死
支度を始めたはいいが今日はもう放課後で学校は終わっている。でも俺は手を動かすことをやめずひたむきに荷物を整理していた。
さっき茜ちゃんに色々言われて、とりあえず学校にいこうと思い行動を始めたが今日はどうしようもない。
動かしている手は相変わらず止まることを知らずにいるが、そんなのは気にもせずにパソコンが鳴いた。
「そうだ十宮くん、カメラ買いに行こうじゃないか」
鳴いたパソコンの画面が光り浮かび上がったのは裕奈先輩からのチャットだ。
「どうしたんですか急に」
「いやいや、そのままの意味なんだが。君カメラ持ってないだろう? 買いに行けたらいいと思ってな」
そういえばカメラは持っていない。この間動画を撮ったのも母さんに借りたもので、自分のものはもちろん存在しない。
欲しいと言えば欲しい。でもここで問題になるのは買うときにどういう状況になるかが重要だ。先輩と一緒に出掛けてまた日葵に怒られたりしたらたまったもんじゃないからだ。
「気遣いありがとうごさいます。自分なりに選んでみますね」
「そんな……遠慮することはない。やっぱりカメラにも向き不向きというものがあってだな」
「でも悪いですよ」
「……」
その後も会話は続いてついに買い物に行くことになってしまった。俺的には別に行きたくないわけではない、むしろ行きたい! が、日葵に……
俺はしぶしぶ部屋を出てから、階段を降りて日葵がいるであろうリビングへと向かった。
「日葵ちょっといいか?」
「なに~? 今ゲームで忙しいんだけど」
「なんですかお兄さん。寂しくて降りてきちゃったんですか?」
「そんなわけないだろ! ていうかまだいたのか」
二人は女の子らしからぬ寝転んだ姿でゲームをしている。母さんがいないのをいいことにダラダラ遊んでいて少し気分が悪い。
「いいじゃないですか。まだ5時なんですよ?」
茜ちゃんはゲームに集中しているのか俺の方を一切向かず適当に返事を返しているように見える。
「そんなことどうでもいいから俺の話を聞いてくれよ」
「ちょっと、どうでもいいってなんですか? 私たちにとってゲームは大事なんですよ! お兄さんの話の方がどうでもいいですよ」
そういうと茜ちゃんは転がって少し体制を変えた。俺の目に飛び込んできたのは、白い布に犬の顔がプリントされたものである。最初はなにかわからなかったが、すぐに彼女の下着であることは女性経験の少ない……いや、まったくない俺でもすぐわかった。
「わ……わかったよ。はは」
俺はしばらく離れたところから茜ちゃん(のもの)を見ようと椅子に座った。
相変わらずかわいい。あんなにかわいい子なのに毒舌なんて「顔はかわいいのに性格が無理!」なんて言われるタイプ間違いなしだよ。でもそんな人たちも犬柄の下着を履いてると知ったらそんなイメージぶち壊れること間違いなしだろう。
「にいちゃん! お兄ちゃん!」
妹よ、今は忙しいのだよ。話ならあとでするからゲームに集中しなさい。
茜ちゃん(のもの)に見とれていると、突如頭に強い衝撃が走った。誰かに叩かれたような衝撃だ。しかし、俺の後ろには誰もいないはずだし母さんが帰ってきた形跡もない。
「もう! お兄ちゃんどこ見てるの?」
「ああ、いや。ちょっと茜ちゃんの……」
「茜ちゃんの?」
日葵は俺の視線の先と同じ場所に目を向けると絶叫しながら、俺のもとを離れた。
「茜ちゃん! お兄ちゃんが茜ちゃんのパンツ見て興奮してるよ」
「ふえ!?」
茜ちゃんはすぐに立ち上がり顔を薄紅色に染めて俺の方へ一歩一歩近づいてきた。しかし彼女は俺の横を通りすぎていった。
「あれ?」
「お兄ちゃん。これやばいよ! 茜ちゃん本気で怒らせたらやばいんだから」
日葵の一言を遮り、茜ちゃんは包丁を持って俺のもとへとやって来た。今度は俺の目の前でピタリと止まった。
「見ましたか?」
「いや~見たというか、見えたというか」
「はっきり答えてくださいよ。この変態じじぃ」
「見ました」
あまりの怖さに即答してしまったが仕方ない。あれは迫力がすごすぎる……逆立つ髪の毛に、殺意の芽生えたような目、覚醒したアニメキャラクターのようなオーラ、あれはとても人間と呼んでいいものではない。
「どんなでした私のパンツ。興奮しました?」
「………………はい…………………」
「正直でよろしい。豚さんの割には素直でしたね。嘘ついてたら殺すところでした」
俺は静かに目を閉じて自分の死を受け入れた。
読んでいただきありがとうごさいます!
タイトル少し大袈裟でしたかねww




