第9話 人間至上国家に行くらしい
前回のあらすじ
ギルド登録して不穏な情報と、
頼れるギルド長ゲット。
「明日ラルイクス帝国に行かないといけなくなって...。
子供達も連れてこいって...。」
「はあ...!?」
なんでこんな突拍子もない話をされたのは、
何時もど〜り学園から帰って箒を片付けてた時だ。
あ、そうそう最近移動に箒を使っている。
こっちの方が魔力消費が少ないっぽいのだ。
流石に毎日重力魔法は辛かったよ...。
んで、
「あー、今日は新しい重力魔法の乱用術考えたから実践しようかなー。」
って思ってたときに、
「明日ラルイクス帝国に行かないといけなくなって...。」
っと振り出しに戻る。
「えーっと...。なんで?」
「なんかそこの王様がねえ、
『お主らはそっちで活躍してるだろう?
昨日のイルビリーストこっちも助かったぞ、褒美を与えよう。
子供も連れてこい。』
って...。」
「怪しさ満点じゃないか...。」
ホント嫌な予感しかしない。
「そうよねぇ...。なんだけど、あの国、断ったらなにするかわっかんないのよねえ...。」
...なるほど、やばい国家なんだな。
あっちで俺生まれてたら奴隷どころの話じゃないだろうな...。
「あ、でもさ、そこって人間至上国家なんでしょ?
俺と父さんどうするんだ?」
「大丈夫よ、私の魔法でどうにかするから!」
おお、頼もしい、さすが母さん。
いつもの飲んだくれとは思えない。
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「さあ!いっくわっよ〜!」
「「「お〜...。」」」
「あら、元気ないわね、もう一回!」
「「「おー!」」」
というか、そんなヤヴァイ国にいくからそりゃ元気が無いだろ。
そうして馬車で揺られて2日間、
正直親の魔法使った方が速いと思う。
「うえ...。きもぢわりゅい...。」
「もうそろそろだから頑張って!?」
「なーんでいっつも箒乗ってんのにこれはダメなのお兄ちゃん...。」
「お、あれじゃないか?」
そこには...。
煉瓦作りの大きな門に、
金色の鎧を着ている衛兵。
そしてでかでかとラルイクス帝国と書かれている。
THE・門って感じだ。
「おいお前ら、そこの馬車に乗っている奴らは誰だ?」
「顔を見せろ。」
俺が大丈夫なのかと心配そうに母を見ると、
にっこり笑顔で親指を立てていた。
「おい、早くしろ。」
「はいはい、ごめんなさいね。」
「...よし、通っていいぞ。」
母が何をしたのかさりげなく頭を触ってみると...。
「...うわ、耳無くなってる。」
そしてチラッと父さんの方を見ると...。
「...誰?」
誰だこのイケメン。
「大丈夫よ、お父さんだから。」
めっちゃカッコいいし、人間だし、何したんだ母さん。
「すげえな...。」
「うっふふ〜んすごいっしょ〜。」
「え、ちょ、何が起こってんの?ねえ?」
そして何一つ状況を分かってない父さんが言う。
「すっごい違和感在るねお父さんお兄ちゃん...。」
「はい、ここまでですよ。下ろしますね」
「おねがいしま〜っす。」
「うわあぉ...。」
すげえ、西洋風の中世的な建物が並んでいる。
人々が入り交じり、活気あふれている。
ん?なんか台車引かされているあの...獣人かな?
なーんで居るんだろ。ここに、傷だらけだし。
そう気になった俺は、母さんに聞いてみた。
「なあ、母さん、何でここに獣人が居るの?」
「あー、あれは多分奴隷ね。」
げ、この世界奴隷とかいんのか、てっきり居ないかと思ってた。
「うえ!いったぁ!」
「え!ちょ、ちょっと大丈夫!?」
「うん...。」
やべぇな、何もないところでつまづいた...。
尻尾って大事だなぁ...。
てっきりまだまだ前世の感覚が残ってるもんだと思ってた...。
「わあ!ねえ!いい匂いするよ!あれ何!アレ!」
「アマリリス...今日はこの国に遊びに来たわけじゃないんだぞ?」
父さんがそう忠告する。
「えー?でもー?ねー、ねー?」
妹がこっち向いて言う。
え?何の同意求められてんの?俺...。
「...うん。父さんの言う通りじゃないか?うん。」
「あー、お兄ちゃんつまーんなーい!!」
「ノって!?ノって!?」
なに言われてるか分かんないけど、怒られてる?
「...もう一回お願いできないか?」
「無理。」
だろうな。うん。
「さー、行っきまっしょー!!いぇーい!!」
「「「おー?」」」
そうしてトコトコ歩いて三千里。
....ごめん、三千里は盛った。
にしてもでっかい城だな。
なんでもミスリル合金を貼っているらしい。
貴重なミスリルを何に使っているんだろうか。
そんなことを父さんに言ったら、
「たぶん権力を誇示したいだけなんじゃない?」って言われた。
そっすよね...。
「さあさあこの辺で変身を解くわよ〜」
「呪文は、ポンポコピーのピンピンキピー、よ!」
ずいぶん阿呆っぽい呪文だな。
「さあ、言って言って!」
え、これ言わなきゃなんないの?
「「ポンポコピーのピンピンキピー...。」」
「さあ、もっと大きく!」
え、嘘...。恥ずいったらありゃしない。
「「ポンポコピーのピンピンキピー!!!」」
「よしよし、オッケーよ!」
あ、ホントだいつもの感覚が戻ってきた。
うん、もう尻尾なしじゃ生きられない身体になったんだなあ...。
「あ、これ呪文無くても良いんだっけ...。」
そう言って哀しそうな顔をする。
...しかし、俺は見逃さなかった。
母の口角が一瞬上がったのを。
「おい、お前ら、この城の前の門で何騒いでやがる!」
そういやここ、城の門だっけ。
「あ、すいません、ここの王様に呼ばれていまして...。」
「あー、もしかしてアレか?あのマーティクス家の奴らか?」
「その茶髪に黄色眼、その後ろにいる銀色の狼獣人...。」
「うん、間違いないな、通っていいぞ!」
え、ほとんど顔パスでいっちゃったんだけど。
そうして門を母さんと妹が通り、俺と父さんが通った時、
衛兵が少し悲しい顔をしていた。
「王様の玉座はこちらだ。くれぐれも失礼の無いようにな。」
俺らは今、警備兵に連れられ玉座へと向かっている。
俺はハーフだしと父さんは純粋な獣人だし、
どんなゴミ部屋に入れられるのかビクビクしてたが、
実際はそんな事なく、THE・客間で待ってろと言われた。
「王様、例の客人です。」
警備兵が扉をトントンと叩く。
ガチャ...。
そこはかとなく、緊張した空気が漂う。
俺は玉座に目を向けた。
...そこには、たっぷりと髭を蓄えた、よくある感じの王様がいた。
頭には王冠を被り、シワを沢山作り、王様としての威厳を感じられる。
「おお、やっと来たか、マーティクス家よ。」
そんな王様が口を開いた。
「あの活躍はまさに血湧き肉躍る素晴らしい戦いだったぞ。」
「はあ、左様ですか、」
そして父さんが王様には聞こえない声量でボソっと、
『あんなリリアンが一発で剣ぶっ刺してぶっ殺した戦いどこが良いんだよ...。』
っと。
「おお、話が逸れたな、」
ああ、報酬がうんたらかんたらだったっけ。
「ふふふ...。とってもいい報酬だぞ。」
こいつの報酬は死んでも受けたく無いがな。
「母と妹はここに永住権を!そこの穢れた獣人と穢れた血を受け継ぐハーフは奴隷としてこき使ってやろうぞ!わっはっはっはっはっは!」
そう王様が言った瞬間、
槍を持って一列に壁側に一列に並んでいた近衛兵が、
俺と父さんの腕を掴んで、
「さあ、牢にぶち込んでしまえ!」
そう王様が言った。
勿論牢になんかぶち込まれたく無いので、
俺と父さんはアイコンタクトをし...。
『グラビネーション』っと心の中で念じた。
「うわ、ん...ぐっ...!」
今は父さんの腕を持ってた奴の槍にかけたのだ。
これだけ隙が開けば十分だ。
「っはあっ!」
父さんが近衛兵をぶっ倒す。
俺も足手まといにはならまいと、
父さんの後ろから襲い掛かって来そうな奴と、
俺を襲おうとする奴にバンバン掛けていった。
「くっ...この穢れた獣め!おい、リリアン!」
「ん?何かしら?あと見ず知らずの人が呼び捨てにしないでくれる?」
「お前はあの獣人風情に脅されていたのだろう?
さあ、来るのだ!この国に!」
それを言うと、流石の母さんもブチ切れたようで、
「んっ!なんだ!動けん!」
「あのね、私は脅されていたわけじゃ無いわよ?
それに貴方を床に縛って四肢を動かせないようにしてる魔法を、
教えれるほど今の私は優しく無いわよ?」
こっわ、美人が笑顔で怒るとこっわ...。
「じゃあね、愛する夫と愛する息子を穢れたとか言った罪よ!」
「うわぁ!やめろ!そこだけは!」
母さんが、王様の大事なあそこを狙って棍棒を振り下ろす。
「オンラァ!」
「*§%!#@¥$!!!」
王様が声にならない声をあげて失神した。
余程溜まってたのか、糞尿のパ〜ラダイスが起こってた。
こりゃR指定に引っかかりそう。
妹が隣でショックで吐きそうな顔をしている。
「んふふ〜ん、後は仕上げをするだけね。」
え?仕上げってなんだ?
「よいしょ、」
そういうと王様が毛皮に包まれ、髭が鬣になり、立派なライオンの獣人と化していた。
「後は放置しとけばこの闇魔法も消えるわね。」
「これでこいつは奴隷としてこき使われるでしょ。」
さっすが母さん、エグい。
「お母さん...。帰ろう...。」
真っ青な顔で妹が言う
「...そうね、これは刺激が強いもんね...。これじゃ母親失格ね...。」
「...そうだな...今日の夕飯は茶色い食べ物は止めようか...。」
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...その後、家に帰って数日したある日、
ラルイクス帝国の王様は獣人で、
糞尿を撒き散らしながら失神していた!
というニュースが全国を駆け巡るのだった。
〜その後、ある酒場にて〜
「なあ、知ってるか?」
「なんだ?」
「ラルイクス帝国の王様変わったらしいぜ?」
「え!だれだれ!」
「あの第一王子らしいぜ?」
「まじかよ!あの我が儘王子か?」
「ああ、そうだ。」
「...これから荒れそうだなぁ...。」
「ああ、戦争にならないことを祈るぜ。」
「だよなぁ...。」
「「.......」」
「...酒美味いな。」
「...そうだな....。」




