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【シリアス】仮面をつけた日

【お題:コーヒーカップ、かけら テーマ:伝わらない本心 文字数:488字】

「ちーがーうーのー! だってママが……」

「ママはお料理で忙しかったでしょ? 人のせいにしちゃダメよ」


 割れたコーヒーカップの前で、ママが叱って、私が言い訳する。

 割ったのは私だ。

 でも、違う。そうじゃない。

 なのに……いくら言葉を紡いでも伝わらない。


「そーだけどー! ママに頼まれた後パパが呼んだから」

「呼んだから?」

「急いでそっち行って」

「その前にカップ片付けてって言ったじゃない?」

「だからー! そーじゃなくてー!」


 言葉は、心のかけら。

 どれだけ本音を吐露しても、かけらは足りない。

 だから誤解される。

 言いたいことはいっぱいあるのに、心のすべてが伝わらない。


 もう、何分口論を続けただろうか。

 だんだん疲れてきて、うんざりして。

 話を止めにしたくなる。


「…………もういい」

「ナニ? 言いたいことがあるなら、きちんと」

「いい。ごめんなさい」


 ピシャリと言い切って、さっさと頭を下げたら。

「次から気をつけてね」なんて、優しく、屈辱の言葉を浴びせられた。


 ……どうせ伝わらないのなら。

 初めから口答えしなきゃいいんだって、学んで。


 この日から、私は二度と本音を口にしなくなった。



 ……今もずっと、心は涙を流している。

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