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終幕  未来へ!

最終回です。

ここまですごく長かったのですが寂しいものです。

とても楽しいものでした。





「いやぁ、こんな夏の暑っちぃ時期に師団祭をやるのかね!

財前閣下殿は頭がおかしくなったか?

俺は死んでるから全然問題なし」




お初お目にかかるね。

俺は田中正明、田中源一郎2佐の兄貴だ。

源一郎ともども、訳あり物件なんだよな。

それにしても毎年暑いよな。

まぁ俺は死んでるから暑さなんて関係ないけどなぁ。

一般で来場してきてくれた人が、熱中症にならないかが心配なんだよ。

日本の夏は暑いからなぁ。

ところでだ、今日は師団祭…学校でいうところの学園祭に近い祭りをやるってんだが。

俺は練馬駐屯地のグランドの隅で隠れながら見てるんだよ。

理由はなぁ…おぉ来たな!






「お久しぶりです大尉殿

毎年祭りはすごい熱気ですね…

さっき観閲行進部隊に水をぶっかけてきましたよ

もう乾いてるかもしれませんが」


「久しぶりだな、挺進兵

この呼び方はやめようか、そうだろう神前忍

瑠香お嬢と修坊ちゃんの守り、大義であった…てか?」





こいつも長い間、いくら仲間がいたとはいえ戦い続けていたんだよな。

あの地獄から何十年と経ってやっとこさ、未来を守ろうとした時には、別の脅威に孫娘は殺されその家族はバラバラ…なんと言葉をかけてやればよかったかわからなかった。




「…大尉殿、そんな暗い顔をしないで下さい

あの事件の真相を白石少尉、じゃないですな

せくしーぷりてぃーいけめん…長い

白石検察官殿から聞いてきましたよ

俺が生者なら、桐谷を殺していました

財前誠は…許します」


「財前閣下の事は許すか…

今日呼んだのは、あのくそ宗教のことだろう?

真実がわかったのか?」




何度も頷く神前の背が少しずつ暗くなる。

ポツリと口を開けばこうだ。

捜査で教会内に突入した警官隊と一緒に白石も突入した。

いた先で見たのは垢がこべりついた白い法衣を着た信者が何かにすがりつく様に永遠と祭壇に祈り続けていたそうだ。

だがみんな骨と皮しか残らない様な無惨な様だったそう。

そこには白石の優秀な密偵もいたそうだ。

警官が桐谷が逮捕され、医療刑務所内で死んだことを叫んだそうな。

そうすれば落胆するもの、項垂れるもの、安心したもの色々。

信者を教会から出し、差し押さえて行く中で桐谷の手帳を見つけたそうだ。




「あいつの手帳には、なぜ真奈美が殺されなければならなかったのか

そもそもどうしてマリアと言って、付け狙っていたのかが書かれていました

あの子らしい事をしようとしていました」


「というと?」


「内部告発をしようとしたらしいのです

命を扱うものとして、あるまじき行為をした

身寄りのない老人には必要のない薬を投与したりいらぬ手術をしようとしたり…

挙句、元気な子供や成人に」


「いらぬ薬を盛ろうとした

理由は…助成金やらなんやらか」


「そうです…」




正義感が強かった真奈美は内部告発をしようとした。

がそれに気がついた桐谷は、内部告発されぬ様に教団内でマリアとして神格化させて幽閉しようとした。

だが財前誠が真奈美を助ける形で、逃亡した。

その時に埋め込まれたのが首のある翼者…。

教団内ではサターンと言われたそうです。

真奈美自身も特異体質だったからこそさらに狙われてしまったのです。

逃げ切ったと思った船橋の自衛隊官舎で、真奈美は殺された。

そして孫息子は復讐に駆られてしまったのです。

あいつ自身が言っていました。



『真奈美の遺灰を小瓶に少し入れさせてもらった

それを酒に混ぜ込んで飲んだら、真奈美の特異体質が俺にも…』



つまり俺や瑠香の爽快な空の様な青色に六芒星の印がある転輪の眼を発現したのでしょう。

あいつの場合は赤色でしたが!

真奈美の特異体質に加えて埋め込まれたサターンも教団に命を狙われる要因になったのです。

それはひ孫達も同じ。

真奈美の特異体質を受け継ぎ、財前誠の特異体質も受け継ぎ…欲張りハッピーセットだからこそ三度狙われる事になったのだと。






「だが坊とお嬢は、知っている部分と知らぬ部分もあったろう

それでも前に互いに突き進んだ

で、2人は親父さんと同じ空挺団にか

まさかそこで教団の人間がいると思わなかったんだなぁ」


「でもあの子達は俺の思う以上に強くなってます

どんなに辛く悲しい過去があっても、跳ね除けて進み続けています

とてつもない明るい未来へ!」



だってほら、なんてあいつが言う。

俺たちが話し込んでいるうちに観閲行進は終わって、空挺団による特別降下が行われると言う。

特設会場の大型スクリーンってやつには瑠香嬢と修坊のあと数人が飛行機の中で立っている。

降下長はまさかの瑠香お嬢!

夢は夢で済まさせなかったみたいだな!

お嬢達を乗せたCH-47チヌークがグラウンドに向かって直進してきやがる。





『コースヨシ・コースヨシ

ヨーイヨーイヨーイ

降下・降下・降下!』




チヌークから落下傘を開かずに身一つで飛んできたと思えば、双翼が開くかの様に長方形の落下傘が開く。

特別降下というのは、FF…高高度降下低高度開傘を用いた空挺降下の様だ。

少し…また少しと近づいてくる。

観閲台にいる財前閣下よ見ているか?

と言ってももうお前は師団長ではなく東部方面総監だっけか?

でも見てるかい?

二人の勇姿を…ん、瑠香お嬢?




「やばい、降下地点からオーバーランしてしまう

瑠香(ニャンコ)、減速させろ!」


「お嬢ぉぉぉぉ!!」




やっちまったって顔を一瞬だけ見せて、何事もなかったかの様にしれっと降下しやがった。

その後をやりやがったなと言いたげに修坊が睨んでやがる。

あとの数人は肝を冷やしてるな。

源一郎とか…即応の仲間も肝を冷やしてる。

財前閣下殿は白目剥いてやがるし。

一般席にいる友人達と白石一家も顔が青いじゃねぇかよ。

アナウンサーや観客は歓声を上げてるが。

…全く騒がしいなぁ、未来ってのはよ!

何がどうであれ、皆の未来に幸あれ!






「レンジャァァァァァァ!」





おいこら、瑠香ァァァァァァ!!!!

瑠香の長きにわたる戦いの日々でした。

最後の最後で忍の口から母親が殺された真相が話されました。

瑠香や修、それに父親である誠にもこの話は白石の口から聞いていると思います。

あえて書きませんでした。



自衛隊を巻き込んで大きな復讐劇にはなりませんでした。

瑠香達が望まなかったというのもありますが、いや少しだけ復讐したか!

それと同時に瑠香は逆境を乗り越えて、立派な空挺隊員になりました。

それをほんの少しだけ、書きました。

最後の最後でオーバーランしそうになりましたが!



最後に長きに渡り読んでくださってありがとうございました。

またどこかで!



せーの


一同 「ありがとうございました!」


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