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【コミカラ二巻出たよ】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第二十一章

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理不尽なクレーム1

「うんうん、しっかり儲けは出てるな」


 ジケはフィオス商会で決算書を眺めていた。

 字も読めるし簡単な計算ならできる。


 これは過去の賜物であるが、商売のような細かな計算やギルドに収めるお金など細かなところは得意ではない。

 紹介の規模が小さい時にはメリッサが帳簿をつけてくれていた。


 今は商会の規模も大きくなってお金の計算も大変なので、イスコが会計も担当している。

 ただお金の複雑な移動を眺めていると、会計専門の人を雇った方がいいかもなと思っていた。


「数字眺めてると頭痛くなりそうだな」


 利益がちゃんと出ていることは分かる。

 でも細かな材料費とか人件費とかその他諸々のお金とか難しい。


 ジケは頭がいっぱいになってきてフィオスを額に乗せた。

 ヒンヤリとした冷たさが気持ちいい。


「ともかくプラスならいいよね」


 みんなにしっかりと給料を支払ってもまだ手元にお金が結構残る。

 そうしたお金は工房の修繕改修に使ったり、みんなの待遇改善に投資していく。


「揺れない馬車、アラクネノネドコ関連商品、耐火断熱加工、防水布、それにお風呂、体拭き事業に石鹸タオル……」


 だいぶ事業が広がったものだと思う。

 商会を始めた時はここまでやるとは考えていなかった。


 生きていけるようなお金を稼げればそれでいいかなという軽い考えだった。

 今じゃ結構な人数の従業員を抱えている。


 みんなの生活も預かる立派な商会長である。

 思い返してみると色々なことがあったものだと懐かしさも感じてしまう。


「次はどう展開するかだな」


 ジケは上を向いて額にフィオスを乗せたまま腕を組む。

 新しいことに取り組むことも楽しい。


 ただ今やっていることもしっかりと強化していく必要があった。

 あまり生産力を高めすぎてもいけないが、どこかで話が広まるにつれて色々な商品の需要が高まっていく。


 揺れない馬車なんかは作りすぎても困る。

 今や子供職人たちも腕を上げてきているので、これ以上強化することもない。


 防水布やパロモリ液なんかは割とサイクルの早い消耗品なので、生産体制の強化をしてもいいかもしれないと思う。

 過去の知識を活用すれば、また新しいものを生み出せるかもしれない。


「支店展開ってのもありだしな」


 今馬車なんかはわざわざフィオス商会に来てもらって、予約してもらう形となっている。

 一部はヘギウス商会経由で注文もあるが、ごく一部の話だ。


 防水布は後援であるフィッツの商会にいくらか委託しているところはあったりする。

 ただやっぱりフィオス商会の弱点は本店しかないところもあるだろう。


 ヘギウス商会のように全国展開して、広くネットワークを持っているわけじゃない。

 国内支店、あるいは最近は少し他の国からも注文が入るので国外に支店を作るということもあり得る話だった。


 管理は大変だ。

 しかし今の状況を考えれば、利益を上げられる可能性も十分にある。


「まあでもデッカくしたいとはそんなに思わないんだけどな」


 手の届く範囲で満足といえば満足だ。

 今でも結構な利益は出ている。


 リスクを冒して手を広げる必要がないといえば、ないのであった。


「悩ましいところだな」


 なんならタミとケリを中心としたレストランやピコが最近よく作っているお団子屋さんなんてのも面白いかもしれない。

 ピンクダイヤモンドを売ったお金があるので、人生をもう二、三周したって遊んでいられるぐらいは余裕があったりする。


 でもピンクダイヤモンドのお金は自分で手に入れたものという感覚が薄いので、手をつけにくいところがある。

 自分で稼いだお金でのんびりと暮らす。


 これがジケの目標であった。


「おい! 上のやつを出せよ!」


「……なんだ? 騒がしいな」


 フィオスが目に垂れてきて、青い視界をぼんやりと楽しんでいると何かがワーワーと聞こえてきた。

 商会の方で騒ぎが起こっているらしい。


 今日はニノサンが警備に当たっているので特に問題はないだろうと思いつつ、なんの騒ぎなのか気になるのでジケは様子を見に行ってみることにした。


「あんな嘘商品売っといて平気な顔してんのか!」


 お客の対応に当たる、いわゆる店舗のところを覗くとちょび髭の男が騒いでいた。

 イスコとメリッサが困った顔をしている。


「お前らじゃ話にならない! 上のやつを呼んでこいと言っているだろう!」


「いや……まずは落ち着いて話しましょう」


「落ち着けだぁ? 高い金出して馬車買ったのはこっちだ!」


 今のところ話は読めないが、フィオス商会の馬車に不満がありそうな雰囲気があるなとジケは感じた。

 ニノサンはイラついたような目をしてちょび髭の男を見ている。


「この詐欺商会が!」


「……ちょっと酷い言い方だな」


 何があったのか知らないが、流石に暴言を吐かれるとジケもムッとする。


「ニノサン」


「会長」


「何があったの?」


 ジケはちょび髭の男を宥めようとする二人を横目に、こそっとニノサンに近づく。


「どうやらフィオス商会で買った馬車に問題があると」


「馬車に問題? んー、何があったんだろうか……」


 ここまででクレームらしいクレームが入ったことはない。

 フィオス商会の馬車のお客様満足度は非常に高いのだ。

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