僕の子猫の鳴き声は、少し寂しげなんだよね?
僕のかわいい子猫ちゃん。
君の瞳に映る世界は、
どんなに綺麗な、星降る夜空か?
悲しみかけらも知らないと、
いっちゃうけれども、
『にゃ〜、にゃ〜、にゃにゃにゃ』
僕の子猫の鳴き声は、
少し寂しげなんだよね?
遠い街から、来たらしい。
ある日窓辺で鳴いていた。
上目使いで見上げる目、
可愛く、哀しく、濡れていた。
その目に惚れた、僕の負け。
それから、ひとりといっぴきの
『ふたりの』暮らしが、始まった。
その日を境に、灰色だった
この部屋この家この街この国、
この世のすべてのものごと、できごと、
すべてが、明るく光りを放ち、
僕の心も、きらめき出した。
それは、夢よりしあわせな、
心うるおすときだった。
僕は過ぎ行くしあわせに慣れ、
子猫の鳴き声、聴かなくなった。
そして、子猫が、あのとき、倒れた。
ぜんぶ、僕が悪いから、
僕がすべてを引き受けるから、
どうか神様お願いですから、
この子を天へと召さないで。
祈りに、祈って、夢の中で、
神様に会えて、尋ねられた。
『もはや、この猫は、ただの猫だが、
それでも、助けて欲しいか?
この猫の業をすべて引き受けても、
この猫を、助けたいのか?』
むろん、
ええ!
と、答える。
お願いいたします、神様。
そして、さすがは、神様のおちから、
仰ったとおりの不幸は、訪ずれる。
でも、それでも、
猫は、助かったんだから、いい。
僕にどんな試練が訪ずれても、いいよ。
だから、僕は、女猫になり、
この猫といっしょに、過ごすんだ。
ひとりといっぴきのこの部屋は、
2匹の女猫の部屋となる。
そこで、2匹がなにをして、
どうなって行くかも、わからない。
けれど2匹は、しあわせを、
目指して連んで生きてゆく。
あきらめないわ、オンリーユー?
2匹のしあわせ、探す旅。
2匹はそのうちこの街を出て、
2匹の世界の果てまで行くだろ?
ちょっと、こわい?
いいえ、大丈夫。
そのため2匹は、この部屋で出会い、
そのため2匹は、認め合い、
そのため2匹は、愛しあったんだから。
ね?
そうでしょ?
だから、そんな悲しそうな
顔と鳴き声は、やめてよ。
僕まで泣きたく、なっちゃうじゃない?




