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【祝四周年】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第二十二章

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商会長っぽいお仕事2

「知ってくださっているのですか?」


「フィオス歌劇団に来て欲しくて、色々調べました。随分と才能がおありのようだ。ひ孫に見習わせたいところです」


「そのように言っていただけて光栄です」


 ヘスイトスはかなり腰が低く、丁寧。

 少しぐらいは天才音楽家も見習ってほしいものだとジケは頭の隅で思った。


「まさか直接お目にかかれるとは思っても見ませんでした」


「たまたま他にも用事があったのです」


「用事ですか?」


「いえ、こちらの事情です」


 丁寧に人と話すと背中がムズムズするなとジケは思う。


「是非ともシュトレイブル二百年の祝いを楽しんでいってください」


「……そうさせてもらいます」


 誕生日じゃなかったのか。

 ジケはそう思いながらもひとまず笑顔で話を流した。


「今回気兼ねなくお休みいただけるように宿ではなく、家を用意しております。使用人も配置しておりますので、何かありましたらなんでもお申し付けください」


 宿ではなく家を用意してくれるとはまた太っ腹だ。


「案内は息子が。まだ公演までは時間がありますので、公演についての細かな話は後にいたしましょう」


「では案内いたします」


 ヘスイトスと別れて、メクシトロについていく。


「お誕生日と聞いていたのですが」


 気になったのでメクシトロに疑問をぶつけてみる。

 誕生日の祝いと聞いていたが、ヘスイトスはシュトレイブルが二百年経った祝いだと言っていた。


 お祝いなことに違いはないけれど、話が違っている。


「どちらも、です」


「どちらもですか?」


「父の齢も八十。その祝いもありますし、我々シュトレイブルが貴族となって、この地を治めて二百年という記念すべき年でもあるのです」


「たまたま両方重なった……ということですか」


「その通りです。父はここの人にとって英雄的な存在でもありますからね。祝うのは当然です」


「八十歳もすごいですしね」


 八十歳はかなりの長寿だ。

 多くの人は長くともそんな年齢に達する十年も二十年も前に亡くなってしまう。


 杖をついていたとはいっても自らの足で立って歩き、ハキハキと話せるのは本当に希少なことである。

 祝いたくなる気持ちも理解できる。


 それに同一の貴族が同じ土地を支配し続けるのも、なかなか楽なことじゃない。

 何世代にもわたって安定して領地管理するのは大変だし、時の施政者によっては配置を変えられたり戦争で土地を失ったりすることもある。


 領民がお祝いしてくれるほどの安定した統治を続けていたのも、感心してしまうことだった。


「フィオス歌劇団の公演も少しだけ見させていただいたそうなのですが、他国へ赴く疲労のために最後まで観覧できず……心残りだったそうです」


「そのためにわざわざお呼びくださったんですね」


「フィオス歌劇団については、二百年の祝いではなく父のためです。まさか受けてくださるとは思いませんでした」


「ちゃんと依頼なら他の国へも赴きますよ」


 とりあえずどういうことだったのかは分かった。

 馬に乗ったメクシトロに先導されて案内されたのは大きなお屋敷だった。


 元々貴族のお屋敷で、今は空き家となっていたものを借り上げてくれて、ジケたちが自由に使えるようにしてくていたのである。


「ちかれた……」


 ジケは椅子に座ってぐったりする。


「おーおー、頑張ったそうじゃないか」


 エニたちも合流して屋敷にやってきた。

 商会長っぽく頑張ったけど、なかなか精神的に疲れるものがある。


 リアーネがニヤッと笑ってジケの頬を指でつつく。


「頑張ったよ。相手がやたら丁寧だからこっちも失礼なきゃいけないようにしなきゃな」


 乱雑な態度ならジケも多少乱雑にいくが、丁寧に来られたら丁寧に行くしかない。


「お土産。甘いもん買ってきたよ」


 町中をぷらついていたピコが紙袋をジケに渡す。

 中にはお菓子が入っている。


「あんがと」


 やっぱり表に出るもんじゃないな。

 ジケはそう思いながらお菓子を一つ口に運んだ。

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