あの強い悪鬼の居場所を特定できそうだ…俺達は岩井テレサと連絡を取ってノリッピー達と対策を練る事に…しかし…。
俺達は早速岩井テレサに連絡を取った。
電話に出たコーディネーターが早速岩井テレサにつなげてくれた。
事情を聞いた岩井テレサがスコルピオのノリッピーに電話を繋げた。
「彩斗君、事情を聞いたよ。
あの強い奴の居場所を見つけ出したって?」
「ええ、なんとかエリアを絞り込んで明日中には奴の住処を特定できると思います。」
「凄いなワイバーンは…私達の調査部でも奴の足取りを追っていたが…いったいどうやったんだい?」
「ノリッピー、それはあった時にお話しします。」
「わかった。
明日の午後ならそちらに伺えそうだよ。
地下のアレに飲み込まれたリリー達も生きていると言う事を教えてくれたしね。
何とか状況を打開できそうだ。
それじゃ明日午後3時頃にお伺いするよ。
カスカベルとタランテラの者も連れて行く。
私達も全力で対応するよ。」
「お待ちしています。」
電話が切れ、俺達はコーヒーを飲んで一息入れた。
ジンコ達は生きていて、あの強い奴を生け捕りにして情報を聞き出せればジンコ達を取り返す事が出来るかも知れない。
翌日、俺達は朝のトレーニングと朝食を済ませ、真鈴は大学に行き、喜朗おじと加奈は『ひだまり』に、秘密の出入り口の小屋の工事は休工日。
司と忍の学校は何かの記念日で休みだと言う事で死霊屋敷ではなちゃんとアニメを見たり何かのボードゲームに興じたりして休日を楽しんでいた。
今日の夜にはスケベヲタク死霊軍団の総動員であの強い悪鬼の居場所がハッキリと判るだろう。
俺と四郎と明石は久しぶりにプールサイドで寛いでいた。
「やれやれ、後はノリッピー達と対策会議だな。
われはその後でリリーのエレファントガンの射撃練習をするぞ。」
そう言って四郎が大きく伸びをした。
明石も椅子の上で体を伸ばした。
「俺も江雪左文字の練習をしよう。
奴をどうするのか…今は自分の技術を少しでも上げるしか思いつかないな…。」
400年以上戦い続けた明石が未だに戦闘技術の向上を目指している事に敬意を払いつつ、俺もうかうかしていられないと思った。
ノリッピーとの打ち合わせが終わったら俺もオリジンショットガンやUMPの射撃訓練、小雀ナイフやルージュの槍の練習をしようと思った。
昼まで少し時間がある、ガレージ地下でSIGの射撃練習をするか…。
「俺はガレージ地下にいるよ。
何かあったら教えて。」
俺は地下に行き、40口径のSIGの射撃練習をした。
今では9ミリよりもはるかに強力な反動もうまく制御できるようになったし、30メートル先の動く標的に対する頭部銃撃にも自信がある。
ただ、ホルスターからの抜き撃ちにはまだまだだと、この前真鈴に指摘されたのが悔しい。
真鈴は射撃の正確さは俺とどっこいどっこいだが、俺よりも遥かにスムーズにホルスターからSIGを抜いて射撃姿勢に入る事が出来た。
2時間近く撃っただろうか、俺は空薬きょうを掃除してSIGの分解手入れをした。
死霊屋敷に戻ると四郎と明石が昼食の準備をしていた。
「彩斗、お前も手伝え。
圭子は明日のコーラスの練習の準備をしているんだ。」
ダイニングでは圭子さんが楽譜を何枚もテーブルに広げて色々考えながら何やら書き込んでいる。
時々、何度かフアー!とか声をあげる。
音程のチェックをしているんだろう。
俺達にジンコ達を取り返す希望が見えた事でワイバーンも日常に戻りつつある。
あの強い悪鬼…あいつを何とか生け捕りに出来てあの地下の存在のヒントを掴めれば…。
「暗黒の才蔵達が上手くやってくれていればな…。」
「うむ、景行、奴らならなんとか探し出してくれるだろう…なあ、彩斗総統。」
四郎が笑顔で俺に言った。
「もうさ…何であいつら、彩斗首領だの将軍だの総統だの…まるで俺達ワイバーンが悪の組織みたいじゃないか…。
「あっはっはっ!
まぁ、ヲタクなんだろうからそう言うダークな雰囲気が好きなんじゃないか?
中2病とか言うのを患っている連中でもあるからな。」
明石が野菜を炒めながら笑った。
「そうだね景行、でもさ…胸をさわり放題と言っただけで爆発して昇天するなんてね…純情何だかいやらしい奴ら何だか…良く判んないよ。」
「うむ、その通りだな。
われ達も暗黒の才蔵たちの扱いに気を付けねばな。」
その時にチャイムが鳴った。
ゲート前に車が来ると鳴る様になっている。
「なんだ?
ノリッピーかな?
いささか早いな。
この前ここのめしが旨い旨いと言っていたし、昼飯目当てに来たのかな?
まぁ、ごちそうしてやろう。」
明石がコンロの火を止めて手を拭きながら、監視カメラがある小部屋に行った。
「彩斗!四郎!圭子!はなちゃんを連れてここに来い!」
小部屋から明石の切迫した声が聞こえた。
圭子さんがすぐさま席を立ち暖炉の間に走った。
こういう場合俺達は、一分一秒を争う事態に備えて警報を発した者の指示を何も質問しないで対応するように訓練している。
俺と四郎が小部屋に入ると明石が引きつった顔でじっと監視カメラを見つめていた。
玄関ゲートの前に銀色の2代目スカイライン、俗にいうハコスカが停まっていて…あの強い悪鬼がスーツ姿で車を降りたち日本刀を片手に持って不敵な笑顔でカメラを見上げていた。
はなちゃんを抱えて小部屋に飛び込んだ圭子さんも監視カメラを見た。
「おおお!なんじゃ…やつか…恐ろしく気配を消していて全く気がつかんじゃったの…。」
はなちゃんが呻き声をあげた。
「明石どうする?」
「彩斗、四郎、圭子、はなちゃん、奴は日本刀を持ってはいるがまだ鞘から抜いていない。
これは…話し合いに来たのかも知れないな…。
ゲートを開けなくとも奴なら易々と侵入するだろう。」
そして明石が矢継ぎ早に指示を出した。
「圭子!司と忍を連れて秘密の地下道から岩井テレサの敷地に!
ハイエースに乗って『ひだまり』に行け!
喜朗おじに伝えろ!
加奈や喜朗おじやクラが応援に来るとか言い出しても絶対に来させるな!
もしも戦闘になったらはなちゃんが警報を出す!
お前と喜朗おじなら判る筈だ!
はなちゃんの警報を聞いたらすぐに『ひだまり』を閉めて全員で前住んでたマンションに行け!
真鈴にも連絡を取って死霊屋敷に戻るなと伝えろ!
俺達が住んでたマンションに来いと伝えろよ!」
圭子さんが壁に掛けてある鍵束を掴んで大声で司と忍の名前を呼びながら小部屋を飛び出した。
「四郎!お前のサーベルと俺の左文字を持って来てくれ!
彩斗!おまえもSIGとナイフで武装しろ!
奴と顔を合わせるぞ!」
そう言って明石はゲートの扉を開いた。
奴はゲートが開くのを見るとゆっくりとハコスカに乗り込んでゲートから入って来た。
俺達が準備をして玄関ホールに出た時に、圭子さんが『あんたたち死なないでね!』と叫んで司と忍を両脇に抱えて地下室に走って行った。
続く




