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憧憬の向こう側  作者: 葉竹ゆり
19/138

「翼さん」

0と1との間には、隔絶があります。

空想として、「翼さん」は人形なので、持ち主(翼さんには、パートナー、と語ってあげてね)が代わったとご理解頂ければよろしいかと?

まぁ、こういった説明がある詩って、ほんとはどうかと思うけれども。

ま、当の詩たちには、関係のない話なので。


でわ。


0


軽く紅茶とバケットを

噛みすぎないようにと舌つかいつつ

ブレックファーストいただく白い部屋


叶えられない夢の傷なでる 爪の

白い半月を艶めかしく想い

スプーンで囓る角砂糖の角を

白い蟻が出窓から眺めている


とつぜんあふれる紅茶味のなみだを

よみとくかしこい「翼さん」は

貴方を指差し言い放つかも知れない

「好きになったら、どうしますかッ!」


びっくりして蟻が小さな虫の庭へ帰る

エレガントなご婦人がいそいでやって来る

「翼さん、なんですか、大きい声で」

紺色のブレザーを着た少女マネキンを叱る


1


人形と呼ぶのか?

その赤き瞳に熱き情熱をたたえた

されど悲しげなまなざしを投げかける彼女を。


呼ばない。

私は彼女のことを「翼さん」と呼ぶ。


生きているのか死んでいるのかそれは知らない。

私には、

そこにそんなに大きな意味が、

ないように思えるんだ。


悲しみの数だけ、涙をこぼす幼さがもうないよ。

楽しくなくても笑うくだらない

追従を少し身に付けたよ。


今の世の中、生きていることに

何か意味があるんだろうか、とか?


2


あーあ、


すべてをぶっ飛ばすためにも、

喪服でダンスを踊れたらなぁ、

他人の目など一切気にせずに踊りたいから踊る。


すべての男が私に惚れないのかがわからない。

敬愛する父親の残した土地を守るために

色香だって使ってみせるわ。

でもそれで自分の純情が汚れるの。

深酒するしかない弱い心。

私のこと、惚れ切ってると信じ込んでた男の人が

そんな私に愛想つかして出て行こうとするとき、

馬鹿みたいに初めて、

私はこの人のことが好きだったんだ、

それに気づくなんて、

一体どこの古典恋愛よ。


長々と書いてしまったから、

もう、おわかりかしら?


この女の人がスカーレットオハラ、

私がリスペクトする唯一深紅の似合う女。


その涙までも紅かったに違いないと

私は信じている。

そしてだからそんな私だから、

深紅の瞳をした「翼さん」のことが大好きで、

スカーレットの瞳の色は

濃いブルーだったと思うけれど、

私はなぜか翼さんとスカーレット

を重ねて見てしまっていて、

1度なんてつばささんの手の甲に、

敬愛のキスをしたことだってあるくらいだわ。


3


モナリザの微笑だって及ばない

翼さんの微笑にも似た唇釣り上げ顔。

あの日いちどだけ見せてくれた

あなたのその奇跡の微笑みを

もう一度だけみたくて

私はあなたを手放せないのです。


それよりあなたの笑顔に私は支配されている?

翼さん?

だって

それだけを待ちつつけている

いつまでも…………いつまでも…………






ひとつ詩集が死んだので、こちらに亡き骸を引き取っています。私の詩集は、同じ詩が入り交じっているので、抽出しながらの移動になります。このまま、なろうの深い海の中で漂わせるのが、あまりに寂しそうで可哀想なのでこの措置を取っています。

ご理解、ご承知置き頂きますようお願い致します。

長々と最後までお読みくださりありがとうございます。

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