第22話
「必要な物は持っていってくれ。他にも出来る限りの支援はする」
他の騎士達と一緒に食事を食べ終わったアダンとマブトは士爵に連れられ騎士団の武器庫へとやってきていた。
木製の棚に置いてある武器は様々、長剣、槍、弓などは勿論、大鎌、鉈、戦斧、果てはバリスタまであった。
「私は武器は自前の物があります。弩の矢をいくつか頂ければ十分です」
「わかった。用意させる」
「そういやアダンちゃんのその腰に着けてる長剣。抜いてる姿見たことないな。錆びてないのか?」
「ふむ……手入れならここでも出来るぞ」
「必要ありませんよ」
アダンは柄に結んでいた紐を解き、中の刀身を士爵に見せた。
怪しく青白い光を放つ両刃剣。
それが彼の持つ剣の姿だった。
「どうやら特殊な鉄を使っているようで、どれだけ時間が経っても錆びないんです」
「ほう、それは羨ましい」
物欲しそうな表情を浮かべる士爵と己の武器を自慢する2人をよそに、マブトは周りにある武器を物色しはじめた。
そして一つの武器に視線が止まる。
「お、いいのがあるな」
「弓は扱いが難しいぞ?」
彼が選んだのは弓。
従来の弓よりも短い楡の木で出来た短弓だ。
「おいおい、俺はこれより出来の悪い弓で鹿狩りしてたんだぞ?まあ見せてやるよ。士爵殿、これを練習できるところは?」
「裏にある。来たまえ」
「はい。アダンちゃん、俺の恰好いいところ見せてやるよ」
「ああ、ぜひともお願いするよ」
「あれだけ大口叩いたんだ。3発で行けるよな?」
「ああもちろん」
剣の音が鳴り響いている場所、他の騎士達が訓練している修練場に来た3人はマブトの為に2つの的を用意してくれた。
一つは近め、もう一つは遠投用のものだ。
「そんじゃやりますよー……」
「……」
「……」
「……」
「……なんで皆俺に注目してるの?」
その場にいる全員が見守る中、マブトは矢を弓につがえ、的を狙い……
「……あーあ」
盛大に的を外した。
周りがあからさまに白けた状態になる。
アダンに至ってはとても大きなため息と『やっぱりか』とでも言わんばかりの表情を浮べている。
「今のは弓の調子を見ただけだってば」
「……本当か?」
「次は当てるから!」
「……本当か?」
「本当だってば!!」
「……本当か?」
「全然信用しちゃいねぇなお前……!」
こめかみに血管を浮べつつマブトは的に向けて再度弓を引き……
「次は当ててやるよ」
風を切る音と共に放たれたマブトの矢は真っすぐに的へと進んでいった。
「そらどうだ!」
「ほう?」
丸太を切り落として作っただけの的に、マブトの放った矢は小気味よい音をならしながら中心に突き刺さった。
「もう一発」
続けざまに今度は遠投用の的に狙いを付けて放つ。
矢は寸分たがわず、まるで吸い込まれるように的の中心に当たった。
「これはすごい!やるじゃないか」
「お、おう……」
子供のようにはしゃぐ士爵と呆気にとられたアダン。
そんなアダンに、彼はいたずらが成功した子供のように笑いながら自慢する。
「どうだい?アダンちゃん」
「やるな。見直したぞ」
「だから言っただろ?『役に立つぜ』って」
初めて一緒に行くと言った時を思い出しながら、アダンはくすりと笑った。
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