さんじゅうに
「え──」
えええええ。死んじゃうの、私!? せっかくオーウェン様と両思いになったばかりなのに、死にたくなんてないわ! 私が顔を真っ青にさせるとベネッタは、安心させるようにぶんぶんと、首を振った。
「だ、大丈夫です! 避ける方法はあります」
「あるの?」
「はい」
よ、良かったぁ。少しだけほっとしたわ。それで、避ける方法って何だろう。
「それは、オーウェン公爵に──『愛してる』と言わないことです」
「……え?」
びっくりして、目をぱちぱちさせた私にもう一度、ベネッタは言ってくれたけれど。
「ど、どうしましょう……。それ、もう言っちゃったわ」
つい数日前に。
「えっ? ええええええええ!」
私、死ぬの!? えっでも、なんで!? オーウェン様に気持ちを伝えただけなのに。
「どうして……。リリアンはゲームでは、オーウェン公爵のことを愛していないはずじゃ……」
……ん? ゲーム? もしかして。
「ベネッタ、あなた。もしかして……、転生者?」
それも元日本人でこの世界に似ている乙女ゲームをプレイしたことのある。
「えっ? もしかして、あなたも?」
も、ってことはやっぱり、そうだったのね!
ベネッタから聞いた話によると、ベネッタがこの世界が乙女ゲームに酷似している世界だと気づいたのも、つい最近の話らしい。オーウェン様を見て、思い出したそうだ。それで、序盤に殺されるモブこと私を救おうと勇気を出して助言しに来てくれたらしい。
「でも、どうして、『愛してる』っていったら、私は殺されちゃうの?」
「あなた、ゲームのこと全然覚えてないのね」
その通りなので、深く頷く。
「──オーウェン公爵はね、『愛してる』と嘘をつかれることが、地雷なのよ」




