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俺達は岩井テレサの施設からの帰り道、俺達には『責任』がある事に改めて気が付いた…そしてはなちゃんが新たなターゲットを見つけた。

そして、はなちゃんが別室に連れて行かれ、岩井テレサ達からの聞き取り調査を受けた。


俺達はカフェで時間を潰し、2時間後にはなちゃんが解放されて、リリー達と別れて、俺達は死霊屋敷に戻った。


帰りの車中で俺達ははなちゃんに何を聞かれたのか聞いて見た。


「なに、大した事では無いじゃの。

 あの飲み込まれた『種子の人』達一人一人の印象や飲み込まれるまでの判る限りの経歴について聞かれたじゃの。

 彩斗達があの場に居たら退屈すると思ったのじゃろうがの。

 わらわはいささか疲れたので寝るじゃの。」


眠りに入ったはなちゃんの頭を撫でながら、助手席のジンコが鼻を鳴らした。


「ふうん、何か行李に取り込まれる条件でも探していたのかな?

 でも、私はほぼ無作為に行李が呑み込んで、いや、取り込んでいたと思うんだけどね。」


後席の凛が頷いた。


「そうね、ジンコが言う通り、私でもあの人達の共通点と言う所じゃ行李に取り込まれた後の事だけなんだと何となく判るわね。」

「そうだね、凛。

 行李は取り込んだ後でどういう条件で選別したかは判らないけど、条件に合わないと判断したら取り込まれた時の記憶を消して排出、吐き出したんだと思うな。

 あの粘液も拭って、元の姿に戻してさ。」


俺が凛に答えるとジンコも頷いた。


「そうね彩斗、そうだったら今迄にあちこちで起きた神隠し事件の説明が着くわね。

 飲み込まれた人達の中に悪鬼もいたけど、質が悪い悪鬼は1人もいなかったしね。

 新しい文明を築くのに障害になりそうな人や悪鬼は除外したんだと思うわ。」

「そうか、まぁ、惟任教授が言う通りだとすると質の悪い悪鬼は新しい文明を打ち立てるには不適当な存在だと思うよ。」


凛は腑に落ちない顔をした。


「でもね…もしも私達が新しく選別された人達が立ち上げた文明を引き継いだ…その末裔だとしたら…今の世界は随分お粗末なんじゃ無いかな…何と言うか、最初の理想がどんどん劣化して行ったような…。」


ジンコがシートにもたれてため息をついた。


「そうね~!

 会社だって時代が進むと創業者の意思を引き継ぐのに不適当なバカ娘やバカ息子が出て来ておバカな会社になったり潰れたりするじゃない?

 会社の世代の交代なんてたかだか数十年だけどそれでもひどく劣化する時は有るわよ。

 ましてや人類文明なんて気が遠くなるほど長い時間が経っているからね。

 何も無い所で一から作り出すのと、既にあるものを引き継ぐのでは、感謝一つをとっても心の捉え方も断然違うからしょうがないのかもね…。」

「ジンコ…それじゃまるで人類はお先真っ暗じゃないか…。」


ジンコと凛が苦笑いを浮かべた。

ジンコは道路の横の海を眺めながら呟いた。


「そうね…もしかしたら人類はそうやって何度か滅亡して…何かの存在はその度に行李を使ってまた新しいトライを繰り返しているのかも…何が今の人類文明に見切りをつける基準だかは判らないけどね…。」


俺は前に圭子さんが言った言葉を思い出した。


「圭子さんが前に言っていたけど、もしもその…神のような存在が今の地球を見たら全然不合格と言ってたな…。」


ジンコも凛も黙り込んだ。


「まさに…その通りね…神のような、いや、行李の中の『種子の人』に期待して地球を預けた存在が居て今の地球を見たら…激怒しながら泣くかもね…。」


ジンコは海を見つめながら呟き、凛も深く頷いた。


「俺達が散々にやってきた愚行のつけが清算される時が来ると言う事か…。」


凛が顔を上げ、キッとした表情になった。


「彩斗、それを黙って受け入れるの?

 確かに私達はあまりそういう事を考えないで生きて来たかもね…でもね、そのつけをさ、司や忍達に背負わせられる?

 私たちがその責任を負うとしても、まだ世の中の事をほとんど何も知らない司や忍達、子供達にその重荷を背負わせられる?」


ランドクルーザーが信号待ちで止まった横の歩道を下校途中の小学生の一団が通り過ぎて行くのを俺は見た。

助手席でジンコも無邪気にはしゃぎながら、何事か楽しそうに話しながら歩いて行く小学生の一団をじっと見つめていた。


「…そうね。

 その通りよ凛。

 私達で何とかしなきゃ。

 私達があの子達の防波堤になって何とか世界の破滅を食止めないとね。

 司や忍や、あの子達に何か胸を張って渡せる世界にしないと…。

 質の悪い悪鬼討伐だけじゃない、その他にも何か私達が出来ることを頭を絞って考えて、行動して世界を変えて行かないと…散々美味しい所をしゃぶって置いて何かが起きた時に馬鹿面して『お偉い』奴らに全て任せて、全責任をおっかぶせて後でくだらない文句を言うなんて無責任でバカな事は出来ないわ。

 私達が今、世界を変える努力をしないで、それをしないで。どうやって司や忍や、あの子達に顔向けできると言うのよ。

 私たち一人一人に、大人にはその『責任』がある筈よ!」

「そうだね、ジンコの言う通りだ。

 いざその時になって、何かとても酷い事が起きた時に、皆政府や大企業の奴らが悪いんだよって言って司や忍や、あの子達が納得する筈なんて絶対ないよ。

 知ってしまった俺達が防波堤になって滅亡を食い止めないと…せめて司や忍やあの子達に俺達は必死に頑張ったよと言って、後は君達がもっともっと良い世界にしてくださいと渡せる世界にしないとね。

 そうじゃなきゃいけない。」

「お前達!よくぞ言ったじゃの!

 その通りじゃの!

 わらわもその良い世界に変えるに一肌脱ぐじゃの!

 防波堤の一部になってやるじゃの!

 わらわも司や忍に頑張ったじゃの!と、胸を張りたいじゃの!」


「はなちゃん、起きてたの?」


ジンコがはなちゃんを抱き直して呆れた声を上げた。


「彩斗やジンコや凛が何やら熱く語っておったから目が覚めたじゃの!

 ところでの、世界を良くするためにお前達がやらねばいけない質の悪い悪鬼討伐じゃが、さっそく悪い奴らを見つけたじゃの!」

「早速…はなちゃん凄いね。」

「うむ、どうやらわらわもあの行李とやらに飲み込まれた時に少し変わったかも知れぬじゃの…結構遠くの物でも判るようになったかも知れぬじゃの。」

「そいつらは今どこにいるの?

 彩斗、大体の場所だけでも特定しようよ。」

「ジンコ、その通りだな。

 はなちゃん、案内してくれる?」

「任せとけじゃの、じゃが、今回は少し厄介かも知れぬじゃの…。」


凛が助手席に身を乗り出した。


「はなちゃん、何が厄介なの?」

「凛、今回はの、質の悪い悪鬼と質の悪い人間が共に行動しているじゃの。

 それも、人間も悪鬼もいささか数が多いじゃの。

 悪鬼は10匹くらい、人間は…20人はいると思うじゃの。」

「え…そんなに…。」

「人間どもは一所にいる奴が質の悪い悪鬼と知ったうえで手助けしておるじゃの。」

「マジか…はなちゃん、ともかくそいつらの居場所を突き止めよう。」


俺達ははなちゃんの案内でランドクルーザーを走らせた。

途中でジンコが死霊屋敷に連絡をして現在の状況を四郎や明石達に伝えた。

明石と四郎が現地で合流すると言った。


俺達の、世界を良くするための悪鬼討伐作業は再会した。






続く


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