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2.その延べ棒……一体、どこで盗んできたんだい?

明日も投稿する予定ですので、ぜひ読んでください!



《ーーースキル4Rの付与を確認。称号の更新を確認。これにより、ステータス更新を終了しますーーー》





「ーーーはっ!?変な夢、見たッ!」


急激な意識の覚醒と共に、ど素人の俺が急ごしらえで作り上げた凸凹の鉄板が胸に抱かれているのに気付いて、ゆっくりと地面に下ろす。


「何だったんだ……?あの夢」


称号がどうとか、ステータスがどうのとか……。

しかも、スキルまで増やしてくれるなんてご都合主義的な展開にしても程があるだろ、と言える夢であった。


さすが、夢……。


寝汗がべったりとついて衣服を微妙に濡らしていることに顔をしかめながらも、俺は鉄板を台所に持っていこうとしてはた、と気づく。


「うぉおおおおおッ!」


こいつ!超絶に重てえじゃねえかッ!!!


俺が叩いてなめした鉄板……。

厚さは俺の腕並みであり、面積も俺が使っている四人用テーブルに十分に匹敵するほどの大きさ。

そんな物が全体的に鉄でできているのだ。

どう考えても重いに決まってる……。


「はぁ……こんなことなら球状のときにコロコロ転がして持っていけば良かった……」


そんな何気ない独り言を俺が発すると、あの夢と同じ声が脳内に響いた。


《それではスキル“リサイクル”を使用しますーーー》


「……へ?」


いきなりの声の出現に俺が呆然としていると、手から緑色の光が溢れ出て鉄板を包み込み、そしてあっという間に元の鉄球へと姿を戻した。


……え?何だこのスキル?

というか、いつの間に俺はスキルを習得していたんだ?


疑問が湯水のようにたくさん溢れ出そうになるものの、少なくとも1つだけわかったことがある。


ーーーどうやら先ほどの夢は、夢じゃなかったらしい。





「“リサイクル”ッ、“リサイクル”ッ、“リサイクル”ッーーー!!!」


あれから、俺は大きな球状に変形した鉄を延べ棒のような形にしようと試行錯誤をしていた。


「はぁ、はぁはあはあはぁ………はぁ、はぁ……」


息を切らしながらも、実験を重ねた俺には“リサイクル”というスキルに対して、確かなデータを得た。


まず、1つ。

このスキルは、物を変形するスキルであること。

俺が念じれば、その通りに物は変形する。

木に対して木刀になれ、と念じると何本かの木刀に変形したのが、その一例である。

ただし、俺が実際に見たことがない物やイメージが足りてない物には変形できなかった。

実際、木をおとぎ話に出てきた龍のような姿にしてみようとしてみたものの、いまいちイメージが浮かばず、スキルの発動は失敗に終わっていた。

また、このスキルには物体の変形以外には何もないらしく、物量が増えるということはない。

つまり、剣一本分の材料からは一本の剣しか生み出せない、ということである。


そして、2つ目。

どうやらこのスキルは俺の今の魔力量ではあまり多発できない、ということ。

“リサイクル”のスキルは、俺の魔力を使って物を変形させる。

それは、物の大きさが大きければ大きい程必要な魔力量は、増大してしまう。

一回、そこら辺に生えている大木を変形させようとして(MP切れによる)失神を経験してしまった。

なので、おそらくこのスキルは物の大きさによって消費MPが変わるのだろう、と当たりをつけている。



思いつく限りの検証を済ませ、俺が“リサイクル”の能力についてあらかた理解したところで、すでに日が暮れかけてしまっていた。


「おっと、今から行かないと間に合わないな……」


時計は高くて持ち歩いてはいないが……大体この時間帯に何でも屋は閉店するのは今まで経験則から推測できる。

そのため、俺は今日の飯代を確保するためにも中品質のゴミ5個と、“リサイクル”のスキルによって生み出された鉄の延べ棒10個を持って家を出た。





「はぁ〜〜〜ッ!ついたぁああ〜〜ッ」


歩くこと約10分。

道中、帝都在住の皆さんに汚物でも見るかのような目を向けられながらも、俺は袋を引きずりながら何でも屋のドアの前へとやってきた。


何でも屋の扉には、すでに《閉店》の2文字が書かれた看板がさがっていたものの、俺は気にすることなく扉を開ける。


「頼もう〜〜ッ」


「いや、申し訳ないけど今日はもう閉店だからーーーって、なんだバスラかい?」


俺が勢いよく扉を開けると、そこには黒い三角帽子を被り、更に黒いロングケープを身に纏ったいかにも魔女然とした風態をしている少女、リピアが本を読みながら椅子に腰を下ろしていた。


「バスラ、僕は何度も言った気がするけれどね……できるだけ営業時間外での物の買取は止めてほしいんだけど?」


「ああ、悪いな……いつもいつも、本当に申し訳ないとは思ってるが、こればっかりはな……」


ジト目でこちらを見つめてくる彼女の視線に耐えきれなくて、改善する気もないくせに俺は軽く頭を下げた。

そして、リピアもそれがわかっているのだろう。

「はぁ〜〜……」と、長い溜息を吐いて本を机に置いた。


「……それで?今日は何を買い取ってほしいんだい?」


アメジスト色の目を細めてそう尋ねるリピアの顔には、多少の不満はあれど仕事をきっちりこなそうと考える職人の顔に様変わりしていた。


……助かるぜ、親友。


俺は心の中でそう呟いて、今回の戦利品を提出した。


「へぇ〜〜、今回はマトモな物を結構持ってきたんだね?少なくとも、この4つの商品に関してはちょっと僕が手入れすれば良い感じになると思うけど……」


俺が今日手にした中品質のゴミは、やはり見立て通りそれなりに使える物だったらしくあっさりと購入をしてくれた。


……が。


「その延べ棒……一体、どこで盗んできたんだい?」


正直に答えろ、と言わんばかりの鋭い目つきを向けられ、俺は思わずたじろぐ。


いやいや、待て待て。

何で俺が犯罪者みたいな扱いを受けなければならない。

俺は誰にも後ろ指を指される覚えなどない、ちゃんとした己の技術でこれを勝ち得たのだ。

堂々と事情を話せばいい。


そう思って、俺は口を開いた。


「じ、実は……今日、昼頃ぐらいに称号を手に入れたみたいでさーーー」


こうして、俺はリピアにことの顛末を話し始めた。





「ふーん……なるほどね。称号の取得によって得たスキルの効果、ねぇ……」


俄かには信じ難いな、と言わんばかりの表情を浮かべつつも、リピアは一応うなづいてみせた。


「別に君のことを嘘つきだとは、僕も思ってはいないんだけどさ……。君はたまにバカなときがあるからなぁ」


「だ、誰がバカだよ!誰が!?」


まるで魚は空を飛べないことを知らない幼児を見るような眼差しを向けるリピア。

そんなバカ野郎だと思われていたとは……甚だ心外である。


「君は、知らないかもしれないけど……称号の取得はユニークスキル持ちよりも遥かに少ないんだよ?具体的に数に出せば、世界に20人もいないくらい……」


「え?マジ……?」


「うん、マジ」


「……」


せ、世界で20人って……。

おいおい、国のエリートと言われる宮廷魔導師よりも数が少ないじゃねえか……。


そ、そんなレアな存在に俺みたいな凡庸な人間がなれるはずがない。


「……ということは、俺が聞いたあの声は幻聴の類だったとでも言うのか?」


「うんうん、何か変な物でも拾い食いして脳みそがイカれちゃったんだよ、きっと。大丈夫、この盗品は僕が足がつかないように処分してあげるから……。ついでにまだ体調が悪いなら僕が看病してあげるけど?ほら、薬とかないでしょ?僕の家にはたくさんあるから、しばらくの間、泊めてあげるよ、ね?」


いや、何が『ね?』なの?

別にまだ俺が病気と決まったわけじゃないよな?

それにやたらとお前の家に泊まらせたがってるけど……貴族の家とかマジで無理だから。

……身分的にも、精神的にも、金銭的にも!


「や、別に俺が病気と決まったわけじゃないし……も、もしかしたらマジで称号をゲットしてる、かも、しれないし……」


「ふーん、それ……本気で言ってる?」


「あ、あぁ……」


「そ。じゃあ、今からステータス版もってくるからさ。それで、もし調べて何も出なかったら……僕の言うこと、何でも聞けよ?」


えっ?なんかそれ条件変わってない?

俺が看病される云々の話じゃーーー


「ーーー返事、は?」


「は、はひぃ……わ、わかりまひた………」


な、何ですか、その顔………メチャクチャ怖いんですけど……(涙声)


「じゃ、取ってくるから」


俺がブルブル震えている間に、リピアは部屋の奥へと入っていった。





数分後、リピアは焦げ茶色をした石板を手に抱えてやってきた。


「はい、これで君のステータスを測るから。手をここにかざして」


持ってきた石板をカウンターの上に乗せると、手形のような文様が入ったところに俺の手を誘導する。


すると、手のひらから何かが吸われているような感覚と共に薄っすらと文字が浮かび上がってきた。


「うん、できたみたいだね。ほら、これが君の今のステータスだよ。じっくりと見てごらん」


「ああ、わかった」


促される形で、俺は久しぶりに自分のステータスを覗き込んだ。



ーーーーーー


名前 バスラ

種族 人間 Lv.13


HP 100

MP 39

筋力 82

敏捷 78

耐久 39

器用 52

魔攻 26

魔防 26


スキル HP上昇補正(II)

目利き(lV)

リフューズ(I)

リデュース(I)

リユース(I)

リサイクル(I)


称号 【節約の申し子】



ーーーーーー



「……あった」


「……えっ?なんて言った?」


「あった!あったんだよッ!!俺の、称号がッ!!!」


「……え?えぇ〜〜ッ!?う、うそだよね?そんな、簡単に称号が身につくはずがーーー」


俺があったと言ってもちっとも言うことをきかないリピアに、ステータス板を押し付けると、リピアの驚嘆の声に頬を緩めながらも、この先の人生に一筋の光が差したのを俺は感じた。






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