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【コミカラ二巻出たよ】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第二十一章

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固めた石鹸3

「このような格好ですいません……」


「ああ、お忙しかったですか?」


「いえ、そうでもありません。緊急の仕事は終わらせてあります。あとはまだ余裕のあるものばかりです」


「では……」


「これは……その……」


「これがいつものことなのです」


 笑って誤魔化そうとするカグノーズだったが、苦笑いを浮かべるメイドが全部バラしてしまう。

 香りに関して特出した才覚を持っているカグノーズであるが、その他のことに関してはてんでダメな人だった。


 メイドを雇っているのもそのせいだ。

 植物の世話と香りに関する仕事以外、生活能力が皆無に近い。


 なかなか尖った能力で生きている人なのである。


「今日わざわざ訪ねていただいたのは例の件ですね?」


「ええ、石鹸作り……その香り付けを手伝って欲しいんです」


「もちろん、恩人のお願いですからね。協力させていただきますよ」


 何をするのか。

 そのことについては帰りの馬車の中で話であった。


 なかなか変な人だとは聞いていたが、誘拐されたところを助けてもらった恩を返さないような人ではなかった。

 ジケへの協力も快諾してくれたのである。


 カグノーズが手を差し出してきたので、ジケも立ち上がって握手に応じる。


「相変わらず不思議な香りをしていますね。若くてエネルギッシュ……なのにどこか老齢さを感じさせる。周りに人が集まるような落ち着く雰囲気もある」


 カグノーズはジケの手を引き寄せるとスッとニオイを嗅ぐ。

 ここら辺に変人と呼ばれる要素がある。


 カグノーズはニオイで相手を判断する。

 どんな人なのか、ニオイを嗅げば分かるらしく、ニオイで嫌われると近づくことすら難しくなってしまう。


 ジケのニオイを嗅いだカグノーズは意外とドキリとすることを言う。

 どんなニオイなのか不思議なものだが、ともかくニオイではカグノーズに気に入られていた。


 ちなみにエニに対しては素直になれない甘酸っぱい恋愛の香りと言い放って、ビンタされていたりする。

 こんなこともしちゃうものだからあんまり人にも会わないらしい。


「もうすでにいくつか候補の香りは考えてあります。作業室にどうぞ」


 カグノーズについて屋敷の中を移動する。

 開け放たれた部屋をチラリも見ると、中には植木鉢が置いてあって植物を育てていたりする。


 屋敷の外のみならず、内でも色々と育てているようだった。


「色々なニオイがするね」


 作業室と呼んでいる部屋に入るとまず気になったのはニオイであった。

 複雑なニオイがする。


 甘いの、スパイシーなの、なんだかよく分からないの。

 ニオイも色々とある。


 少し目にも染みるようで、ジケは目を細めた。


「ああ、すいません」


 カグノーズは窓を開けて指を鳴らして魔法を発動させる。

 すると部屋の中を風が吹き抜けて、ニオイを一気に窓の外に押し出した。


「ん?」


 窓の外から魔物が顔を出した。

 頭に白い花を咲かせ、アーモンドのような丸みを帯びた体の形をした二本足の変な魔物である。


 前足はなく、地面に立つ二本の足しかない。


「その子は私の魔獣であるメアラスです」


「フィオス?」


 フィオスがピョンピョンと跳ねていって窓枠に飛び乗る。

 プヨプヨと跳ねると、メアラスは答えるように体を揺らす。


 メアラスが体を揺らすと頭に生えている花がゆらゆらと揺れていて、なんだか可愛らしさもある。

 そのままフィオスはメアラスの背中に乗っかった。


「何をするのかな?」


「案内でもしているのでしょうか? まあ、敷地内なら危険なことはありません」


 メアラスはフィオスをのっけたまま、植物園のようになっている庭に向かっていった。

 よく分からないけれども、危ないことはなさそうなので好きにさせてみることにした。


「コホン……とりあえずあらかじめいくつかの用意しておきました。通常の石鹸に使われるものや、香水や香油で人気の高い香りを用意してあります」


 カグノーズはテーブルの上にラベルの貼られた瓶を並べる。


「今人気なのは花のような香り。あまり強くなく、ふんわりと香るものが好評ですね。ただこうしたものはブームがあって、その時によって人気は入れ替わります」


 カグノーズが瓶を開けて、香りを広げるように手で仰ぐ。

 まるで直接花を嗅いでいるかのような香りが漂ってくる。


「こうした香りはいつでも人気が高いです。安定していて、生産も難しくない」


「いいニオイだね」


「花の香りにも色々な種類があります。他にもそんな甘いニオイなんかもありますよ」


 次の瓶は甘い香り。

 お菓子や果物とはそんなものとはまた違ったようなものだった。


「こちらは柑橘系果物」


「さやかな香りですね」


「こっちはハーブ系となります」


「これはこれでいいかも」


 いくつか試しに嗅いでみるものの、どれがいいということもない。

 むしろどれもいいように感じてしまう。


「エニはどう思う?」


 意外と難しい。

 香りを嗅いでみてジケは悩んでしまった。


 こういう時は女性の意見が必要だとエニを見る。


「う……いや、どれもいいんだけどね」


 エニも聞かれても困るという顔をする。

 洗い上がりに花の香りがするのもいいだろう。


 しかし柑橘系やハーブ系の爽やかな香りがしても気持ちがいいかもしれない。

 だからといって色々な種類を増やしすぎても管理は大変だ。

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