表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/100

【日常】上京前日

【お題:ようかん、化石 テーマ:過ぎゆく日常 文字数:495字】

 ときおり、無性にようかんが食べたくなる。

 小学生の頃からそうだ。学校帰り、寄り道して駄菓子屋の前を通ると、ついつい寄ってしまう。

 年寄り臭いかなぁとも思う。けど私の口が、あのちょっとくどくてやさしい甘さを、求めているのだ。

 

「あらいらしゃ~い日和ちゃん。今日もお散歩かい?」

「うん、ちょっと道草」


 今どき化石みたいな店構えの奥で、生きた化石みたいな婆ちゃんがニッと笑う。

 私も小さく笑って、お店を物色。ガムとかゼリーとかラムネとか、安っぽいお菓子がガサガサ並んだ棚に、思わず目移りする。

 そこから一本20円の一口ようかんを二本、手に取る。あと気になった30円のスナック菓子も一つ。


「あい、70円ね~。まいど~」

「ん……ありがと」


 お店を出て、あぜ道を歩きながら、ようかんを一本咥えた。

 田んぼの周りではトンボが飛んで、遠くには山が見えて。いつもと変わらない景色が静かに広がっている。

 気づけば空は夕焼けに染まっていた。


「……明日にはもう、転校かぁ……」


 カタンカタン、と、遠くで電車の音が聞こえた。

 一日一本の電車は、今日はもう帰ってこない。

 いつもと変わらないはずなのに、今日のようかんは、なぜか切ない味がした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちらは「徒然なるままに500文字小説」の姉妹作品(現在連載中)です。
500文字よりほんの少しだけボリュームが増えています。
よろしければ、ぜひこちらもお楽しみください。
【徒然なるままに1000文字小説】
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ