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大食い地獄  作者: 夏北 沖冬
処刑台への階段
49/50

21段目

 8匹目の猿を殺してから、もう10日以上、水しか与えられず食べ物を口にしていない。もしも今、檻から出られたならば、真っ先に猿でも何でもいいから、獲物を探し捕らえて、空腹を満たしたかった。

 大食い番組の撮影中、トイレに駆け込み、吐き戻した料理のことを今さらながら思い出す。ずいぶんと罰当たりなことをしたもんだ。もし過去に戻り、その罪が許されるならば、構わず便器に手を突っ込んですくい取り、口にしたい。

 あまりの空腹に、立ち上がることさえできず、昨晩から寝たきりの状態でいると、誰かが近付いてくる足音がした。

 やっと食べ物を持って来てくれたのだろうか。衰弱のため、よく見えない目を凝らして、開けられた扉の方をうかがうと、自分と同じくらいの体格の真っ黒い動物が入れらた後、鍵が閉められた。

 これだけ大きくて全身が黒いということは、猿ではなくゴリラだろうか。もしゴリラならば筋力も強く、俺の方が殺されかねない。早いとこ仕留めようと最後の力を振り絞り、足元に置いてあった黒曜石を探ると、皮製の鞘におさめられたナイフを見つける。

 「ありがたい」・・・これならば弱っている俺でも、何とか戦えそうだ。

 


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