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身長170なくてフラれたら、盲目のイケメン神主に束縛されちゃいました 〜激重スパダリに絆されるドキドキ妖怪退治記〜  作者: レンジ


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6/6

6話 これが噂の賢者モード

ここからまたBL要素薄めです(たぶん)

乱れた襟元を正して、俺は男の目を見た。

相変わらず宝石みたいに綺麗やねんけど、皮肉にも本人は目が見えない。そのはずなのに、ただ一つだけ言えることは、明らかにこの人は俺のことを見ている。勘違いなんかじゃない。目で見てるんじゃなくてなんかもっとこう......奥底から監視されているような気分や。


「おじさんは変態なん?」

「お兄さんな。あと、俺は断じて変態じゃない」


男はため息をついたあと、胡座をかいて頬杖をついた。汗ばんだ額に一筋の髪がたれて色気が倍増している。

若干そのオトナな雰囲気に気圧されつつも、そろそろ聞かないといけないことを思い出す。


「じゃあ、お兄さん?の名前教えてよ」


ずっと、この男だとか、コイツだと気味が悪い。そう思って聞いたけど、男は信じられないという顔で口を開けている。


「俺の名前も知らないのか?たくっ......お前は書道もしたことがないのか?」

「はぁ?」


流石に俺に向かって、書道をしたことがないっていうのはナメてるやろ。こう見えても結構上手いねんからな。

俺の睨みなんてどこ吹く風、男は姿勢を正すと咳払いをして答える。


「遥叶 久遠だ。雨垂神社の宮司で、書家としては......」

「雨垂神社!?あの......!」


その神社ならよく知っている。数ある京都の書き初め大会のなかで、一番賞が取りやすいっていうのが売りだったせいで応募が殺到し、結果賞が取りにくい大会の一つになった神社や。

確かかつての宮司が書道をこよなく愛していたから短歌まで残してたんだっけ。

そんな由緒ある所の宮司が、コレ。

今一度見てみる。

高身長でイケメン。ついでに筋金入りの変態。

総合評価、書家の恥。


「書道......やらんほうが良いんじゃないですか?」

「人がまだ何も言ってないのに......それに俺の『時舵』の分際で偉そうだぞ!」


書道であれこれ言われるのが地雷なのか、真っ赤になって怒ると偉そうだなんて言ってくる。それはそうとさっきからこの久遠とやらはどうして俺のことを『時舵』と呼ぶのだろう?


「その『ときかじ』ってなんですか?」

「時舵とはって......」


久遠は、そんなこともわからないのかとでも言いたげな目でこちらを見ている。だけどわからないものはわからない。だったらいっそこの場でたまり溜まった質問を全部聞こうじゃないか。


「まあ簡単に言うとだな......時舵は、俺が一番欲しい人材で、時を超えて最適な存在を呼び出せる力であり、その人のことを指す。つまり、お前こそが、今俺が一番欲しい存在なんだ」

「つまり罰ゲームと」

「なんか腹立つなぁ」


ゲームっていう言葉の意味がわからなくても、人はバカにされていることがわかるらしい。そのへんの感性は今も昔も変わらないみたいだ。ついでに、コレを聞いたおかげで腑に落ちることもある。つまりここはもしかしなくても......


「......じゃあ、今は、令和じゃない?」

「令和?今は永延だが......」


うん。よくわからんけど、明治より前ってことやな。

つまり、俺はタイムスリップをしたと......。なるほど。

不思議や。パニクってもおかしくないのに、さっきまでにだいぶ変なことがありすぎたせいで落ち着きすぎてる。なるほど、人はこれを賢者モードっていうんやな。


俺はこの男が望む人間だったから大昔にやってきて、そんで襲われとったと。

そうやん。俺襲われとったんや。じゃあ、この男が望んだ理想って......。


「わかった!あんたが欲しい人材って、可愛い男の子――」

「違う!断じてお前は可愛くない!」


あれ?俺が可愛くないって聞き間違いかな?

でもそれだと意味のわからないことが一つある。


「じゃあ、俺をその......弄ったのには理由があるんですか?」

「言い方を考えろよ!はぁ......。まあなんだ?俺は目が見えないだろ。だけど霊気は感じられるから、お前に俺の霊力を注いでその存在が確認できるようにしたんだ」

「霊......力?」

「お前には馴染みがないのか?お前が来たのだってそうだし、お前に服を渡すときに使ったのも霊力だ」


ああ、なるほど。あの、明らかに人としてありえない力のことか。そんで、それを使って俺を認識するために体中を触ったと。なるほど、なるほど。道理でさっきから目じゃないところからの視線を感じたわけや。

それにしても今日はほんまに落ち着いとるな俺。さすがは賢者モード。これは世紀の大発見やぞ。

久遠は眠そうにあくびをするとそのまま手を伸ばして俺の頭をワシャワシャと撫でる。


「まあ、可愛くはないが。放っておけないのは事実だな」

「......唐突な告白ですか」

「違う」


彼は目を細めながら微笑むと、俺と距離を詰める。同じ布団の上、気をつけないと顔が当たってしまう距離だ。

久遠は囁くように言った。


「俺が時舵に望んだこと。それはな......」


いやまずいぞ。これはやっぱり告白モードやん。でも安心してほしい。今の俺は何でも受け入れてやれる寛大さがあんねん。

ゴクリっ。さあ来い。どんな変態的な趣味でも受け止めてやる勇気もちょっとはあるぞ。


「この世界の物の怪を倒すことだ。だからお前に死なれたら困る」

「......なにいってんの?」


さっきまで順調だと思っていた賢者モードが一瞬で終わる。

物の怪?倒す?それが俺?

何言ってんの?まじで。


次の投稿は


11月9日(月)

17:10です


m(_ _)m

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