表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
84/136

第84話 殺人事件

マンションの部屋に



戻って来た発角は



蚊山の携帯電話につないだ。



「寺野組と魔崎組に



店の爆破を仕組んだやつが誰なのかを



知らせてやりましたよ。」



ざまあ見やがれというような感じで言った。



「蚊山さん、飯山を消さない限り



我々の命は狙われ続けることになる。



どうせ命を狙われるなら、



こっちから命を狙うしかない。



ここは協力しようじゃないですか。



お互いの敵は飯山だ。」



そして仲間に入るように説得していた。



少人数では刺客に襲われたとき



太刀打ち出来ない。



仲間は多いほうが



飯山をるには有利だ。



発角は一人でも仲間が必要だった。



話しに夢中になっていた。



不意に



マンションの部屋のドアノブが



音もなく回った。



中堀か竜森が来たのか。



しかし



鍵がかかっているために開かない。



相手は鍵穴に何かを入れて



開けようとしていた。



発角は携帯電話に意識が行っている。



カチッと



かすかに



ロックが外れる音がしたあと



ノブが回ってドアが音もなく開いた。



不思議なことに



この部屋のドアは



途中から切られたチェーンの一部が



ぶら下がっている。



意図的に切られたのだろうか。



「わかりました。



あのふざけた飯山の野郎を



りましょう。」



発角に説得されて



蚊山は逃げ切れない以上



やるしかないと



覚悟を決めてそう言った。



飯山を消せば



命を狙われる心配はなくなる。



「よかった。



そうと決まったからには、



ここは危ないから、



この部屋を引き払って



他の場所にアジトを作るから



連絡を待っていて下さい。



それじゃあ連絡を取り合って



襲撃を成功させよう。」



発角が気をよくして言った。



「うっ」



突然、



蚊山は受話器の向こうで



何とも言えない嫌なうめき声とともに



携帯電話が落ちる音を聞いた。



「貴様ーっ、」



発角の絞り出すような声がしたが



すぐに



「うーっ」



と声がして



ガラガラと何かが崩れる音がした後、



静かになった。



「あっ」



と声を出したが次の瞬間、



蚊山は息を殺した。



携帯電話の向こう側の異様な様子に



聞き耳を立てていたが、



そこで何が起こったのかを



はっきりと悟った。



「もしもし、



襲撃を成功させようってか。



誰を襲撃するのかな。



蚊山だな。発角は俺様が始末した。



次はお前だ。



覚悟しとけよ。」



ドスのきいた太い声が



蚊山に脅しをかけてきた。



蚊山は慌てて携帯を切った。



まさかと思った。



ショックで心臓が躍っている。



実際に自分の命を狙われていることが



現実の事として



ひしひしと身に迫って来た。



翌日の朝刊の三面記事に



「ヤクザの抗争で殺人事件」



と小さく載っていた。



発角はテーブルの椅子に腰掛けて



携帯電話をかけていたところを



背後から刃物で刺され、



その後腹と胸を刺され、絶命していた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ