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【コミカライズも完結】死にたくないので、全力で媚びたら溺愛されました!  作者: 夕立悠理
地雷を回避しましょう

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22/89

にじゅうに

 慌てて支度をして、朝食の席につく。


「おはよう」

「おはようございます、オーウェン様。昨夜もオーウェン様のお陰でぐっすり眠ることができました。ですが……」

「どうした?」

 オーウェン様が飲んでいた紅茶のカップをおいて、心配そうに目を瞬かせた。


「オーウェン様は、休まれていますか?」

「ああ、もちろん」


 オーウェン様は頷いた。だめだ、この言い方だと、起きてずっと椅子に座っていることもオーケーになってしまう。なので、もっと突っ込んだ質問を。


「オーウェン様は、昨夜眠られましたか?」

「っ、それ、は……」

 オーウェン様の目がうろうろと泳ぐ。やっぱり、ずうっと起きていてくれたんだ。気持ちはとても嬉しいけれど、オーウェン様の健康に何かあってはことだ。


「オーウェン様、眠ってください」

「一月ぐらい寝ずとも、私は問題ない。それに、」


 確かにオーウェン様の顔色は特に悪くないように見えるけれど。

「あなたが鬼に拐われるなんてたえられない」

 オーウェン様はとても優しい。ただの婚約者でしかない私にそんな言葉をかけてくれるなんて。でも。


「私だって、オーウェン様に何かあったら嫌です。だから、私が眠ったらオーウェン様も寝てください」

「でも、あなたが夜中目を覚ます可能性だってある」

 うっ。そこをつかれると痛い。実際に、昨日夜中に起きたし。


「目を覚まさないよう努力します」

「絶対目を覚まさないとは言い切れないだろう」


 うーん、どうする。すると、マージが割って入ってくれた。

「では、こうするのはいかがですか?」

 私が眠れるまでオーウェン様には側にいてもらって、夜中に目が覚めたときは誰かと一緒に過ごすこと。決して一人にはならないことを約束することになった。


「私でもマージでもいいから、叩き起こしてくれ」

 頷いてはみたものの、実際に叩き起こすなんて気が引ける。だから、一度眠ったらもう起きないようにする方向性で行こうと思う。






 そうと決まれば、レッツ筋トレ! 体を動かせばぐっすり眠れる。基本中の基本だ。それに美ボディになってオーウェン様を悩殺できる、かもしれないし。


「いち、に、さん……」

 オーウェン様になんて美しい体なんだ! と誉められる姿を想像しながら、筋トレする。するとあら不思議! めちゃくちゃはかどる。にやにやとしながら筋トレをする私に、気持ち悪がらずさっとタオルを差し出すマージは本当にできた侍女だ。ありがとう、と感謝しつつ、筋トレに励んだ。



 さて。筋トレで時間を費やしたものの、まだオーウェン様が帰ってくるまで時間がある。何をしようかしら。はっ! そういえば。オーウェン様にある確認をとっていなかった。


 旦那様が出来たら──旦那様というかまだ婚約者様だけれど──、一度はやってみたいと思っていたのが、手料理を振る舞うこと。オーウェン様は、貴族が自分で料理をするのをどう思われる方かしら。


 マージに聞いてみる。

「オーウェン様もときどきされますよ」

 ! そうなの!? オーウェン様の手料理なんて、ぜひ、食べてみたい。でも自分でされるくらいなら、私がしてもはしたないとは、思われないわよね?


「セディ」

「はい、お嬢様」

 昼食を終え、一息ついている料理人に声をかける。

「クッキーを作りたいのだけれど、材料と厨房を借りてもいいかしら?」

 許可がでたので、クッキーを作る。公爵邸と同じレシピにしようかと思ったけれど、せっかくなので我が家秘伝のレシピで作ることにした。母がまだ生きていた頃に、私によく作ってくれた味だ。


「あとは、オーブンで焼けば出来上がりね」

オーブンの中に型抜きしたクッキー生地を入れて、焼き上がるのを待つ間で片付けをする。


「お嬢様、手が荒れますから、僕が片付けますよ」

 とセディがいってくれたけれど、料理は片付けまでが料理だ。洗って、使った器具を元の位置に片付ける。この世界、普通に洗剤とかハンドクリームとかあるから便利なのよね。


 そうこうしているうちに、クッキーが焼けてきた。生焼けになったり、焦げたりしないタイミングを見計らって、クッキーを取り出し、冷ましたら完成だ。


 ひとつ、味見をしてみたら、ほどよい甘さとバターの香りが広がった。うん、美味しい。この出来ならオーウェン様に出しても嫌われないんじゃないかしら。


 オーウェン様、早く帰ってこないかなぁ。


 読書をしながら、オーウェン様の帰りを待っていると。


『見つケた』

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お読みいただき有難うございます!
感情を殺すのをやめた元公爵令嬢は、みんなに溺愛されています!
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