異世界審問官
私の見事な礼に部屋にいた人達は時が止まったかのような表情だ。さもありなん。
決して思ってたよりでっかい音でテーブルにゴチンしたからではない。
みんなの視線がおでこに集まっているがゴチンのせいでは無い。
「だ、旦那、大丈夫か?」
なんだゴリラめ、何が大丈夫かなんだ?私は全然気にしていないが、ひょっとしておでこから血が出ているのだろうか、まさかとは思うがひょっとして口の火傷に続き流血騒ぎなのだろうか。
「そんな事より」
私はみんなの視線など気になってませんよ風に話しを続ける。
「今回の依頼について改めて異世界審問官として指針を示したいと思います。皆様それで宜しいでしょうか。」
私は厳かな雰囲気を出しこの場にいる関係者を見渡す。
みんなおでこ見てるんだけど。
私のくりくりおめめはもう少し下ですよ?
ひょっとしてマジな感じで血出てる?
ちょっとマジでやめてくれません?
え?出てないよね?出てないよね?
おでこへの視線にも負けず無言の時を過ごす。
1分かそれ以上か、何なら体感的には30分くらい見られてた気がするけど、ぐっと我慢していると商業ギルドの職員さんがハッとして声を出してくれる。
「商業ギルドは問題ありません。」
その声で我に返ったのかゴリラも猫耳お姉さんも同意の声を上げてくれる。
一方で冒険者パーティー月下の騎士はというと何やら困惑している。
「あのぉ。異世界審問官って何ですかね?」
「第4使徒も気になりますぅー。」
うむ。女子たちよ。そなた達の疑問はもっともだ。
確かにそうだ。異世界から来たばっかりなのにこの世界のシステムを理解出来る訳がない。
説明するのも面倒だが、こればっかりは仕方ない。
「異世界審問官とは転生、転移してきた異世界人に関係した事故、事件、問題に対して、風習、事情、認識の相違、誤認等に対して中立的立場かつ絶対的な効力を持って指針または解決法の裁定を行う役職です。」
私の言葉に異世界トリオはふんふんと頷いている。因みに彼らの使い魔のオオカミは彼らの足元で横になっている。
「異世界審問官が下した指針、裁定には強制力があり、この世界の生きとし生けるものには贖う事は出来ないとされています。つまり、この国の司法より優先されるべき裁定となる訳です。」
私の説明にトリオは難しい表情をする。
「もちろん使徒の指針、裁定を受けないという事も可能ですが、現状では貴方達パーティーは依頼失敗と認識されています。この事から現状では違約金の支払い義務が生じている訳ですが、金貨50枚の違約金払えます?払えなかったらこの国の司法では借金奴隷なのですが。」
そう告げるとリーダーハヤト君は声を荒げて反論する。
「だから!俺達は遅延などしていないっ!」
私は荒げた声を聞きながら、まぁまぁと手でなだめる。
「貴方達が嘘を言っているとは思っていません。」
商業ギルドの職員も猫耳お姉さんも焦った顔でこちらを向く
「しかし商業ギルドには指定日に品物が届いておりませんっ!」
おっと順番を間違えた。みんなヒートアップしてしまったではないか。
「商業ギルドも冒険者ギルドも虚偽の申告ではないとわかっています。」
私は2人に向けてにこりと微笑む。出血大サービスだ天使の微笑みをくらえっ!何なら3代先まで自慢しろ。
「さて異世界トリオさん。」
トリオ呼びにハヤト君が反応したが無視だ。
小さい事を気にしたらダメだぞ。
「曜日ってわかります?」
その言葉に異世界トリオは首をかしげた。可愛いなおい。




