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MARS  作者: k.go
3/8

FILE2 家族

 夏目

「ただいまー」


 父

「おかえり」


 帰ったときにはすでに父親が帰ってきていた。

 国が所有する特殊部隊に入っているらしく、仕事内容は断片的にしか教えてもらえない。

 でも、夏目はいつも優しい父が大好きだった。

 居間に入ると、父親が新聞を見ながら煙草を吸っていた。


 父

「優希、今日は遅かったな。

 遊ぶのもいいが、そこそこにしとかないと父さんみたいになるぞ。」


 こっちを向いてにかっと笑った。

 優希はフンと鼻を鳴らして、


 夏目優希

「違うっての、今日は勝木と一緒に図書室で勉強してたんだよ。」


 と、勝ち誇ったようにイーッと歯を出した。

 父は信じられないといわんばかりに口をあんぐりと開いて優希を見た。

 そして、糸が切れたように急にげらげら笑い泣きしながら叫びだした。


 父

「母さーん、優希が病気になったぞ!

 電気ショックはあるかー!」


 まるきり信用していない。

 優希は床に座っている父に対して笑顔で駆け寄った。

 そして、


 “ドカッ!!”


 優希は笑い転げる父の背中を、笑顔のまま無言で思いっきり蹴り飛ばした。


 父

「うぐぅ!

 母さん、電気ショックの変わりに俺に霊柩車れいきゅうしゃをたのむ!

 俺の骨は庭に埋めてくれ。

 娘にやられるなら本望だー。」


 と、ギャーギャー騒ぎながら背中を押さえてのた打ち回った。

 優希は中指をビシッと立てて、


 優希

「うるせえバカオヤジ、自分の娘をバカにすんのも大概にしろってんだ。」


 と言い放ち、さらに何回も蹴りまくった。

 そんな二人を見かねて母親がキッチンから顔を出した。


 母

「ほらほら、そんなに騒がしくしたら近所迷惑だから静かにしてね。

 優希はもっと女らしく、誠一せいいちさんはもっと父親らしくしてください。」


 母はいつもおっとりしていて、家ではなぜか和服を着ていた。

 夏樹は生まれてこれまで、夫婦喧嘩など一度たりとも見たことがなかった。


 優希

「だって母さん、コイツ特殊部隊だかなんだか知らないけど筋肉カチカチでこれくらいじゃ効きやしないんだもんよ。

 むしろこっちの足の心配してくれよな。」


 そういうと、ケンケンしながら片足をさすった。

 ぼこぼこに蹴られていた誠一がむくっと起き上がると、笑いながら前髪をかきあげた。


 誠一

「いや、優希もなかなかな蹴りを繰り出すようになったぞ。

 とくに最初の飛び蹴りの一発はなかなかよかった。

 なあ瑠那るなこの調子で脚力を鍛えればいずれは・・・」


 瑠那

「もう、あなた自分の娘をいったいどうしたいんです?

 ただでさえあなたの血を色濃く受け継いでいるせいで、そこいらの男の子より男らしいのに。」


 瑠那は、よよよと、悲しそうに涙を拭くそぶりをする。

 ふりだけで実際泣いている訳ではないのだが、誠一に対しては効果抜群なのだ。


 誠一

「ごめん。

 今度から気をつけるから泣くなって、な。」


 誠一は本気で泣いたと思っているのか、オロオロしてしまっている。


 優希

「・・・・」


 優希は将来は母のように、夫をうまくコントロールできるようになりたいな。

 と、思いつつも女って怖いなといつも実感する。


 誠一

「よし、手伝って欲しい事があったら何でも言ってくれ。」


 瑠那

「お手伝いはいりません。

 そのかわり食事が出来たので、そこで大人しくしていてくださいね。」


 そういうと瑠那はスッと台所へと姿を消した。


 優希

「ネエ父さん、母さんがウソ泣きだってこと気付いてんでしょ?

 そんな調子だったらこれからもずーっと頭上がんないんじゃん。

 ほんと、ばかだねえ。」


 首を横に振って、いやだいやだとため息をついた。

 誠一がムッとすると思っていたのだが、予想に反して優しい顔で優希の頭に片手をポンと乗せた。


 誠一

「あいつはな、どんな時だって俺の事を笑って支えていてくれてる。

 任務で死にそうになった時は、寝ないで看病してくれた。

 だから俺はどんなに辛い任務だとしても、歯を食いしばって頑張れる。

 俺はいつでも笑っているあいつがウソ泣きをするのも見たくないんだ。

 もちろんそれがお前でもな、わかるか?」


 誠一は優希の頭を優しくなでおろした。


 優希

「・・・手ぇどけろよな・・」


 耳の端が熱くなっていくのがわかった。

 普段誰よりもおちゃらけてるくせに、不意にマジメになるから調子が狂ってしまう。

 そんな状態の優希を見て、誠一はうつむいて黙って震えていた。

 そして、、、


 誠一

「だーはははは、瑠那、見ただろ。

 優希はお前に似てどんなヤツより可愛いぞ。」


 ちょうどそこに出来た料理を持ってきた母が、ひょっこり顔を出した。

 どうやら物陰から一部始終やり取りを見ていたようだ。


 瑠那

「そうですね。」


 と言うと、満面の笑みで料理を机の上に乗せた。


 優希

「なっ、な・・」


 顔をさらに真っ赤にした優希に瑠那は、


 瑠那

「喧嘩は食事の後にしてね。」


 と、やさしく止めた。

 この家で母の言う事は絶対なので、それ以上何も言えなくなってしまった。

 ブスッとむくれた顔をしつつ、食卓につく。

 今日のご飯は肉料理が多かった。

 父が長く家を空けるときには決まって肉がメインになる。


 優希

「父さん、また仕事でどこかいくん?」


 誠一は肉にかぶりつきながらうなずいた。


 誠一

「今度、ウロボロスにいくことになった。

 何でも今話題の変な機械の護衛役らしい。」


 優希

「今話題のって、あのマルスのこと?」


 誠一

「ああ、正確にはマースというらしいけどな。

 どうやったのかはわからないが、たった一日で地雷原の地雷を全て起爆させて無効化にさせただとか。

 まあ、今回は人を守らなくていいから気が楽だ。

 どこぞのお偉いさんと違って、護衛中に文句を言われる心配がないからな。」


 誠一は仕事上、危険を伴う血なまぐさい任務が多いらしい。

 ウソをつけない性格の誠一は、危険な任務であれば内容を絶対に話してくれない。

 その誠一が任務の内容を話してくれるときは、大抵危険の少ない任務の時である。

 最近は内容を話してくれないことが多かったから、自分から話してくれたことで安心できた。


 少なくとも、このときは不安に思うことなど微塵もなかった。

えーと、皆さんこんにちは、作者です。

前回書いたように、説明込みの前置きが長いな、と思っていたので、今回はもっと話を進めるつもりだったんです。

 でも結果はむしろ前書きを伸ばしてしまっただけのような・・・。

 そろそろ一体どこが戦記なんだ?と苦情が来そうで怖いです。

 すいません、作者の力量不足です。

 次回からは本編にちゃんと入れると思いますが、予定は未定なうえ、大学の再試前になってきたので更新がいつになることやら・・・

 とりあえず、最善は尽くすつもりなので温かい目でみてやってください。

 追伸、FILE0,1に出てきた夏目はフルネーム夏目優希なつめゆうきと申します。

 ゆうきという響きが男みたいで呼ばれるのがイヤだから上で呼んでもらってるようです。

 どうでもよかったですね、ではまた次回会いましょう。

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