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ReBlood.N  作者: 毎日がメスガキに敗北生活
不死身の少年
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ep.2 "不老不死の死"

僕はただ立ち尽くしていた

目の前で…人が死んでいる。


少し前まで会話を交わしていた人が

床の上でもう二度と動かない

あまりにも現実離れした光景に思考が止まる。


僕の世界から音が消える感覚。


レイヴンは自分を夜叉ヴァンパイアだと言った

不老不死…

死ぬことがない神話のような存在


「死なないはずの存在が死ぬ」


その矛盾が余計に思考を停止させる。


そのとき…どこからか声がした。


頭の中に直接響く声

確かに、レイヴンの声だった。


『一生死ねないのが業だなんて言ったのにね…』


レイヴンは微かに笑っている。


『私の犯した罪は…

それより上を行くということかな』


…罪?


『ロジェロは気絶しているだけだ

この子を…よろしく頼む』


独り言のように呟いていた。


言葉を挟む間もなく彼女の体は

灰になって崩れ落ちた。


血に濡れた床

そして隣で倒れているロジェロ。


ようやく少しずつ起きたことを理解し始める。


僕はその場に座り込み

彼女が目を覚ますのを待った。


余りにも唐突に、知らない世界に投げ出された

今の僕が頼れるのは…彼女しかいない。


数時間後ロジェロは目を覚ました

起きた瞬間彼女は崩れ落ちるように泣いた

叫びを押し殺し、静かに涙が落ちていた。


しばらくして

何かを決意したように僕へ顔を向ける。


「…レイヴンは、殺された。」


殺された…?


ロジェロは息を整え

震える拳を握りながら続けた。


「理由はわからない…

貴様との継承が終わったあとだ

…何者かがレイヴンの胸を突き刺した」


いつもは、夜叉ヴァンパイアの能力で

どんな傷を受けても即座に回復していたらしい。


たが今回は…違った。


受けた傷は回復せず深く残り

そのまま心臓を貫き…

立ち上がらなかったという。


ロジェロもそこで気絶させられ今に至る。


レイヴンを狙う"何か"

そして不老不死の力を打ち消す"何か"

この力を得たばかりだが

早くも世界の闇が

静かにその牙を覗かせた気がした。


ロジェロは涙を拭き言う

「だがレイヴンは言っていた

"何が起きても決して振り返るな

自分の目的に向かって真っ直ぐ進め"と」


彼女とはまだ出会って間もないが

その声は、強がっているんだと感じた

ほんのわずかに震えているのが分かる。


まだレイヴンの死を

ちゃんと受け止めきれていないのだろう。


まるで、自分で自分に言い聞かせるみたいに

振り返るなという言葉にすがっている。


本当は今すぐ

崩れ落ちてもおかしくないはずなのに

それでも彼女は、レイヴンの遺した想いを

必死に演じているように見えた。


彼女の頬をまた大粒の涙が伝った。


レイヴンの死は

僕らの心に大きな傷と謎を残した。


~~~~~~~~~~


沈黙のあと、彼女は語り始めた。


「私は…国王の娘なんだ。捨てられたがな」


気の強い女騎士は 王女だった

その声には深い悲しみが混じっていた。


「昔話でよくあるだろう

無能だと決めつけられて捨てられた…」


「だが私は気にしていない。

そのおかげで、あの狂った一族から離れられた」


身内でさえ、この国のやり方に呆れていた

ロジェロは続ける。


「私はずっとこの国は

裕福な王国だと教えられてきた。


だが…王都を出て他の町や村を

見て回ったとき、ようやくわかった。


父が搾り取っているせいで

民だけが苦しい思いをさせられているのだと」


彼女の言い方に怒りが混ざり始める


「世の中は狂っている。

この不条理を壊すために、私は父と戦う

そう決めた」


「レイヴンはそんな私に寄り添い

力になってくれたんだ」


僕は問う


夜叉ヴァンパイアにはならなかったんです…か?」


ロジェロは目を伏せ、首を振った


「そんな提案、私にはしてくれなかった」


なぜ僕だったんだろうか

ここまで覚悟のある彼女が隣にいたのに。


不老不死という"業"を

背負わせたくなかったのだろうか


なら、僕は…?

考えるのをやめた。


「レイヴンは、貴女を愛してたんですね」


「…」


ロジェロは沈黙し唇を噛んだ

噛みしめた痛みで

涙を止めようとしているみたいだった。


やがて顔を上げ、強い声で言う。


「今こうしている間にも市民は苦しんでいる。

一刻も早く、父を止めなきゃならない」


「レイヴンの死は気がかりだが…

今は進むしかない」


僕は静かに頷く

ロジェロは恐怖を隠しながらも

勇敢に振る舞っていた。


その目には、涙と覚悟が同居していた。


遺物を眺めて

何も考えず働くだけの毎日は終わった

気持ちは追いついていないが、もう逃げられない

この力を授かった以上

運命に背を向けることはできない。


僕は平穏な日常を捨て世界に挑む

反逆者になった。

【夜叉 レイヴン・プリムローズ】

♀︎

年齢:?歳

夜叉<ヴァンパイア>

趣味:?

髪型:黒髪、ウルフカット、左目は髪で隠れている。

身長150cm


夜叉の能力をシルに継承

謎に包まれたまま死ぬ

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