あなたに捧げる「あいうえ」おんな。
1
すっごい、孤独なの。
周りに人がいない訳じゃない、
いっぱいいるんだけど、
誰も、私じゃなくてもいいんでしょ?
私が、その場で、そこにいるから
寄ってきてくれるだけでしよ?
私じゃなくても、
全然いいよね、
みんな?
いいに、決まってるんだ。
だから、孤独なの。
すっごい、孤独なの。
誰か、誰でもいいから、
私のこと、私だから必要だってひと、
いません?
いれば、私泣いてその人のことを
好きになってしまうだろうな。
身も心も、捧げちゃうだろうな?
あ、でも、騙そうとしてもダメだよ。
ウソだとバレたら、殺しちゃうからね?
念の為、私、自称三流詩人だけど、
「殺しちゃう」は、比喩じゃなくって、
ただの殺人という意味で、コロス。だからね。
2
私、バカなのかなぁ。
ホント、騙されちゃったみたい。
殺せるほど憎めるかと
思っていたけど、
やっば、情が移っちゃって、ダメだね、
未練を断ち切ることもできないよ。
いまでもまだ、好きなまんま、
心ゆらゆら、ぶーらぶら、
あの人のこと
思ってしまうんだ、バカなんだ。
コンビニ前の喫煙所で出会って、
最近ホントタバコ吸う場所、困るわよねぇ、
なんて、声掛けられて、
そうですねぇ、
から始まった私の恋。
翼さんを、
翼ってファーストネームで呼んだのは、
その夜からだった。
呼び捨てでいいよ、って、
キスのあと、
吐き出すように言ってくれたとき、
私、あなたの香りに酔ってしまって
ハイ、ツバサさん、とか応えちゃって
バッカだね〜っと
もう一度こんどは軽くおでこにキスしてくれた。
ツ、バ、サ、
でいいんだよ?
うん、わかりました、ツバサ。
いや、敬語はやめようよ、私たち、
愛し合うんでしょ?
対等に、お互いに、末長く、幾久しく、
ねー?
身体も、きゅんってなったけど、
もう、その言葉を聞いたとき、
結婚式はあげないけど、
それに近しい誓いの言葉かと、
思っちゃったよ、勝手にだけどね。
で、こころが、ずくずくに濡れてしまって
あなたに思いっきり抱きついたんだよ、
ぶら下がるようにね?
ね?
覚えててくれてる?
それから
ふたりだけの愛の儀式をして
(バッカ、秘密に決まってんだろ?)
生まれた日はちがっても
共に死なんとほっしたね?
義姉妹の契りは
交わさなかったけどね?
それが、出会って翌夜のこと。
バカでしょう?
どれだけ、愛に、飢えてるのよ?
あいうえお、んな、か?
漢字で書いて、
愛 飢 女
ね。
でも、まんざら、ほんとうの
バカでもないんだ。
翼さんは、悪くないと、わかるくらいは。
悪いのは、私だよ。
ホント、勝手に、好きになって
勝手に困ってるだけなんだ。
いっしょに暮らしたいなんて、
ハナっから無理に決まってんのに、
翼さんに甘えれば、
なんとかしてくれるんじゃないかって
思ってしまった。
私の「好き」って、重いんだ。
みんな、そういって、去ってった。
翼さんだけは、
それにはちゃんと応えてくれたけど、
あの人には、
ちゃんと帰るべき家があるからね、
それは、一番最初にキスする前から
教えてくれていたんだ、
それでもいい?って。
翼さんは、卑怯じゃない。
でも、ズルい。
これだけ好きにさせておいて、
勝手に好きになったんでしょ?とか
思ってるんでしょ?
私を騙した訳じゃあないとか、
思っているんでしょ?
あーあ、当初の計画とおりに、
殺したいほど憎めたらなぁ。
あの人じゃなきゃ、簡単に憎めるのにな。
でも、あの人じゃなきゃ、
こんなに好きにならないか………たぶん、そう。
痛し痒し、で、言葉合ってる?
………たぶん、違う。




