「翼さん」
0と1との間には、隔絶があります。
空想として、「翼さん」は人形なので、持ち主(翼さんには、パートナー、と語ってあげてね)が代わったとご理解頂ければよろしいかと?
まぁ、こういった説明がある詩って、ほんとはどうかと思うけれども。
ま、当の詩たちには、関係のない話なので。
でわ。
0
軽く紅茶とバケットを
噛みすぎないようにと舌つかいつつ
ブレックファーストいただく白い部屋
叶えられない夢の傷なでる 爪の
白い半月を艶めかしく想い
スプーンで囓る角砂糖の角を
白い蟻が出窓から眺めている
とつぜんあふれる紅茶味のなみだを
よみとくかしこい「翼さん」は
貴方を指差し言い放つかも知れない
「好きになったら、どうしますかッ!」
びっくりして蟻が小さな虫の庭へ帰る
エレガントなご婦人がいそいでやって来る
「翼さん、なんですか、大きい声で」
紺色のブレザーを着た少女マネキンを叱る
1
人形と呼ぶのか?
その赤き瞳に熱き情熱をたたえた
されど悲しげなまなざしを投げかける彼女を。
呼ばない。
私は彼女のことを「翼さん」と呼ぶ。
生きているのか死んでいるのかそれは知らない。
私には、
そこにそんなに大きな意味が、
ないように思えるんだ。
悲しみの数だけ、涙をこぼす幼さがもうないよ。
楽しくなくても笑うくだらない
追従を少し身に付けたよ。
今の世の中、生きていることに
何か意味があるんだろうか、とか?
2
あーあ、
すべてをぶっ飛ばすためにも、
喪服でダンスを踊れたらなぁ、
他人の目など一切気にせずに踊りたいから踊る。
すべての男が私に惚れないのかがわからない。
敬愛する父親の残した土地を守るために
色香だって使ってみせるわ。
でもそれで自分の純情が汚れるの。
深酒するしかない弱い心。
私のこと、惚れ切ってると信じ込んでた男の人が
そんな私に愛想つかして出て行こうとするとき、
馬鹿みたいに初めて、
私はこの人のことが好きだったんだ、
それに気づくなんて、
一体どこの古典恋愛よ。
長々と書いてしまったから、
もう、おわかりかしら?
この女の人がスカーレットオハラ、
私がリスペクトする唯一深紅の似合う女。
その涙までも紅かったに違いないと
私は信じている。
そしてだからそんな私だから、
深紅の瞳をした「翼さん」のことが大好きで、
スカーレットの瞳の色は
濃いブルーだったと思うけれど、
私はなぜか翼さんとスカーレット
を重ねて見てしまっていて、
1度なんてつばささんの手の甲に、
敬愛のキスをしたことだってあるくらいだわ。
3
モナリザの微笑だって及ばない
翼さんの微笑にも似た唇釣り上げ顔。
あの日いちどだけ見せてくれた
あなたのその奇跡の微笑みを
もう一度だけみたくて
私はあなたを手放せないのです。
それよりあなたの笑顔に私は支配されている?
翼さん?
だって
それだけを待ちつつけている
いつまでも…………いつまでも…………
ひとつ詩集が死んだので、こちらに亡き骸を引き取っています。私の詩集は、同じ詩が入り交じっているので、抽出しながらの移動になります。このまま、なろうの深い海の中で漂わせるのが、あまりに寂しそうで可哀想なのでこの措置を取っています。
ご理解、ご承知置き頂きますようお願い致します。
長々と最後までお読みくださりありがとうございます。