お試しアワアワ3
「もちろん俺は入らないぞ?」
みんなして何を考えているのか。
ジケはため息をついてしまう。
男子として興味がないとは言わない。
しかし女の子を集めて堂々とお風呂に一緒に入るなんて、どこの悪徳貴族だ。
「んもう! 入りたいなら正直に言えばいいんだよう!」
ピコが細い目でウインクして見せる。
「ふっ……ジケ君ごとき、ピコちゃんの悩殺ぼでーで悩殺しちゃうんだからね!」
頭に手を当ててピコの思う悩殺ポーズを取る。
「そうか」
「ええええっ!?」
思いの外淡白な反応にピコがショックを受けた顔をする。
ここで何かの反応を見せる方が危険なことはジケも分かっている。
正直ピコのモフモフの尻尾で迫られたらヤバいかもしれない。
だがここは過去に培った老齢さで乗り越える。
「まあジケが入りたいってなら……」
「は、恥ずかしいけど……」
「ジケ兄も入る?」
「みんな一緒?」
「ちょ、みんなに言ってんの!」
リアーネは冗談だと分かりきってニヤついている。
ミュコは意外と本気なのか、顔が赤い。
タミとケリは分かってるのか、分かってないのか、ちょっと分からない。
そしてエニはエニで顔を赤くしていた。
「ともかく! 俺は入らないから石鹸タオル使ってみて、後で感想聞かせてくれ!」
このままだと本当に一緒に入られてしまいそう。
ジケも顔を赤くしながら、ここは早く撤退するのが正解だと逃げ出す。
「ふっふーん、珍しくジケがタジタジだったな」
顔を赤くするジケなんてそうそう見られるものじゃない。
リアーネは良いものを見たと笑う。
「変なこと言ってないで入るよ!」
「いてっ! 私だけじゃねーだろ!」
エニはリアーネの背中をピシッと叩く。
「ピコちゃんの必殺悩殺ポーズを見せられないのは残念だじぇ……」
実際ジケが本当に乗ってきたら何もできなくなるのは見えているが、ピコはカッコつける。
「あれ?」
「フィオスがいるよ?」
「あっ、ほんとだ」
タミとケリが足元にフィオスがいることに気づいた。
「フィオスを入る?」
ミュコがフィオスを抱き上げる。
プルンと揺れるフィオスは返事をしているような感じもあった。
「そういえばさっきもフィオス、お風呂に入ってたね」
ジケたちが洗い合っている間、フィオスは主にお風呂にいた。
浴槽に浮かんでいるフィオスはお湯を楽しんでいるみたいだったなとピコは思い出した。
「さっき……?」
「うん。ピコちゃんがジケ君の背中を流したんだよ!」
「ピコちゃん……?」
「………………あっ、何でもない」
ミュコが怖い顔をしている。
ピコは自分の失言を察したけれど、時すでに遅し。
「何してんのよー!」
「フギャー!?」
ミュコ、それにエニがピコのほっぺたをつねって引っ張る。
「い、痛いよー!」
「ピコちゃん悪い子!」
「私たちもジケ兄と入りたかった!」
「ふっ、味方いないぞ」
「うへー!!!」
いつの間にかフィオスはまたお湯に浮いている。
女の子たちにも試してもらった結果、今の調整具合でも悪くなさそう。
あとは少しの間無料配布して一般のお客さんとしてくるみんなの意見も集めるつもりだ。
試作品はそのままちゃんとした完成品として商品になりそう。
もう一儲け、なんてことを軽く考えたのに、意外と大変だったものである。
ーーー第二十一章完結ーーー




