10話
新太は数日を過ごし、堅さにも慣れてしまったベッドに横たわって、異世界入門書を開く。
ティナから話を聞いたことで、ギルドに関しての情報が増えているかもしれないからだ。
「多少は増えてるが……ティナさんの話を少し補足してる程度か」
例えば、冒険者ギルドであれば、“依頼の内容”に関して、などだ。
どうも冒険者というのは名ばかりで、どちらかというと“街のなんでも屋”といった依頼が多いらしい。
新太がブラック企業の社畜だった前世の世界で流行っていた異世界小説のような、いわゆる“魔物退治”といった仕事はほとんど無く、あっても“害獣退治”程度のものだ。
なんともロマンのない、世知辛い世界である。
「地図の方は……特に更新されてない、か」
どうやら地図は話を聞いただけでは更新されないらしい。
ただ、先ほど見た各ギルドの情報ページには、しっかりと“門から伸びる中央通りを進んだ先の広場”とティナさんが教えてくれた情報が入っていた。
つまり、この地図はあくまでも“新太が歩いた場所付近”を情報として記載しているらしい。
「何があるか分からんし、一度街の中をしっかり歩く時間を取った方が良さそうだ」
特に、明日からは冒険者ギルドでも仕事を探す必要があるのだ。
この街をしっかりと見ておくのは、効率的な仕事と、スムーズな完遂に大きく影響してくるはず。
「作業ゲーの効率中毒者の力、みせてやる……ぜ……」
15歳とは思えないあくどい顔で笑いながら、新太の意識は闇に溶けていく。
効率的に仕事をしたとは言え、どうやら身体は疲れに正直だったらしい。
◇◇◇
「なるほど、ここが冒険者ギルドか。思ったよりも立派な面構えだな」
新太が異世界に転生してから3日目の朝、早々に準備を済ませた新太は、ティナの教えてくれた通りに道を進み……広場にある冒険者ギルド前にやってきていた。
石運びの仕事は今日までボーナス付きの仕事ではあるものの、仕事に1日を費やしてしまうと、明日からの仕事に困ってしまう。
それゆえに新太は、朝早くから冒険者ギルドへと向かい、さっさと登録を済ませてしまうつもりだった。
……まさに効率の鬼である。
「では、いざゆかん。冒険者ギルド!」
石造りの建物に大きな扉……まさに屈強な男達の巣窟と言わんばかりの偉容さに、新太は気を引き締める。
ギギッと少し重い蝶番の音が響き、同時に中から沢山の人の声が届いた。
結構早くに来たつもりだったが、どうやら冒険者ギルドの朝はもっと早いらしい。
「おぉ……!」
皮の装備を身につけた男性の腰には剣があったり、髪の長い女性の背中には大きな弓があったり……いかにもファンタジー世界の冒険者ギルドだ。
そういった人達が、いかにもな円テーブルを囲んで話し合ってたり、掲示板を見てたりと現代人である新太にとってはまさに想像通りの光景が広がっていた。
俺、本当に異世界に来たんだなぁ……。
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