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憧憬の向こう側  作者: 葉竹ゆり
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つい、さっきのはなし


寝言だからかなぁ?

セリフみたいなやさしい、

思いやりのある言葉を

かけてくれたんだ、たった、いま。


ね?だいじょぶ?

なんかあるの?

いってよ。

ひとりで、考えこまないで。


どうせ、いつもの寝言だろうと

テキトーに、

ウンウンって

うなずく返事しておいたんだが、

(ホントは、)

(寝言に返事しちゃダメって知ってるけど)

(彼女、返事しないと、返事は?)

(って、問い詰めてくるから。)

(もちろん、寝言で)

言ってる内容よく考えたら、

私のこと、

メッチャクチャ、気にしてくれてるから、

フツーに起きてるときより、

やさしい言葉を頂きまして、


なんか、彼女の寝顔

(口ぽっかりあけて、カワイイんだけど……)

見てたら、

なんか、涙が出てきたよ。

ありがとう、

って。

夢の中でまで

私のこと、想ってくれて、ありがとう、

そして、さよなら、

私はもう、行かなくっちゃ、いけない。


行かなくて、いいなら、

たぶん、いま、

眠っている彼女の身体や心に、

あんなことやこんなことでも、

やりたい放題やってあげて、

彼女を喜ばせてあげられるのに。


でも、

起き抜けの私をそんな気

(ヤラシイ意味じゃないよ〜)

にさせちゃって、彼女ったら、

私が理性ぶっ飛ばして、

もう、行かない!

おうちに、いる!

とかいいはじめたら、どうするつもりなのよ?


でも、そうはならないように、


辛いでしょうけど、

頑張ってね、


とか、

某缶コーヒーの海の底より静かなCMの

あのやさしそうな女優さんの言葉みたいに

心震わせながら、励ましてくれるから

(むろん、寝言で)

しかたがないので、

今日も頑張っちゃいましょう!



で、いい感じで

出て行こうとすると、今度は、



ンンンンンンンンウン〜………

イラつくわあ。



そんなに怒らないで、ね?

おシワが増えるわよ、って、

彼女の眉間を左右にひっぱって

シワを消してあげる手助けをしてたら、


ンンンンンンンン〜………

って、今度は、

手を上げて、私の指を払いのけようとする



そりゃ、まぁ、そうだわな。







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