はいはい異世界異世界。
正直面倒くさかったのでシャチをそのまま放流しようとしたが、冒険者ギルドのルッカさんが今後の為に話しをしたいと言い出した為にシャチの話しを聞くことになった。
誠意には誠意で返さなければならない。私は使徒なのだから。
ゴリラは東区冒険者とギルドホール横の酒場で呑んでくるらしい。まじでゴリラ絶滅しろ。背中痒いのに手が届かなくて痒さのあまり絶滅しろ。
ネフィアは、あんま舐めてっとプチっとしちゃうぞ?とシャチに凄んでいる。やめて差し上げろ、かわいそうだろうが。
すっかり大人しくなったシャチに話しを聞く。
曰くテンプレ異世界転生であった。加護とレベルをもらった。自分やっちゃいました?したかった。
レベル4桁なんて聞いてない。容姿は選べなかった。他に異世界人がいるとは聞いていない。と
うむ。
まずテンプレ異世界転生。これは良くある。目覚めたら神の前でーと言うやつだ。正直聞き飽きた。もうお腹いっぱいである。味の無くなったガムを何時までも噛んでる感覚だ。
わかる。わかるよ、神経由じゃないと能力の説明が出来ないもんね。異世界=神の前。鉄板である。
次。加護とレベル。
加護。うん。まぁ神経由なら加護ありとかだよね。加護ないんかーい、タイプもたまにあるけど、別に特筆すべき点はない。敢えて言えば加護ありだから強いんだー!は頭おかしいとしか思わないかな。周りにちゃんと確認したの?加護持ちが珍しいって確認した?してない?異世界ものだとそうだったから?あぁそういうタイプね。
レベル。これシャチ君が勘違いしてたんだけど、シャチ君が神にレベル99でって言ったらしい。シャチ君は99がカンストだと勘違い。神は99で良いのかと納得。んでなんで99がカンストだと思ったか。シャチ君曰く読んでた異世界ものだとそうだったから。……馬鹿なの?なんで確認しないの?君達さ、異世界。異世界言うのに枠に囚われるよね?なんでレベル7億でって言わないの?駄目かどうかは神に決めてもらったらいいじゃん。なんで99とか999とかなの?そもそもステータスが数値系だと後半インフレするってわかってんじゃん。スキルとかにしときなよ。
次。俺やっちゃいました?
やり方間違えとる。以上。
次。レベル4桁聞いてない。
知らん。使徒様はお前のおかんではない。
容姿。どんまい。
次。他に異世界人がー。
知らん。こんだけ異世界。異世界言ってんだ、そりゃどっか被るやろ。
以上。解散ッ!
早く帰りたくて後半雑になったのは認める。
解散したくても誠実ルッカさんが返してくれない。
くそ。丁寧な相手だとやりにくい。
ルッカさんが言うには今まで東区冒険者ギルドに異世界人っぽい人物は確認出来た事は無いそうだ。
「実は異世界人って結構いるんです。ただ異世界ヒャッホーしてるヤツが少ないだけで。」
そうなのだ。俺やっちゃいました?とかやってるヤツは頭が悪いですと宣伝しているようなもんだ。そりゃあそうだろう。何もわからない世界で自分が目立つ事の利益と不利益を想像も出来ないのだから。だから安易な行動に出る。慎重な異世界人ももちろんいる。そういった異世界人はちゃんと情報収集を行い段階を踏んで行動している。だからこの世界の人達に溶け込めているのだ。
「そうなんですね。確かに文化、風習も違う所でいきなり大胆な行動はリスクが高すぎますよね。」
「えぇ、なので異世界ヒャッホーしているヤツは大体馬鹿です。」
チラりとシャチを見ると萎れていた。お前は反省してろ。
「異世界人とのトラブルも異世界人側の情報収集不足、思い込みによる誤認がほとんどです。まぁその様な時の為に我々異世界審問官がいるのですが。」
異世界審問官も必ず力を行使する訳ではない。翼を出すのも疲れるのだ。大体お説教で終わればよし。法律関係で配慮が必要なら力を行使といった具合だ。
「今回使徒様には大事になる前にご配慮いただきましてありがとうごさいます。」
いえいえ。シャチがプチっとされる前で良かったです。
おいっ!聞いてんのかシャチっ!
お前の事だぞっ!
ルッカさんと今後も宜しくとお互い挨拶をし、シャチはルッカさんにドナドナされていった。
去り際にシャチが「迷惑かけてすみません。」と言っていたがお前が謝るのは私ではない、ギルド職員さんだ。仕事増やすな馬鹿野郎。海のギャングだからってギャング結成したらぶん殴るからな。群れるな、お前は一生ソロでいろ。
今日の仕事はもう終わりだとギルドのホールへと向かう。
黄色い声援に笑顔で手を振りながらゴリラがいるであろう酒場へと足を向ける。
ゴリラよ。はやく報酬を寄越せ。何ならゴリラはいらないから金だけ出せ。
酒場に入るとそこにはむさ苦しい野郎共がヒソヒソと何やら話している。
こちらに気がついた野郎共は真剣な表情で口を開く。
「なぁ。使徒様。」
「異世界のシャチって手足あるのか?」
いや知らんがな。どこ気になってんだよ。




