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【コミカラ二巻出たよ】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第二十一章

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この遺跡は!6

「サンモーウ!」


「ほ、本当にオルナなのか!」


 少し先にあった牢屋の隅に男がいた。

 イレニアから放たれる光に眩しそうに目を細める男を見て、オルナは目に涙を浮かべる。


「……ああ、よかった」


 サンモーウが生きていたことも良かったことだし、オルナがこうしてサンモーウに再会できたこともまた良かったことである。

 サンモーウは牢屋の奥で鎖に繋がれている。


「ニノサン」


「はっ、お任せください」


 牢屋には開閉できる出入り口のようなところがある。

 軽く触れてみた感じでは鍵がかかっていて開かないようだった。


 鍵がどこにあるかなんて想像もつかない。

 どこを探したらいいのかも分からないし、牢屋に入れられているサンモーウがこれからどうなるのかも分からない。


 となると鍵なんて探している時間はないということになる。

 ニノサンが剣を抜いて鉄格子を斬りつける。


「……くっ!」


 けれども鉄格子は切れず、手の痺れでニノサンは顔をしかめた。


「自分が」


 ジケが視線を向けると今度はユディットが剣を抜く。


「はっ! ……ううっ!?」


 ユディットの剣は魔剣である。

 最高の切れ味を誇るはずの魔剣だったのに、鉄格子に弾き返されてしまう。


「一体何で出来てるんだ?」


 ジケは思わず渋い顔をしてしまう。

 ただの鉄格子に見えるのに、鉄ではない何かとんでもなく固いもので出来ているようだった。


「ならば秘密兵器……フィオスだ!」


 切れないなら溶かす。

 ジケに抱えられたフィオスは一度ニョンと体を伸ばして勢いをつけて飛び上がり、鉄格子にまとわりつく。


「…………あっ、大丈夫そうだな」


 フィオスがまとわりついても変化が見られなくて、まさかフィオスでも無理なのかと一瞬思った。

 しかしふいに鉄格子が溶け出す。


 フィオスに溶かせないものはなし。


「ただなんだこれ? アダマンタイトで出来てるのか?」


 ただし溶ける速度もかなり遅い。

 切れもしないし、フィオスでもなかなか溶かせない。


 そんな素材など滅多にない。

 フィオスにもなかなか溶かせなかった素材など、それこそアダマンタイトの塊だった失敗作ぐらいのものである。


 ジケは鉄格子に触れる。

 鉄格子全部がアダマンタイトだとしたらとんでもないものだ。


 ただ失敗作に比べて鈍い色をしているように見えた。

 もしかしたら純アダマンタイトではなく、アダマンタイトを何かの金属に混ぜたのかもしれない。


「下もな」


 上の方はフィオスがジワジワと溶かした。

 ただそれだけじゃ鉄格子も取れはしないので、下の方も溶かしてもらう。


「ふふ、初めて会った時のこと、思い出しますね」


 リンデランはフィオスが鉄格子を溶かす様子を見て、思わず笑ってしまう。

 ジケとリンデランが初めて出会ったのは牢屋の中。


 フィオスが鉄格子を溶かして脱出した。

 その時のことをリンデランは思い出したのだ。


「そんなこともあったな」


「あの時のフィオスはカッコよかったですね」


「ああ、フィオスは相変わらず万能で最強だ」


「ジケ君も……カッコいいですよ」


「ん……おお」


 リンデランが軽く頬を赤く染める。

 ジケもいきなりの褒め言葉に照れてしまう。


「何デレデレしてんのよ!」


「いでっ!」


 二人きりならともかく、今は周りに人もいる。

 ムッとした表情のエニが杖の先でジケの脇腹をつついた。


「これじゃあまだ通れないか。エニは通れそうか?」


 フィオスが鉄格子を溶かしてくれた。

 ただ縦二本の鉄格子が溶けたぐらいではちょっと大人が通るにも狭い。


「うん」


「様子見てやってくれ」


 サンモーウは立ち上がりもしない。

 鎖に繋がれているとは言っても多少の余裕はある。


 足を怪我しているのかもしれないとジケは見ていた。

 怪我をしていてもエニなら治療できる。


 エニの体格なら通れそうなので、先に入ってサンモーウの容態を確認してもらう。


「んしょ……」


「フィオス、もうちょっと頼むよ」


 エニに中に入ってもらい、フィオスにはまた鉄格子を溶かしてもらう。


「大丈夫ですか?」


「ああ……落とし穴に落ちた時に足を折ってしまって」


 エニはサンモーウに声をかける。

 近づいてみると顔色も悪い。


 ズボンの裾から見える足が紫色に変色していたのをエニは見逃さなかった。


「失礼しますね」


 エニはナイフを取り出すとズボンを慎重に切り裂いていく。


「あらら、結構ひどく折りましたね」


 膝から下が真紫になっている。


「うっ!」


 エニが軽く触れてみると痛みが走ってサンモーウは顔をしかめる。


「じゃあ治療しますね。溜まった血を抜きながら治していきます」


 真剣な顔をするエニは綺麗だなと牢屋の外から見ているジケは思った。

 完全に神官としての顔でサンモーウの治療に当たっている。


「うーん、ユディット、これ持ってこ」


「えっ? あ、はい」


 ジケはフィオスが溶かして外した鉄格子の棒をユディットに渡す。

 もし本当にアダマンタイトなら鉄格子の棒だけでも結構いいシロモノである。


 持って帰ってみようとジケは思った。


「よしっ、これなら入れるかな」


「サンモーウ!」


 さらに二本の鉄格子をフィオスが溶かし外した。

 大人が通れるぐらいになって、オルナが牢屋の中に飛び込んでいく。

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