ノリッピーと榊に乾の事を伝え、乾の捜索を打ち切ることにした…乾のヒントを元に5人組の住処や遺留品を調べた…見つかった。
俺達は『ひだまり』に避難していた圭子さんと司と忍を死霊屋敷に呼び戻した。
俺達の説明を聞いた圭子さんがほっとした声を上げた。
「やれやれ、肝が冷えたわ~!
でも、乾とかいう奴は敵では…少なくとも今の段階では敵ではないと言う事よね?」
俺達は頷いた。
「ならば一歩前進じゃあないのよ。
地下の化け物からリリーやジンコや凛達を取り戻せるヒントがあの5人組にあると言う事よね。」
その通り。
午後3時。
ノリッピーと榊がやって来て、俺達と乾が交わしたやり取りを黙って聞いていた。
聞き終えたノリッピーが深く頷いて顎を人差し指で撫でた。
「そうか、管理者…清算の日…いや、審判の日とも言えるね。
今日出掛ける時に聞いたら月はもう4・18パーセント裏側を地球に見せていると言う事なんだが、何か関連があるかも知れないな…。」
「それは…何らかの…終わりの日みたいなことが近づいていると言う事ですか?」
俺が尋ねるとノリッピーはかぶりを振った。
「いや、彩斗君。
今の時点では何とも言えないよ…可能性の一つではあるけどね…そして、乾と言う者が言った清算の日…いったい何が起こるのかさっぱり見当がつかないな。
しかし、乾が言った事は岩井テレサにも伝えるよ。
乾を調べることは中止だ、これ以上厄介な存在を敵に廻したくないしね。
それに今の所、乾達は無害…と言うか、私たちの活動に介入しないと言っているから乾達の事は後回しだな…それじゃあ、行くんだろう?」
そう言ってノリッピーは榊に目配せすると榊はカバンから書類を出してテーブルに置いた。
「あの5人組の死体、と言っても灰になったけど、その遺留品から奴らの住所は判明して今私達で封鎖している。
私達もかなり調べたが今の所、あの地下の存在との関係を示すものは見つかっていないんだ。
だが、彩斗君達が違った新鮮な目線で見れば何か見つかるかも知れないね。
5人組の遺留品、着ていた服や所持品も小田原の施設に保管してある。
そちらも私達では何もこれと言う者は見つからなかったが、いつでも見たい時は言ってくれれば良いよ。
私達も君らと同じ、リリーや小三郎達を取り戻したい。」
俺達はノリッピーに礼を言い、とりあえず真鈴が帰ってきたら5人組の内、一番近い狛江市に探りに行く事を決めた。
「ああ、今回のような事が起きたら、もっと深刻な事態になれば、少し遠いが小田原に皆で逃げてくれば良いさ。
あそこなら軍隊が押しかけても大抵は撃退できるし大軍でやって来てもかなり持ちこたえられるからね。」
帰り際にノリッピーがウィンクして言い、榊も頷いた。
俺達は感謝してノリッピーを見送り、そして真鈴が帰ってくると狛江市の5人組の1人の家に向かった。
古びた平屋の一軒家。
俺達はくまなく探し、はなちゃんも感覚を研ぎ澄まして探ったが何も見つからなかった。
それからは秘密の地下道の出口の工事の監督と並行して5人組の残りの家を探りに行ったがこれという収穫は無かった。
5人組がどう言う風に連絡を取り合い、どうやってあの地下の存在を呼び出すのか、さっぱり手掛かりが掴めなかった。
「やれやれだわ~こんな時にジンコが居ればね~。
彼女は色々と人間離れした鋭い視線で色々と見つけるんだけど…。」
夕食と夜のトレーニングを終えた俺達が暖炉の間でコーヒーを飲んでいると真鈴がコーヒーを飲みながらぼやいた。
「まぁ、真鈴、今ジンコはいないから仕方ないよ。
でも、ジンコ達を取り返すためにも俺達は注意深く色々と観察しないとね。
それこそジンコの様な観察眼で。」
「彩斗、最近良い事言うじゃん!
さすが、ワイバーンリーダーとして成長しつつあるわ~!
SIGの抜き撃ちはまだまだだけどね~!」
ち、真鈴は一言余計な女だな、と俺は思いつつ苦笑いで答えるしか無かった。
明日は岩井テレサの施設に行き、5人組の遺留品を見ることになっている。
『ひだまり』が休みで喜朗おじと加奈とクラも同行する。
圭子さんと司と忍も一緒の行く事になっている。
探る眼は多ければ多いほど良い。
翌日、俺達は岩井テレサの施設に行き、5人組の遺留品が保管されている地下の部屋に入った。
5つのテーブルにはそれぞれの遺留品、着ていた服などが広げて置いてあり、その横に所持品が並んでいた。
真鈴が髪を後ろのまとめて腕まくりをした。
「さぁ、みんな、あの薄気味悪い位に感が強いジンコになった気分で、ジンコの目線で観察して。」
俺達は服と所持品を細かく、つぎつぎに時間をかけて観察した。
何の変哲も無い物ばかりだった。
俺達は失望してため息をついた。
「ママ、このボタン変わってるね~。」
忍が無邪気な顔でスーツの上着の袖のボタンを指差した。
圭子さんは忍の横に立ち、スーツの袖を覗き込んだ。
「忍、これはね多分貝殻を磨いて作ったボタンよ。
このスーツはかなり洒落た仕立てでもあるからね~。
あら?3つ並んだうちの真ん中がちょっと変な形ね。
欠けたのかな?」
「あの時は銃弾が飛び交っていたからな~。
流れ弾でもかすったかな?」
明石が呑気な声を上げた。
真鈴が忍の横に来てボタンを覗き込んだ。
「…ちょっと待って。」
そして真鈴は別のテーブルのスーツを見に行った。
袖口を摘まんでボタンを見たが、がっかりした顔を見せた。
そして頭を振ってこめかみに指を当てて、今度は合わせのボタンを見つめた。
「ひょっとして…ジンコ…力を貸して…。
ああ!」
真鈴が声を上げた。
「どうした真鈴?」
四郎が尋ねたが真鈴はそれに答えず、係の者に頼んでトレーシングペーパーと鉛筆を持って来て貰った。
そして、最初に忍が見つけた袖口のボタンの上にトレーシングペーパーを乗せてその輪郭を鉛筆でなぞった。
真鈴がトレーシングペーパーを手に先ほどの別のスーツに行き合わせのボタンの上にトレーシングペーパーを乗せて色々と動かした。
「これよ!これだわ!
皆!ほかのスーツかシャツ、ズボンにこのボタンと同じ貝殻の物がある筈!
どこか欠けていたり形が変なのを探して!」
俺達は即座の他のテーブルに飛びついてボタンを探した。
その間真鈴は合わせのボタンにトレーシングペーパーを乗せてずらし、別のスーツの袖口にあったボタンと形を合わせると鉛筆でなぞった。
「こっちもあったぞ!」
四郎が声を上げた。
そして、それぞれのテーブルから一つずつ形が変な、どこか欠けたようなボタンを見つけた。
全部で5つ。
真鈴はその都度トレーシングペーパーで形をなぞった。
そして空いたテーブルにトレーシングペーパーを重ね、俺達を呼び集めた。
「…これを見てよ。
全部同じ貝殻で材質で…形も…色合いもよ。」
真鈴が重ねたトレーシングペーパーには割れ口が合う5つのピースが一つになった楕円形の形が出来た。
5人組がそれぞれ一つづつ、欠片を持っていたと言う事だ。
繋がった…ような気がした。
いや、間違いないと俺達は思った。
続く




