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人類滅亡前に転生させられた『遊び人』だけど!  作者: ろぼろぼ
第2章イルディア編
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王国最狂vs死霊王

ここ都市王国は、帝国とイルディアとの間に位置し

両大国との交易で栄えた人口5万人ほどの活気溢れる商業国家である。


だが現在、城壁に囲まれた街の各所からは絶えず黒い煙が立ちのぼり人々の悲鳴がこだましていた。


そして中央に聳える王宮内の玉座の間では人とは違う乾いた笑い声が響いていた。


玉座に座るのは、今やこの国の支配する事となった『死霊王』と名乗るアンデットである。

その容姿は僧衣を纏う朽ち果てたミイラである。


死霊王が腕を振るうと地面に倒れていた

女性の死体がムクムクと起き上がる。


「ア゛ア゛ア゛ア゛~」


死霊王により仮初の命を与えられた生死体(ゾンビ)はだらしなく虚空を見つめ涎を垂らしながら吠える。

死霊王は、その女性の胸を鷲掴みにすると満足そうに深い嘆息をつく。


「ふ~っ、大陸一と言われた美姫も、

 死すれば我が傀儡となり…我が前で無様に喘ぐのみか」


嘗ての生では聖人と崇められる高僧であり今ではアンデットとして悪徳を極めた死霊王であるが彼が望むのは、飽くなき悦楽への探求であった。


聖人としての禁欲人生の果て、死の間際に呟いた「…禁欲なんてしなきゃよかった……」と言う悟りがアンデット死霊王を生み出したのである。


☆☆☆☆☆☆


ドドーン!


その時、王宮内の各所に爆発音が轟き玉座の門を蹴破り屈強な男達20人ばかりが部屋になだれ込んできた。そして即座に死霊王を取り囲む形で包囲したのである。


「死霊王だな!お楽しみの所悪いが、我等、魔王討伐隊がお命を頂戴する!」


男達はスクロールを取り出すと魔法で作られた炎の固まりを次々と放ってくる。

炎は死霊王とその腕の中の美姫に燃え広がりみるみるうちに美姫を炭と変えてしまった。


これからと言う所で無粋な者達に水をさされたのである……


国を奪い…知性を奪い…これから凌辱しようと言う所を……

愚かな男達は、その愉悦を奪い去ってしまったのだ、その報いは凄惨な死ですら生温かった。


男達が雄叫びをあげ猛然と斬りかかってくる。


「魔法すら掛かっていない武器で私を殺そうなどと愚かにも程が有る」


軽く剣をいなすと死の瘴気を含んだ息を吹きつける、すると男達はまるで命の蝋燭の火が吹き消える様に老いだす。


最後は恐怖と苦痛の悲鳴を上げながら膨らんた筋肉をみるみる骨と皮だけにし命つきたのだ。


これが死霊王の最強スキルである『死の息吹』であった。

一瞬にして死と老いを与え寿命を奪い去る回避不能のS級極悪スキルである。


静寂に包まれた部屋で死霊王は考える。


この街が人間の賊達から襲撃を受けているは確実ではあるが、

相手の戦力がこの程度ならば自ら始末してまわれるかと…


そしてテラスから宮殿の中庭に出た所で彼は驚きに身を打たれる事となった。


街中が炎に包まれていたのである、その炎の中では生死体(ゾンビ)が蜃気楼の様に消えていっていた。その炎の威力は先ほどの男達のモノとは比べ物にならない極悪なものである。


「こ、これは、(いにしえ)地獄(メキド)の炎なのか……」


嘗て聞いた事の有る伝説の炎である。

魔王が扱う伝説級の地獄の炎であり、その力の一部を封印した魔剣が魔王の封印と共に人の手に渡ったと言う事を思い出したのだ。人間共は魔剣で街ごと生死体(ゾンビ)を焼き払う戦略に出たのである。


悪い手ではない…獣と同じく個体の力こそ人を上回っていても知能の低いアンデット達は、この炎の海に対応しきれないだろう。防ぐ知恵も造物主から逃れる自由も持た無い哀れなアンデットの弱点を上手くついた作戦に思えた。


敵の指揮官は相当な知恵者であり、この場所は危険であると死霊王の本能が知らせる。



その直後に死霊王は街を炎で包んだ張本人と対面する事となる。



炎に照らし出されるその者達の姿は、まるで絵画の世界から抜け落ちたかの様な美しさと怪しさを放っていた。


伝説の魔剣を構えた絶世の美女が2人と、その後ろで戦場にもかかわらず場違いなポニープレイを楽しむ奇怪な幼児が一人。


死霊王は冷静に彼我の戦力差を分析する。

伝説の魔剣を持ちだしている事からも彼女達が人間側の最終兵器(リサールウェポン)である事は予想された。そして彼女達の実力を慎重に見極めた結果……


『勝てる…』


少女達は装備こそ恐るべき物だが、その構えは幼く自分を傷つけるには修練が足らないと。


だからこそ気を付けるべきは敵の罠の存在であった。彼等が最終兵器(リサールウェポン)と仮定するならば第二・第三の矢があってしかるべきなのである。


そして気になるのが二人の後ろでポニープレイをしている謎の幼児の存在である。


奴は何者なのだと……


嫌な感情が湧きあがる…


炎をうけて不気味に浮かび上がる幼児の姿はどこか魔王を思い出させるからである。



幼児の腕が静かに動き場に緊張が走る。



死霊王は嘗てない圧迫感の中で身構える、本来流れないであろう汗が額をつたった。


そして幼児は丸で死霊王を招く様に腕を前後に動かした。

魔法!?スキルの発動!?死霊王は一歩後ろに飛び退く。

だが何も発動した気配は無く、死霊王は目を細め注意深く相手の意図を探を導き出す。


ただの手招き!?……この余裕は、やはり罠と考えるべきであろう。

いや、もしや相手は既に勝利を確信し投降を求めているでは!


(実際には幼児はボスっぽいアンデットの登場に必死に退却のジェスチャーをしていただけなのだが死霊王には知る由もなかった。)


馬鹿な話である、死霊王は内心笑いなら答える。


『くっくっくっ、貴方様に投降しても良いですよ……』


『ですが貴方は見返りに何を用意できますかな?莫大な富ですか?それとも……』


『絶世の美女でしょうか?』


死霊王が二人の美女に目をやると、ガチャリと一歩仰け反るのが感じられた。

死霊王は考えていた、手招きが罠であるなら相手をこちらに呼び寄せればよいと。




しばらくし二人の美女を押しのける様にやって来た幼児に今度は死霊王が大きく仰け反る事になる。


「ば、ばかな……」


死霊王は『死の息吹』を周囲に振りまいていたのだ。

その中を何の躊躇もなく近づいてくる幼児に死霊王は震えを感じる。


この幼児は病気や死に対する完全耐性を備えているのである。

魔王やアンデットの如く寿命が存在しないのである。


もう、認めるしかないのである。この謎の幼児が恐ろしいと。


そして幼児は死霊王の肩に手を置いて答える。


青獅子将軍(おっさん)をやろう』


幼児の満面の笑みに死霊王の雄叫びが響く


「ソ・ド・ミー!!!!!」


幼児のスキル変態性欲(フェチシュ)により死霊王の新な扉が開いた瞬間であった、そして死霊王は幼児の与えたこの新たな悦楽の世界にどっぷりと嵌る事となる。


長期戦を予想されたこの戦いは生死体(ゾンビ)達の核を失った事により都市王国及びその周辺の征圧は達成し魔王討伐隊は大きく北へ進軍する事となる。





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