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加奈が戻って来た俺達はあの強い悪鬼と地下の存在の捜索に本格的に乗り出した…そして、さととまりあが地下の存在を探ると…。

夕食。


司と忍も加奈の事をかなり心配していたようで、ニコニコと笑顔を浮かべて加奈の横を離れなかった。


「これでジンコや凛が退院して戻ってきたら完璧だね!」

「そうなれば、あたし達ワイバーンも元通りだよ!」


司と忍が夕食を頬張りながら無邪気な笑顔で言った。


ジンコや凛やリリー達の本当の事を知らされていない司と忍に俺達は胸が痛んだ。

俺は同時に何も知らせていないユキにこの事態をどう伝えれば良いか悩んでいた。

しかし近々にまた遊びに来たいとせがむユキ。

やはり黙っていると言う訳には行かないだろう。


あの結婚式の夜。

ガレージ地下のディスコパーティでチークを踊りながらユキは涙を流して誰も死なないように誰も欠けないように約束してと俺に言った。

誰も死なない、誰も欠けないと、俺はユキに約束していた。


夕食を終わらせて司と忍が家に戻ると喜朗おじとクラ、応援に来ていたナナツーが襲い夕食を摂りに来た。

ナナツーが連れてきたカスカベルやタランテラの応援メンバーも順調に働いてくれているらしい。


喜朗おじは元気を取り戻した加奈を見つめては涙ぐんで喜び、何回か加奈を慌てさせた。


そして、死霊を見る事が出来るメンバーと応援に来た悪鬼のナナツーを連れて俺達は『ひだまり』に行き、あの強い悪鬼の捜索に出てくれているスケベヲタク死霊軍団の今日の捜索の報告を聞きに行った。


捜索に行った死霊の1人が現地にいる浮遊霊から有力な目撃情報を聞き出した。

大田区蒲田、西蒲田で強い悪鬼を目撃したと複数の浮遊霊からの情報があり、俺達は色めき立った。


「よし、お前達お手柄だ。

 明日からは大田区周辺に的を絞って捜索を行おう。

 そして、皆に朗報だ。

 明日から加奈が『ひだまり』に復帰するぞ。」


俺がそう告げるとスケベヲタク死霊軍団が歓声を上げ飛び跳ねて喜び、中には歓喜の涙を流している死霊までいた。

やはり元祖スケベヲタク死霊軍団のアイドルである加奈は根強い人気があるらしく、死霊達も加奈の事を凄く心配していたようだった。


最初のこいつらを見た時はぎょっとしてかなり嫌な感じだったが、今はこの善良で憎めない良い奴らは、俺達の仲間だった。

明石達も同じ気分のようでスケベヲタク死霊軍団と笑顔でハイタッチなどして喜び合っていた。


俺達は屋敷に戻り、加奈も参加して夜のナイフトレーニングをして眠りについた。

加奈の近接戦闘の腕前は些かも錆びついていなかった。

それどころか動くの鋭さにますます磨きが掛かっている気がする。


翌日はさととまりあと一緒に多摩山中の地下の存在を探りに行く事になっていた。


翌朝、朝のトレーニングと朝食を済ませた俺達。

俺と明石とはなちゃんで途中さととまりあと合流して多摩に向かう。


四郎と真鈴も多摩に行きたがったが、今日は深海オートに頼んであった緊急脱出用の目立たないが4輪駆動に改造してチューンを施してある3台のハイエースの納車に立ち会ってもらう事になっている。

この3台は何か壊滅的な事態になって死霊屋敷を脱出した後で俺達が再起をするのに必要な物を積み込んで岩井テレサの敷地にある小屋に置く予定だ。

これからは3日に一度くらいは岩井テレサの敷地の小屋に行き、3台のハイエースの調子を確認する作業が必要になるだろう。

3台のハイエースには武器や俺達の新しい身分証、四郎の金貨の内の何割かを乗せる予定だ。

これに飛び乗ってどこかに逃げてもまた充分一からやり直せる。


喜朗おじと加奈は張り切って『ひだまり』に出かけ、司と忍も学校に出かけ、留守番の真鈴と四郎と圭子さんに見送られて俺と明石とはなちゃんを乗せたランドクルーザーは多摩に向かう途中の道の駅、さととまりあと待ち合わせをしている場所に向かった。


時間になるとさととまりあと黒田が何やらお菓子や地元の名産品が大量に入った袋を抱えた姿でランドクルーザーの窓を叩いた。


「彩斗君達お待たせ~!

 何やら美味しそうな物が沢山あったから買い込んじゃったわ!

 ほほほ!

 今車を持ってくるから待っててね~!」


やはり、さともマリアも、そして黒田も悪鬼なので大食らいなんだろうなと俺と明石は苦笑いを浮かべた。

久しぶりに遠出すると言う事でさと達ははしゃいでいた。

やがて濃いグリーンのジャガーがやって来て隣に停まった。


後席の窓が開いて何やら頬ばっているさとが顔を出した。


「さぁ、行きましょう!

 このおまんじゅう美味しいわね!

 帰りにも寄ろうかしら、ほほ!」


俺達は車を連ねて多摩山中、ジンコ達が呑み込まれた場所に向かった。

俺達は車を降りた。


「どうやら奴は深い所にいるのじゃろうか…わらわには良く判らんじゃの。」


さととまりあがはなちゃんを見つめた。


「はなちゃん、私とまりあはね、みちに色々教えられながら人の心やそれ以外の存在の気持ちを探る事を200年以上続けて来たのよ。

 こういう時はちょっとコツがいるのよ。

 まぁ、見ていて。」


そう言うとさととまりあが膝をついて地面に手をついて手を当てて目を瞑り俯いた。

俺達はじっとそれを見ている他なかった。


やがてさととまりあは立ち上がり、場所を移動して同じ事をした。

何度か同じ事を繰り返すさととまりあ。

静かに地面に手をついているだけなのだが、さともまりあもびっしょりと汗をかいていた。


時間が流れた。

数時間同じ事を繰り返し続けたさととまりあは立ち上がり大きく息をついた。

そして黒田が差し出したタオルを受け取り汗を拭き、タバコに火を付けた。


「彩斗君達、大体判ったわ。

 私もまりあも、そしてみちも何度か同じような存在を見た…と言うかその存在を感じた事が有るわ。」

「…。」

「その存在はね、この日本に何体か存在しているの。

 みちが言っていたけど、日本以外にも、この星にはかなり存在するのよ。」


はなちゃんが手を上げた。


「そんな存在が居たとは…わらわはそいつが何なのか良く判らないで戸惑ったじゃの。」


さとが煙草の煙を吐いて微笑んだ。


「はなちゃん、無理も無いと思うわ。

 あの存在はね、何と言うか…生き物というよりも、何かの機械の様な存在なのよ。」

「機械…どういう意味だ?」

「景行、あれはね、何というか…とても古い存在なの。

 あなたたちの隣に、岩井テレサの敷地の巨石の下で眠る正体不明の存在よりも古いのよ。

 もしかしたら人類が存在し始めた時からいたのかもね。

 そして、多くの人間をそして、悪鬼をも飲み込んできているわ。

 その行為にはなんの感情も無いわ。

 お腹が空いたとか何かに興味を持って集めるとか、そう言う人間的な感情は何一つないのよ。

 まさしく機械の様に何かのスイッチが入って飲み込んだとしか言えないの。」

「人間も悪鬼も…そしてなんの感情も無く…。」


まりあがもう一本煙草に火をつけ、話し始めた。

俺も明石もつられてタバコを吸った。


「昔から神隠しってあるでしょ?

 時々は凄く年月が経って戻ってくる時もあるし、すぐに戻される時もあるし、未だに戻らない事も有る…日本でもね、ある日村ごと全ての人が急にいなくなると言う事件が起こっているのよ。

 それはあの存在の仕業かも知れないわ。

 何かのはずみで機械のスイッチが入ったのか…飲み込んだ人を戻す事を稀にするみたいだけどね…。」

「まりあ、いったい何でそんな事を…。」

「彩斗君、私達にも判らない。

 心が通わないから…いやあの存在に心は無いわね。

 だから私もさとも機械のようだと思っているの。」


まりあの言葉にさとが頷き、話し始めた。


「あの存在はね…何かの時の為に必要な…種子とでも言えば良いのかな?

 それを集めている気がするわ。」

「それって…。」

「う~ん、どう例えれば良いか判らないけど…タイムカプセルって判る?」

「ええ、思い出の品とかを箱に入れて地面に埋めますよね。

 この前に司と忍も埋めていました。」

「そう、それよ。 

 あれってね、何十年も経ってから掘り起こす事が前提の物でしょ?

 箱だって、注意深い人なら厳重に梱包して中身が劣化するのを防ぐわよね。

 遥か未来に取り出しても中身が一切の劣化をしないようにと…あの存在は…私達もはたしてこの世界で物理的な実体があるのかどうかも判らないけど…物凄く強い外皮に覆われているわ。

 これは外側からどんな圧力を掛けても壊せないと思う。

 そうして中身を守っているわ…はなちゃんが全力に念動をぶつけても…核爆発にだって耐え切ると思うわ…それだけあの存在の中で『種子』たちが厳重に守られているの、時の流れの劣化さえも食い止めているような…。

 だから外部からのアプローチを一切受け付けないとは思うけれど…あの5人組の悪鬼はその方法を知っていたのかも知れないかもね…そして景行でも恐れたあの強い悪鬼も何かを知っていると思うわ。」

「…。」

「あの存在がどんな理由でそんな事をしているのか…誰がどんな理由であの存在を作り出したのか…私達にもさっぱり判らないけど…一つだけ確実に言えることはね…。」


そこまで言ってさととまりあは顔を見合わせた。

そしてさとが口を開いた。


「飲み込まれたジンコや凛、リリー達は確実にあの存在の中で、厳重に守られて、無傷で、生きたまま完璧に保存されていると言う事よ。

 確実にジンコ達は今も生きているわ。」


そこまで言うとさととまりあは黒田が持っている袋から先ほど買ったお菓子を取り出して貪るように食べ始めた。








続く

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