さんじゅうさん
えっ、地雷それなの。あっでも、そういえば。オーウェン様に嘘はつかない、って言ったとき、その言葉を忘れないでくれって言われたんだっけ。
オーウェン様は、嘘に何かトラウマがあるのかしらと思っていたけれど、もしかして嘘の『愛してる』という言葉に何か過去でもあるのかしら。
でも、おかしいわ。前世の記憶を取り戻さなくても、私なら多かれすくなかれオーウェン様に恋をしそうなものだけれど……。
「なんでそれが地雷かは──、オーウェン公爵の過去に関わるし、私から伝えない方がいいわね。あなたがオーウェン公爵に直接聞くべきよ」
たしかにそうだ。自分の過去を勝手に聞かれたら、嫌だろう。
「そうするわ。でも、どうして……。どうして、ベネッタは私を助けてくれようとしたの? ベネッタは、オーウェン様に恋をしているのに」
ベネッタのオーウェン様を見つめる瞳は、確かに恋の波動を感じたのだけれども。
「こっ、恋!?」
けれど、ベネッタは慌てたようにぶんぶんと首を振った。
「違うわ! オーウェン公爵は、その、前世の私の『推し』だったから」
でも、普通はその推しと恋愛関係になりたいと思うものではないのだろうか。
「推しの幸せを遠くから眺めたい。それが、私の推しへの距離感よ。それにオーウェン公爵、あなたのこと本当に愛しているもの」
「そ、そうかしら……」
オーウェン様とは、つい数日前に心を通わせあったばかりだけれど、他人からそう指摘されると、気恥ずかしいものがある。
「だって、あなたを鬼から助けにいくの、ゲームならチュートリアルも兼ねていて、私たちが行くはずだった。でも、オーウェン公爵自らがあなたを助けにいった」
そうだ、オーウェン様がすぐに助けに来てくれた。
「だから、きっとあなたたちは大丈夫──と、言いたいのだけれど、」
ベネッタが困ったように、眉を下げた。
「……これは、私が閻実の界担当部だから、知っている話なのだけれども。オーウェン公爵に、妖狐の疑いありっていう話がでてるの」
あれ? でも、オーウェン様が、妖狐の血をひくことは公然の秘密のはず。
私の疑問が顔に出ていたのか、ベネッタは頷いた。
「ええ。もっというと、妖狐の側面の方が強くでているんじゃないかっていう話よ」




