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第119話 間抜けな悲鳴

刀はイタチが着ている服の腕のあたりを切りいて、



すぐ二の太刀が襲って来たかと思うと、



どこからり込んで来るのかわからない早さで



太刀が次々に飛んで来た。



「ガキーン、ガキーン、ガキーン」



イタチはかろうじて刀で受け止めたが



反動が強すぎてはじき飛ばされ、



コロコロッと転がった。



「弱いな。」



鬼男は舌なめずりしながらニタニタッと笑った。



サホミは必死に



イタチと離れないように走り寄ろうとしたが、



たちまち襟首えりくびをつかまれた。



「キャー」



サホミは必死でのがれようとしたが



またたに身動きが取れなくなってしまった。



「げっへへへ、捕まえたぞー。



もう逃げられないんだ。」



「イタチも弱いからガッカリだな。



これでお前も終わりだ。」



「逃げなけりゃよかったんだが、もう遅いぜ。」



サホミを捕まえた者達はわざといたぶるように



口々に勝手なことを言いながら



自分の好きにしようと奪い合いを始めた。



起き上がったイタチは瞬間サホミを奪い返そうと体が反応した。



「そこだ。」



一瞬のすきをついた相手の刀が



ビュッと鋭い音をたてて襲った。



途端、スパッとイタチが真っ二つになって



両側にペラーンと別々に倒れた。



「キャーッ」



甲高かんだか間抜まぬけなイタチの悲鳴が聞こえて



「やったー。」



全員が残忍な喜びにき返った。



斬った鬼男は勝ち誇って狂ったように高笑いしている。



サホミはイタチが斬られたのを見ると



希望のすべてを失ってしまった。



あまりの弱さに失望した。



だから私は嫌だと言ったんだ。



こんな奴の口車に乗って逃げようとした自分が馬鹿だったんだと



やんでいた。



もうあきらめるしか方法がなくなったのだ。



どうあがいてもどうすることも出来ない。



男達はサホミの衣服をぎ取ろうと



一斉いっせいに飛び掛かって来た。



サホミは恐怖に震えながらも死に物狂いで抵抗した。



この世界では誰も助けてくれる者はいない。



サホミにはズタズタにされて殺されるだけしか



残された道はなくなってしまったのだ。



「キャーハハハハ、キャーハハハハ、キャーハハハハ」



突然、甲高い笑い声が喧騒けんそうを突き破って響き渡った。



一瞬、ギョッと全員の動きが止まると、慌てて振り向いた。

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