表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ROG(real online game)  作者: 近衛
五章
112/151

5‐3‐2  Game


 静寂。

 そして、世界は姿を変えていく。

 両者は信仰というシステムの力から、最大の一撃を放つ。


【Ten Commandments(十戒)】


 アティドの力強い言葉とともに光の奔流が正面に向けて放たれる。

 あたかも祈りと奇跡を具現化したような行為は、地形すら変えていくような暴虐な力のうねり。


 「借り物の技ですまないが、そいつに対抗できる技はこれぐらいしか知らなくてね」


 大地は静かな声で虚空へ漆黒の宝剣を走らせる。

目の前にある輝きを消し去るために。


【Reverse cross(背教者)】

 

白と黒。

 交わった、力は相殺し。

 再戦の合図となった。

 光が瞬き、影がちらつく。

 

 「力の最大値や効果範囲をいじるだけでこれだけの力が発揮される。まともに修練を重ねていくのが馬鹿らしくなることだ」


 「しかし、それが戦いの全てではないだろう。そうでなければ、銃に剣が勝つことなどありえないのだから」


 最強と呼ばれている二人が交えるのは刃。

 要素として、信仰の力やアビリティの力は、一種の壁となる。ビギナーとそうでないものを隔てるアビリティの獲得。そして、そのうえで、さらに限られたものだけが知っている信仰の力。

 しかし、知識としてそれが無くては勝てないのかというとそうでもない。信仰の力とは、即ち一種の極地である。極論、最適な行動を適切なタイミングで実行すればより大きな補正が掛かるというただそれだけのことだった。


 「人間が肉体を駆使して戦う前提であれば、そうだろう。機動力、反応速度、殺傷能力それらの要素が違いすぎてまともな比較にならんよ」


 「ならば、最初からそういうものだと思えばいい。すべからく、等しい戦場に俺達は在るのだから」


 剣の軌跡が瞬く。

 ミカエルの法衣のような鎧を貫通しあと一刺しで致命の一撃が本体に加えられる。

剣が触れる直前、ミカエルの姿が歪む。

 

「ミカエルの固有アビリティは、光の支配。虚実を交えた動きは、近接戦闘において無類の強さを発揮するだろう。しかし、俺にまやかしは効かんよ。『虚無(バニティー)』発動」


 自身を中心に周囲のアビリティの効果を発動毎に無効化する、起動型アビリティ。新城大地、彼自身の高い操縦技術も相まって実用レベルのものとなっているが、発動しておけば常に無効化できるというものではなく、また、発生した物理現象までも無効化する訳でもない。

 そして、ルシファーが使用されない訳でもある。つまりは、何も起こさないアビリティなのだから。加えて、自身のアビリティまでも巻き込んで無効化するからだ。


「知っているさ。それでも、結果は変わらない」


 攻撃のアクションと移動のモーションを連動させ、緩急をつけた動き。わずかにぶれて見えるミカエルの姿。アビリティで起こした結果と同様の事をそれ無しでも実行できる技量を持った教皇の攻撃は、全ての可能性を孕んでいるからこそ強力無比なものとなる。


「ならば俺も全てを出し切ろう」


 ルシファーが緑色の燐光を振りまいて、羽ばたく。その羽は剣であり、その体は敵を倒すために稼働していく。

羽は、光り輝き敵を刺し貫くために宙を走る。


 「捉えたぞ、プロフェッサー」


 アクションの瞬間に、転移が如く速度で肉薄され緑色の刃は空を切った。

 そして、側面から大きく薙ぎ払われる一撃。


 「こちらが、だよ。教皇」


 姿勢を低くすることで攻撃を掻い潜り、踏み込みと同時にアッパーカットのように鈎爪を振り上げるルシファー。右腕の爪は、胸をえぐるも、しかし、突きさすように伸ばした本命の左腕はあえて肉薄されることでその意味を失う。

 そして、密着状態から両者は歯車が噛み合うように回転する。

 背中合わせになった瞬間にルシファーは刀を突き出し、正確にコアユニットへと攻撃を仕掛ける。しかし、それすらも読んでいたのか後ろ手に剣で攻撃を受け止めるミカエル。

再び向き合う二人。

互いにぶつけ合う全力の一撃に、得物が宙にはじけ飛ぶ。


(プロフェッサーは、武器を拾う隙を与えてくれる相手ではない、ならば)


(『倉庫』から他の武器を取り出す、違うな、不味い一瞬反応が遅れた)


 思考のためらいの無さが刹那の差を作る。

 叩き込まれる全力の拳打。怯ませた、その瞬間に膝蹴りを頭部にねじ込み、 回し蹴りをしつつルシファーの刀を回収する。

 対するルシファーは相手の力を受け流すべく、後方へバック転。後退と同時に蹴り返すが、その一撃さえもジャンプ台程度の意味しかなかった。しかし、足の先端で剣を自らの側へ引き寄せることに成功し。全身を使い跳躍しながらの切り上げで、上空から振り下ろされる長刀の一撃が空で交差する。

 それらのやり取りは一種の遊戯のようでもあり、生と死を強く実感するほどに現実的でもある。加速していく戦いに決着の時を知るのは神だけであった。



 先月は更新できなくてすいません。視点を変えての別のパート書いてましたけど続きとして入れるのはおかしい気がしたのでバトルパートをそのあとに書いていて時間かかりました。まあ、仕事場が変わったりとかも色々ありましたけどね。

 次回の更新は、今回ほどは間が空かないとは思いますとだけ。ではでは


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ