第11話
「さて、今日はこの辺で終わりかな」
「え、まだ大丈夫ですわ、ノエル様」
まだ日も高いし、カティと契約だけで終わるのは…
「んー、窓からじゃ分かりにくいんだけどね、もう4時を回っているんだよ。
ルークにも説明しなきゃだしね。」
え、もう4時を回っているの!?
でも、窓からは陽の光が射し込んでポカポカと暖かそうなのに…
「ここは1日中昼間なんだ。妖精にも陽の光は栄養になるんだ。月の光もそうなんだけど、闇属性の妖精くらいしか、栄養も多くは取れないから基本は昼間なんだ。」
なるほど…妖精のことを考えるなら昼間がとてもいいのか…
「あの…カティは…」
「もちろん、連れて帰ってもらうよ。
君の契約妖精だしね。」
言い終わるやいなや、来た時と同じ白い光が実現し、ノエル様の後を私とカティが続いて、ローズカティス家のエントランスにまた現れるのでした。
「ノエル…いい加減、いきなり現れるのはやめろ……」
またしてもいきなりエントランスに現れたノエル様をみて侍女が卒倒してしまい、慌ててノエル様が支えようとしたのですが、ノエル様は魔法は優秀なのですが腕力には自信がなかったらしく、侍女を支えきれなかったようで、一緒に倒れ込む始末…
侍女は医務室に運ばれましたが、一応、ノエル様が支えてくれたお陰で、頭も打っておらず、明日には復帰できるそうです。
「悪かったって。
まさか人が目の前にいるとは思ってなかったんだよ。あれだけ慌てたのも久々だったよ。」
「はぁ…
まぁ、いい。リンの方はどうなった。」
「この子は凄いよ。難なく魔法を制御してしまった。闇と光の両方を制御出来る人間はそういない。」
「よかった…。片方の魔力を封印することはないのだな。」
「というか、彼女は全属性使えるよ。」
お父様が固まってしまいました…。
「…聞き間違いか?全属性と聞こえたが…」
「聞き間違いじゃないよ。リンフィアちゃんは全属性使えるよ。」
「はぁぁぁぁああああ!?!?
お前がいながらなぜそんなことになったのだ!
全属性持ちなどと知れれば王妃候補に推薦されてしまうではないかっ!」
「王妃候補へはどの道選ばれてしまうよ。
貴族でも有数の魔法の使い手の娘なんて、王族が欲しがるに決まっているじゃないか。
魔力、学力、容姿、礼儀、どれをとっても優秀すぎる。」
「ふん。当然だ。私の娘なのだからな。」
お父様、そこは自慢する所ではありませんよ。
むしろ、お父様の教育の賜物が王妃候補への道を切り開いておりますよ。
「ルーク、それ、自分で墓穴掘ってるよ?」
「あ……」
お父様が今度は真っ白に…
「はぁ…
ルーク、君がリンフィアちゃんを溺愛しているのはわかるよ?でも、やりすぎだと思う。」
「うっ… だ、だがっ!今の貴族の中で最も王妃になりうる存在はリンだっ!
ならば!父親としてもし、リンが王妃になっても少しでも周りがうるさくないように教育するのが父の仕事だっ!」
「それで、リンフィアちゃんは幸せなの?
リンフィアちゃんが王妃になりたいと言ったの?
ルークがそれじゃ、リンフィアちゃんは暗黙の了解で王妃候補になるじゃないか。王子が他の令嬢を好きになる可能性は十分にある。王様からの期待があるのはわかるけど、少し落ち着いてルーク」
「っ! めんぼくない…」
お父様がノエル様に言い負かされてる…
でも、なぜノエル様はそこまで私の王族入りを反対するのかしら
「ふぅ…ま、リンフィアちゃんはリンフィアちゃんの望む通りにしたらいいよ。僕はそれを応援する。」
「ありがとうございます。ノエル様」
「あ、明日の魔法の練習もまた呼びにくるから、それまで自由にしてて」
「分かりました。本日はありがとうございます。」
そう言ってノエル様はゲートを作り、帰り際に
「こんな優秀な魔道士を王族にしてたまるか」
「?今、なんと?」
「なんでもないよ。またね。」
とても素敵な笑顔でお帰りになりました。
GW.暇です




