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お笑い養成所時代(3)
コンビを結成して早速、慎太郎から小劇場のお笑いライブに出演できるオーディションがあるから、腕試しに受けてみようと誘われた。新ネタを作るだけの技量と時間がなかった俺は、長浜の作ったネタを、そっくりそのまま拝借することにした。
「驚いたよ、そのネタ斬新だねー、合格」
ライブを主宰する有名な放送作家の先生から絶賛された。2人合わせてのギャラは5千円だったが、初めてお金を頂いて舞台に立つことができた。立ち見の客を含めて100名ほどだが、若手の登竜門として知られるライブで、目の肥えた客にウケたことは自信になった。
「俺、慎太郎とやっていくことにしたから・・・」
田舎から戻ってきた長浜には、その一言でコンビ解消を告げた。
長浜はしばらく間、誰ともコンビを組むことなく養成所に通っていた。しかし俺達がネタ見せの授業で長浜作のコントを披露すると、奴は教室から出て行き、その日を最後に姿を見せなくなった。