、ガラス作りも得意なのだろう。


「床は、他の家と同じで木でいいかな?」

『いいわん! きのうえにけがわをしくわんねー』

「うんうん。日向ぼっこができるように、テラスも作る?」

『いいわんね! てらすもきでつくるわん』『きのあたたかみをかんじるいえだわん』

『うずうずしてきたわん、つくってもいいわん?』

「もちろん良いよ!」

『やったわん!』『すぐにつくるわん!』


 コボルトたちは楽しそうに走って行く。


「もっもー」「わふわふわふ」「がうがぅ~」「わう」


 モラクスとペロ親子はコボルトたちを手伝うことにしたようだ。

 コボルトたちの後を尻尾を振りながら追っていく。


『ペリオスとペリーナで木をきってくる』『きをきるの得意』

「あ、さっき伐採した木があるけど使う?」


 土壌改良魔法陣を描く前に伐採した木がたくさんあるのだ。


『こんかいは、つかわないわん』

『ほそいわんからねー』


 どうやら、幹の太さなどにこだわりがあるようだ。

 使わなかった木は、別の建物を建てるときに使えば良いだろう。


『ぺりおすとぺりーなに、おねがいするわん!』

『このぐらいのきが、さんじゅっぽんぐらいほしいわん』

『まかせて』『ぺろとモラクスもおいで。魔法おしえる』

「わう」『もらくす、いく』


 ペリオスとペリーナは魔樹を伐採するついでに、ペロとモラクスに魔法を教えてくれるらしい。


 以前からモラクスは魔法を習いたがっていた。

 俺も少しだけ教えたが、最近は忙しくて教えていなかったのだ。

 それに、人族の魔法より聖獣の魔法の方が、モラクスに合っているだろう。


「ペリオス、ペリーナ、ありがとう! 助かるよ」

『ありがと』

『れいにはおよばない』『ペロもモニファスにおそわっているから。お礼』


 俺とモニファスがお礼を言うと、ペリオスとペリーナは尻尾を揺らす。

 ちなみにモニファスはエルフの子供たちの子守をしてくれている。

 子守も大切な仕事なのだ。


「コボルトたちは建築が好きなのね。ペロもご両親が戻ってきて良かったわね」


 リラが、拠点の外に駆けていくペロたちを見ながら呟いた。


「リラはどうだ? なにかほしい設備とか建物はない?」

「私はすでに神殿を建ててもらったから」

「新しい神殿の設備とか建物とかでも良いよ?」

「今のところはないかも……。思いついたら言うね」

「そうしてくれ」


 リラも子供たちと同様に、今のところ不足は感じていないようだ。


「そっか。ミアたちは?」

「うーん。私も特に……思いつかないなー」

「ミアも今すぐじゃなくても良いから、思いついたら教えてくれ。コカトリスたちは?」


 コカトリス親子は咖喱を食べたあと、テーブルの近くでのんびりしている。


『とくにない』『まんぞく』「ぴよぴよ」

「新入りだからって遠慮する必要はないぞ。何でもいいから言ってくれ」

『……それなら』『すなあびば』「ぴぴぃ」

「砂浴び場か。いいね。作るのは難しくないから作ってみようか」

『ありがと』『すぐじゃなくていい』「ぴよぴよ」


 にわとりは砂浴びが好きなのだ。

 寄生虫を落としたり、汚れを落とすために砂浴びをする。


 人族にとってのお風呂みたいなものなのだろう。


 コカトリスはにわとりではないが、性質は似ているようだ。


 それに砂浴びは牛も好きなのだ。

 モラクスとモニファスも喜ぶだろう。


「砂浴びと泥あびができるようにしようか」

『! いいの?』『ありがと』「ぴよ~」

「いいってことさ」


 砂浴び場は家の近くに作れば良いだろう。

 大地の精霊であるコボルトたちに頼めば一瞬で作ってくれそうだ。


 なでなで場が完成したら、コボルトたちと砂浴び場を作る相談をしよう。


「フィロとカトリーヌは? 何かないかな?」

「今すぐに欲しいものはないな」

「ええ。私も新しい設備の必要はあまり……」

「そうか。なにか気づいたら教えてくれ」


 そのとき、ノエルがじっと俺を見ていることに気づいた。

 何か思いついたけど、遠慮しているのかもしれない。


「ノエルは何かある? 何でもいいよ。言うだけならただだからな。大変ならそういうし」

「えっとー」

「わふ~。わうっ!」


 ガルガルが自分にも聞けと主張し始めた。


「もちろんガルガルも何かある? アオとクロと、シロも何かあればいってね」


 ガルガルに尋ねるついでに、ガルガルの背に乗っている子猫たちにも尋ねておく。


「わふ~」「なぁ」「みゃ」「にゃ」


 ガルガルも子猫たちも特にないという。

 特になくても、聞かれないのはモヤモヤするということだろう。


「そっか。今はなくても、気づいたらすぐに言ってくれ」

「わふ」

「あのな、ノエル、……おふろ、はいりたいな?」

「…………お風呂か」

「ところでお風呂とはなんだ?」


 ミアが首をかしげながら尋ねてきた。


「そっか、腐界では水が貴重だからお風呂とかないのか」


 貴重ではない川や湖の水は、瘴気まみれでお風呂には使えない。

 お風呂に使える瘴気汚染が少ない井戸水は、貴重すぎる飲み水だ。


「大きな鍋みたいなものに、お湯を入れてそこに入るんだよ」


 知らない人に浴槽や湯船を説明するのは大変なので鍋みたいなものと言っておく。


「…………水がもったいなくないか?」

「井戸水しかないなら、もったいないけどな。今は俺が水をいくらでも出せるし」

「のえるも、みずだせるな?」


 ノエルがどや顔をしている。


「そうだね。ノエルも得意だな」

「なー? おふろなかったら、みあは、どうやってからだあらってた? まほうもないのに?」


 俺やノエルたちは清浄の魔法を使える。

 だから、お風呂なしでも清潔に暮らすことはできるのだ。


 だが、ミアたちは魔法を使えない。当然清浄の魔法だって使えない。


「ん? 石鹸草というものがあってだな」


 石鹸草という名の魔草を採ってきて、それを揉み込んで体を拭くという。


「そうすると、さっぱりするし匂いもとれるんだ。昨日も石鹸草で拭いたんだが」


 そういうと、ミアは俺の鼻に袖の部分を近づける。


「な? 臭くないだろう? 服を洗うのにも石鹸草を使う」

「くんくん。……たしかに良い匂いだな。便利な草があるんだなぁ」

「そうなんだ!」


 その話しを聞いていたノエルが言う

「でもでも、おふろはきもちいものな? つくるかちはあるとおもうな?」

「まあ、そうだね。作ってみるか」

「やったー」「がうがう」


 ノエルが喜んだことが嬉しいのか、ガルガルも喜んでいる。


「ガルガルもお風呂好きなの?」

「わぅ!」


 入ったことはないけど好きらしい。

 きっと、ノエルがお風呂を好きなら自分も好きに違いないという思い込みだろう。


 だが、ガルガルは野生に近い犬なのだ。お風呂を好まないかもしれない。


「まあ、ガルガルも気に入ったら入っておくれ」

「わふ!」

「なー、みあ。せっけんそうってどれ?」

「ああ、石鹸草なら――」


 ノエルは石鹸草が気になるらしい。ミアに石鹸草の見分け方とか性質などを聞いている。


「シルヴァはお風呂が好きじゃなさそうだね」

「……そうだな。我は猫ゆえな」


 犬の場合、お風呂を好むか好まないかは個体による。

 だが、猫はほとんどの個体がお風呂を好まない。


「そうだよな。シルヴァは何か欲しい建物か設備はない? 便利だなと思う設備とか」

「我が使うものというわけではないがよいか?」

「もちろんいいよ」

「新入りの聖獣の子らがしばらく寝泊まりできる場所があるとよいかもしれぬ」

「あ、確かに、それは大事だね」


 ペロもモラクスも、子猫たちやひよこも人見知りしない子だった。

 だが、聖獣の子の中には、野生動物のように人を警戒する子もいるだろう。


 そのような子が、たくさんの子供たちと同じ場所で固まって寝るのはストレスになる。

 皆に馴れるまで、のんびり過ごせる場所は必要だ。


「親も一緒に寝泊まりできるように、ある程度の大きさはほしいよね」

「うむうむ。家の半分ぐらいの大きさで――」

「窓は小さめの方が良いかな? 外の視線が気になるかもだし」

「開け閉めできる雨戸があればよいかもしれぬな」


 シルヴァと一緒に聖獣の子が慣れるまでの家について詳細を詰めていく。


「まあ、こんなものかな。もし、不備があれば、建てた後に改修すれば良いし」

「助かる」

「ジルカは? 何かない?」

「我はとても快適なのだが、一つ気になっていることがある。いや必要ないかもだが……」

「なんだ? 何でも言ってくれ」

「うむ。防衛のための設備はいらぬのかと思ってな。もちろんティルが強いのは百も承知だが」

「…………たしかに」


 俺もジルカも無敵ではないし、いつも拠点にいるわけではない。


「コボルトたちの魔法で隠されてはいるが……完璧では無いであろう?」

「そのとおりだな。それに人が出入りしているから、調べようと思えば調べられるし……」

「うむ。だが、防衛の設備がどのようなものがあればいいのか、我は詳しくないのである」

「俺もあまり詳しくないな。一緒に考えるか」

「うむ!」


 聞き取りを済ませて、作るべき建物と設備が決まったのだった。

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