チャンス
まぶしい。昨日の夜カーテンが閉まっていたことくらいは覚えている。
なぜだろうか。
その答えは今の自分のおなかの上にある。
「なんであなたがここにいるんですか裕奈先輩」
「なんでそんな不満そうな顔をしているのだ? お姉さんが起こしに来たのに」
「いやいや、頼んでないですし。そもそも不法侵入ですよねこれ。警察に連絡しますよ」
「ふっふっふ、残念だったな。私は堂々とインターホンを鳴らし、君のお母さんとあいさつをしてここに来たのだ。あ、もしや起こし方に不満があったのかな? 目覚めのキスとかのほうがよかったか?」
「あるわけないじゃないですか。そんなことより裕奈先輩案外重いんですね」
「ちょ、何を言ってるんだ! 女性にそういう話をすると嫌われるぞ」
「すいません。自分も体型に関しては触れてほしくないです」
「それはさておきだ。映画部のことだがどうするんだ?」
「先輩すいません。まずしたくしていいですか?そのあと歩きながら話しましょう」
「おっと、すまん」
俺はすぐ制服に着替え、すぐ歯磨きをして、パンを加えながら家を後にした。
昔のアニメのヒロインか。
「改めて、映画部のことだが私もあの後話してみたが、やはりまだ学校が許可をくれなくてな。どうしようか考えているのか?」
「どうするんだって言われてもですね………………………とくに考えてないですよ」
「はあ……………」
「露骨にため息つかないでくださいよ」
「まあ、きみの好きなようにしてくれ困ったことがあったらいつでも言ってくれればお姉さんが助けるから」
「ど、どうも」
そんな会話をしていたらいつの間にか学校についた。
「じゃあまたあとで」
「はい、また」
裕奈先輩と別れて靴を履き替える。そのとき急に目の前の下駄箱が話しかけてきた。
「……よう」
ん?
「あ、あの十宮君!おはよう!」
「うあ!びっくりした」
急に星宮がでてきた。驚きが大きくて後ろに倒れてしまった。
「おはよう。星宮、昨日はごめんな」
「いやいやいやいや大丈夫だよ!というより嬉しかったよ」
「それならよかった。ところで昨日茜ちゃん怒ってなかったか?」
「うん…それは……まあ」
怒ってたんだね。うん。ほんとにごめん。急に話しかけた俺が悪かったよ許してくれ。
「何で昨日話しかけてきたの?」
「話せば長くなるんだけど、茜ちゃんを俺が作ろうと思ってる映画のヒロインにしたいんだ」
「十宮君映画作るんだ……………」
「そうだけど、どうかした?」
「ん?いや?なんでもないよ!それは茜も嬉しいと思うよ」
「でも、昨日ので引かれてるよなぁ……」
「じゃあ今日うちくる?」
なんだ?なんだなんだなんだ!?チャンス到来か?
「いいのか?」
「是非!!」
こんなに嬉しいことはない。いいところもあるじゃないか、星宮。だがまだ得たいの知れないところが多いからな。
「ほんとにありがとうな」
「いえいえ」
俺はいい気分で、教室のドアを開いた。
「おっす」
「おう」
「どうしたんだよ。気持ち悪いな。何かあったのか?」
「まぁ、超絶いいことがあったんだよ」
「それはよかったの」
「そんなことよりお前昨日日葵にににもしてないよなぁ?」
「お??気になるか?気になるよなぁ?愛しの妹だもんなぁ」
「お前何かしてたらただじゃすまさんぞ」
「なにもしてないはずだけどね………」
「あやふやにしてんじゃねぇよ!!」
「うるせぇ!!疑ってんのかよ!!」
(なんだようるさいな消えろよ)
(気持ち悪!デブ陰キャ)
すいません。黙ります。なんなら死にます。
朝からやらかしたなぁ。ついつい熱くなっちゃうんだよなこいつが相手だと。とりあえず小声にするか。
「と、とにかく日葵にはなにもすんなよ!」
「わかった!わかったから」
「それでいい」
「そんなことより、今日何があるんだよ」
「ああ、今日星宮の家行くんだよ」
「は!?マジか!?お前ら仲良かったのか?」
「星宮の妹に会いたくてだな」
「キモいなお前」
「ほざけ」
「まあ、止めないけどよ」
なんだなんだ止められてたまるか。やっと来たチャンスだ。無駄にするわけにはいかない。
と、俺は1限の授業の教科書を開いた。
6限終了の鐘がなり、俺はすぐさま星宮と待ち合わせている校門へ向かった。
「お待たせ。十宮君」
「よろしくな」
「それじゃあいこっか」
俺はじぶんの家の反対方向へと歩きだし、星宮の家へ向かった。
その先にあるのはきっと明るい未来。
きっと大丈夫。
そんなことをじぶんの心に言い聞かせて歩いていった。
そうしているうちに到着してしまった。
「ここだよ」
「でかいなぁ。楽しみだ」
「ふふ、じゃああがって」
「おじゃまします」
俺は期待と不安を抱え、いや、
希望と恐怖を胸に抱き星宮家へ足を一歩踏み入れた。
読んでいただきありがとうございます。
今回は書いてる量が自分的には多く感じました!
次回もよろしくお願いします。