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第76話 工作員

「今やってる仕事ってのは



どういうものなんだ。」



発角が興味をそそられて聞いた。



「この仕事は他に漏れては困るんです。



それと発角さんには



相談したいこともあるんですけど。」 



鮫谷はだいぶ呂律がまわらなくなっている。



「わかった。



誰にも言わないから安心しろ。」



発角は自分が信用されていることに



気をよくして上機嫌で言ったが、



やはり少し舌がもつれていた。



「わかりました。」



鮫谷は焼酎を一口飲んだあと



「実は狂龍会に雇われた工作員なんです。」



「えっ、工作員?」



発角は酔った目で鮫谷を見据えた。



まさか、そんなことがあるのか。



考えられないが



ますます興味をそそられて



「やばい仕事だが、



いくらもらっているんだ。



まさか、ただ働きじゃないんだろな。」



「ええ金はもらってますよ。



月に百万で成功したら一千万です。」



鮫谷は酔いが回ったせいで



警戒心も失せてなんでも言ってしまう。 



「ほう、



だけど何の仕事に成功したら



一千万もらえるんだ。」



発角は身を乗り出すと、



酔ってゆれる頭を突き出して聞いた。



鮫谷はまた一口グラスを口に運んでから



グラスを置くと



発角のほうに頭を寄せて



「大魔会 魔崎組組長の



邪街紋次じゃがいもんじを消すことです。」



声を落として言った。



発角は「えっ」と驚いて



鮫谷を見たが



「そうか。



そんなことだろうと思った。



危険な仕事だな。」



と平静を装って言った。



「驚きましたか。



まさかって言うような話しですがね。



だけど邪街を消すのは



簡単なことじゃないんですよ。



それに最近こんな仕事に



嫌気がさして



やる気がなくなっちゃって。」



鮫谷はさも嫌そうに言って



タバコに火をつけた。



発角は黙って



何かもの思いにふけっていたが



鮫谷に顔を向けると



「嫌気がさして



この仕事から手を引くとしてもだ。



ここまで深入りしては



抜けられないだろうな。



下手に抜けようとすれば



口封じでられるだろうよ。



抜けるには邪街殺害の指示を出している奴を



先に消さなくちゃならないだろうが、



しかしなにか腑に落ちないな。」



と言って遠くを見るような目で



グラスを口に運んだ。

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