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【コミカラ二巻出たよ】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第二十一章

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この遺跡は!7

「生きててよかった……!」


「君も無事だったんだね」


 サンモーウとオルナは抱き合って互いの無事を確かめる。


「どうだ?」


「とりあえず足以外は軽い打ち身ぐらいだったから大丈夫そう」


「そうか。じゃあ目標達成で帰るか」


 ジケたちの目標は遺跡の捜索ではなく、サンモーウだ。

 サンモーウが無事に見つかったなら遺跡に長居する必要などない。


「ま、待ってくれ!」


「何ですか?」


 オルナが支えてサンモーウが立ち上がる。

 治ったといえどすぐに走れるような状態でもなさそう。


「他にも捕えられてる人がいる」


「他にも?」


「ああ、奥の方から声が聞こえていた。今は聞こえないが……捕まっている奴がいる」


「どうする?」


 エニはジケのことを見る。


「そう言われてもな……」


 難しいなとジケは思う。

 他の人なんて助ける義理も義務もない。


 ただ、助けられる状況にあって、他に助けられる人がいるかもしれないと聞いて無視していくのも後味は悪い。


「……行こうか」


「どっち?」


「助けに」


「やっぱり」


 無視はできなかった。

 顔も知らぬ他人でも、余裕があるのに見捨てると明日の飯が不味くなる。


 仕方ないので助けることにした。

 エニとしてはジケがそんな選択をすることが分かっていた。


 だから目を細めて笑う。

 ジケらしい選択だと思う。


 知らぬ他人でもそう簡単に見捨てる人じゃないと分かっていたし、そんな選択をすることにちょっと安心する。


「……いない、か」


 サンモーウが捕まっていた牢屋を出て、先に進んでみる。

 今の所、人の声などは聞こえない。


「何というか……使用感のない牢屋だよな」


 落とし穴の下の部屋と同じく、牢屋の中は積もったホコリしかない。

 人が入っていた様子はない。


 こんな時には囚われた人の骨とか残っていてもおかしくはないが、そんなものも見当たらず、まるで未使用かのような状態である。


「作ったけど使われなかった?」


「遺跡になる前に綺麗にしたのかもしれませんね」


 何であれ想像してみるしかなく、想像したところで答えを知っている人はいない。


「……ここには何かいたようですね」


 だれもいないな、と思いながら牢屋の中を確認していくと、人でも入れられたようにホコリの跡が残っているものがあった。

 隅を見るとホコリが溜まっているのに、牢屋の奥にある鎖の付近にはホコリがない。


 サンモーウの言う通り誰かがいたのかも、ということは感じさせた。


「……中にいた人はどこに?」


 ただし今はいない。

 ならば中にいたはずの人はどうしたのか。


 ちょっとだけ不穏な気配を感じ始めた。


「や、やめろぉ……!」


「……今の声は!」


 さらに牢屋を確認しながら進んだジケたちの耳に声が響いてきた。

 かなりうっすらとしたものだったが、静かな環境なのでみんなにもしっかりと聞こえていたのだった。


「行こう」


 サンモーウの体調を気遣って走るまでいかないが、早足で声の方に進んでいく。

 いつ敵対してもいいようにと警戒も怠らない。


「助けてくれ……」


 助けを求める声と金属が軋むような音が聞こえてくる。


「あれはゴーレム?」


 ジケの魔力感知の範囲に何かが入ってきた。

 ゴーレム、それにゴーレムに抱えたら冒険者っぽい男の人だった。


 状況を見るに、牢屋から出されたところのようだった。


「どうしたら……」


 状況が良くない、とジケは顔をしかめる。

 牢屋が並ぶこの場所はあまり広くない。


 戦うにはあまり向いていない。

 フィオスの能力があればゴーレムの制圧は難しくないだろう。


 ただ今は人を持った状態である。

 フィオスが全身に広がる前に何かされてしまう可能性がある。


「少し光を抑えて」


「分かりました。イレニア」


 ゴーレムが何で周りを知覚しているのか知らないが、バレるリスクは極力避けたい。

 明るく周りを照らしていたイレニアがグッと光を抑えると、途端に周りは薄暗くなった。


 せめて移動に不都合がないようにとイレニアは低く飛んで足元を照らしてくれる。

 先の見えているジケが先頭に立つ。


「攻撃するつもりはなさそうだな……」


 ゴーレムはゆっくりと移動し始めた。

 肩に抱えられるように持たれた冒険者の男は特に怪我をしているような様子もない。


 危害を加えるような持ち方もしておらず、むしろジケたちが手を出す方が危険かもしれないと思った。


「どこにいくつもりなんだ?」


 人を倒すでもなく牢屋に捕まえて、そして生きたままどこかに運ぶなんてかなり奇妙な行動だ。

 目的が気になる。


 変な手を出して抱えられた冒険者の男に危害を加えられても困るので、ジケは少し様子を見ることにした。

 ある程度距離を空けてゴーレムにバレないように追いかける。


 うっすらとした光も届かないぐらいの距離だから、ゴーレムが見えているのはジケだけである。


「階段?」


 ゴーレムが壁の前で立ち止まった。

 何をするのかと注目していると、地響きのような音を立てて壁が開いた。


 壁向こうにはさらに下に降りる階段があった。


「あっ……」


 ゴーレムが階段を降りていき、壁が閉まってしまう。


「一体何がしたいんだ……?」


 閉まった壁を見てジケは首を傾げる。

 何の遺跡かも分からないし、ゴーレムが何をしたいのかも分からない。

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