師匠と楓、それぞれとの模擬戦
遂に戦闘描写が書けました。
分からない謎な表現などありましたらご指摘お願いします
風蔵寺の家に着いて、この世界の師匠と再会した俺は、久々に師匠と組手をすることになった。
「では、お願いします。」
「おねがいします」
互いに挨拶をして、まずクルスは師匠の能力を確認した。
蓬莱未来 48歳
アクティブ
掌波拳 レベル200 66/2000
硬気功 レベル180 50/1800
軟気功 レベル185 40/1800
瞬歩 レベル170 1500/1700
軽身功 レベル80 59/800
パッシブ
気闘術
治癒功
未来視
千里眼
・・・やっぱり凄いな、どう見ても中国拳法にしか見えないが、質は全然別物だという事を俺はよく知っている。
そして、今の俺では容易には勝てないことも。
「まず、先手行きます!」
「来い!」
と俺は、先ず、風操作で自身に追い風を与え、速度を増して、接近し拳に螺旋状の風を纏わりつかせて攻撃した。
ガキン!
と、師匠が硬気功(多分)にて、強化した腕をクロスさせ、俺の拳を防ぐと、とても生身の肉体同士が出すとは思えない音が鳴り響く。
「くぅ・・・!久々に重い一撃だ。こんな拳はやはりお前と組手をするくらいでしか味わえんから楽しい物だ。・・・では、こちらからも行くぞ。・・・波ー!」
と今度は師匠の方からの攻撃。
小柄な師匠は跳んで下がるより有用な技を持っている。瞬歩はその作業の為に訓練した技らしい。
一旦その瞬歩にて距離を置き、気を纏わせた掌を突き出してきた。多分、掌波拳だろう。
師匠曰く、「気(闘気)を自在に操ることが出来るようになれば、お前の様な空中散歩も理論上可能だ。私では、まだその域には達していないがな?」
らしい。
今の師匠でも十分凄いと思うが。
そんなことを思いながら、跳躍と風の併用で上へと逃げて掌波拳を回避した。
「おっと、また速度を上げましたね。今のは風の障壁を展開するより避けた方が安全なレベルの威力と速度でしたよ。・・・では、攻守をまた交代しますか。今度は影も使いますから、未来視も併用でお願いします。」
そう宣言したおれは、地面に落ちている自身の影と辺りにある木の影を利用して、影の分身5体を作り出すと、そのそれぞれに風の障壁と風のガントレットを纏わせ、5方向から一斉に攻撃をさせた。
「甘いわ!言われたから遠慮なく使わせて貰うからな。5体程度で私を捉えられると思うなよ?」
・・・やはりと言うか、師匠が未来視を使うと、さっきまでの倍は強くなるだろう。
なんといっても、師匠程の拳法家なら一秒でも先を見れば段違いの強さを発揮するうえ、師匠は未来視の発動中は1~3秒の先を任意で見る事が出来るからな。
・・・だが、その方が俺の新しい技を試すのには丁度いい。
上手い具合に影が俺の姿を隠してくれてるからな。この隙に、風を圧縮し細い弾丸を作りそれに風を螺旋状に纏わりつかせて、名づけるなら「螺旋弾」と言うところか。
「影ごと貫け、螺旋弾!」
俺が技を発したと同時に物凄い勢いで圧縮された風が周囲の風を押しのけて、師匠と影めがけて突撃していく。
そして、未来視で解ったのか。師匠が
「殺す気かー!」
といって、間一髪の処で影の囲みを抜けて螺旋弾を避けた。
おー、流石だ。あの速度の風の弾丸を躱すとは。
「やはり、一筋縄では行きませんね、師匠を倒すには。」
「あほかー!あんなの受けたら、一点集中型の鋼気功位でないと死んじまうわー!」
「まあまあ、師匠なら避けられると思って試しただけですから、気にしないでください。」
「死ぬかもしれん技を仕掛けられて、唯の試とか、気にしないでとか。無茶苦茶だな。おい!」
そんなこんなで組手が引き分けのまま、楓が家に帰ってきた。
「ただいま帰りましたー。・・・って、クルスさん!帰ったのなら一言、メールか電話くださいよ!どうせ未来さんと手合せでもしてたんでしょうが、私の事も少しはかまってください。」
と言いながら、風の精霊魔術を使用して帰ってきた、この風蔵寺の長女、風蔵寺楓が俺を見るなり文句を言ってきた。
「すみません、お邪魔してます、楓さん。そして、おかえりなさい。帰ってきたのはついさっき、30分位前ですよ?帰るなり師匠に会いまして、あいさつ代わりに手合せしてただけですので、そんなに拗ねないでください。可愛い顔が台無しですよ?」
と俺は態と少しからかう様な言い回しをしたのだが、楓は俺のセリフに顔を赤くさせて
「もう!上手いこと言ってはぐらかすのだけは上手なんですから・・・。それよりも、私とも手合せして貰えませんか?どうも学校では、私に訓練で付き合えるレベルの術師が限られているのか、手合せを遠慮される事が多いんです。家では未来さんが帰るたびに付き合ってくれますが・・・・。どうですか?」
うーん・・・?どうしようかな。体もあったまってるし、序にやろうかな?
「いいですね。では、制限はどうしますか?師匠相手と同じように、風と影のみの使用にしますか?」
「・・・・いえ、バトルでクルスさんとペアを組む事を考えれば、異方式紋章術も併用でお願いします。未だに原理が分かりませんが、少しは対応できるようにしといたほうが良いでしょう。」
ほー?訓練レベルでは付き合えるレベルが居ないのに試合となると本気で来るって言うのもなんか変な話ではあるが、まーいいか。
「解りました。では、どの能力を使用しましょうか?」
俺の問いに
「では、水と雲にしましょうか。・・・以前の雷は無しでお願いします。あの時、本気で死ぬかと思いましたので。貴方に殺されるなら諦めもつくとは思いますが、出来るならまだ生きていたいので。」
そう言って、苦笑しながら遠き昔に思いを馳せる楓が居た。
「解りました。では、少し準備しますね?ここは、雲は近くにありますが水辺は遠いですから。自前のを用意しないといけないので。」
そういって、俺は自分の手を上下に重ね、影を作り、サインペンと念罫符を取り出すとサインペンで右手にある特殊な紋章を書き、念罫符をズボンのポケットに閉まって用意を整える。
そして、久々という事で念入りに楓を鑑定した
風蔵寺楓 風蔵寺家の三姉妹の長女
17歳
身長168 体重 50
青味掛かった黒髪をストレートに背中の中間くらいまで伸ばしている。サラサラで少しの風にも靡いて柔らかそうだ。
顔は優しげな感じのする一方で中世的でもあってかなりの美少女だ。
前髪は目に掛からない程度の位置で切り揃えられている。
B86 W56H86
アクティブスキル
風の精霊術 レベル160 67/1600
硬気功 レベル90 3/900
軽身功 レベル100 38/1000
発剄 レベル80 48/800
パッシブ
風の精霊の加護
中華式古武術
カリスマ
努力
精霊術師
うん。順調に育っている様で、何よりだ。
風の精霊術も以前より10も上がっているから、かなりの頻度で使っているのが伺える成長度合いだ。
そして、俺と師匠に指摘されたからか、軽身功もかなり成長している。いい傾向だ。
「それでは、お願いします」
「はい。お願いします」
互いに手を合わせ礼をした後
「それでは、楓さん。レディーファーストでどうぞ。「おい、私はレディーじゃないって・・・」そちらの実戦形式での成長を確認したいので、思いっきりお願いします。」
まだ、後ろでなんか叫んでいるがそこは無視して楓に集中する。
一見、鑑定は便利なのだが、実際には相手の場馴れや経験測、観察力など能力値のみでは測れない要素があるのでこうして、実戦形式で模擬戦をするのが相手の実力を知る為には欠かせないのだ。
「はい。では、行きます。風の精霊よ、我が意に沿いて目の前の者の周りから離れたまえ。・・・はぁっ!」
・・・ほー、考えたな。俺相手に同じ土俵では不利と判断してまず、俺の周りから俺の操れる風を無くすことから行い、次いで少しは勝機のある接近戦、格闘戦を仕掛けてきたか。
だが甘いな。まだ、俺の能力の根本が理解できていないようだ。
「はっ、たっ、それ。・・・くぅ。やはり、なかなか当たりませんねぇ・・。」
近づいてくる楓を俺は我流(異世界の実家の武技)の体捌きでいなしながら注意点を指摘する。
「まずは、僕の風の操作の根本を誤解してるようですから言いますが。僕のは精霊術の様に風の精霊にお願いしたりするものとは違って、完全に支配下に置くものですから支配権は僕の方が上なのですよ。風に関して僕には及ばないと理解して、格闘戦に持ち込む判断は評価できますがね?どうせやるなら思いっきり暴れさせた方がいいですね。それを制御するのには骨が折れるのですから。」
そして、一拍置いて
「さらに言えば、今回はそちらの要望で影と水と雲の異方式紋章術を使用するのですから、そちらもまずは軽身功にて速度を上げて、硬気功にて体と衣服を強化し、捨て身で懐に入って発剄を打ち込むのが一番勝てる可能性のある戦略ですね。ですが、その場合には素早く打ち込み、素早く退避しないと。」
そこで、俺は攻撃をいなしながら楓の背後に回り、左手で楓の左腕を捩じって後ろへ持ってきて固定すると、右手で楓の右腕を覆いながら左胸を鷲掴みにして、揉んで。
ムニュムニュムニュムニュムニュ
「・・と、この様に形の良い胸を揉まれてしまいますからね。より早く、より正確に、判断を下せるようになってください。・・・と揉みすぎましたね。それ。」
ドン!! 「ガッ!」
俺は注意し終わると両手とも放して、離れる序に楓の背中を思いっきり蹴り、その反動で自らも後方へと跳び、一旦距離を取った。
そして楓の方を見ると、睨みつけるようにこちらを見ており
「・・・っく!流石に簡単にはいかせて貰えませんね。もっと訓練をしないとだめなのでしょうが、生憎と学園では相手になる生徒が限られているんですよ。」
そして、一呼吸置き、息を整えてから
「すいませんが、風の精霊術があまり通用しないなら勝負にならないので、加速以外の使用は無しで来て貰えませんか?胸を揉まれるのはクルスさんなら問題ありませんが、模擬戦にすらならないのであれば問題大ありですからね。」
・・・うーん。イキナリ俺の方がピンチになるかな?楓はひたすら努力したようで、風の精霊術以外もそれなりのレベルだが、俺は攻撃の方法がメインはほぼひとつだからな。・・・ま、やり様はあるが。
「少し言いたいことはありますが、これは模擬戦ですからね。けど、他の戦法で攻撃するとなると、楓さんの体がヤバいですが、酷い物でなければ治療はできますから、少し痛みはきつくなるのでそこは我慢してくださいね?」
俺の言葉を聞いて、内容を理解した楓は気を引き締めて向かい合う。
「解りました。確か四肢の一部欠損までなら治療可能でしたね?なるべくそうならない様にしますが、なった場合はよろしくお願いします。」
ペコリと頭を下げて頼んでくる楓。
・・・おいおい、やる気満々かよ!こっちも気を引き締めて掛からないとまずいな。
「よし。じゃー今度はこっちから行きますよ。」
俺はそういうと、右手の掌に書いた紋章を前に向けて誓約の言葉を頭の中で言う。
(セレナ、使わせて貰うね)
そして、掌の紋章から数にして数百は下らない薄い水の泡がフワフワと辺りに漂い始めた。
「ん?この泡は初めての技ですね?一体どう言う物ですか?」
俺は、その質問に苦笑と共に
「この泡は弱めの硫酸水で出来てます。なので、まともにぶつかれば服が溶けて破けるだけでなく、皮膚も少々火傷の様な状態になりますから、風の精霊術を上手く活用して泡同士をぶつける等の回避行動を取ってくださいね?無闇に突っ込めば全裸の全身火傷に成りますよ?」
俺の返答に楓は少し青ざめた顔をして
「貴方に全裸を見られるのは構いませんが、全身火傷は流石に御免被りたいですね。なるべく精霊術を使う様にしましょうか。」
楓が何やら戦法を考えている間に、俺は別の技への布石を整えていた。
ズボンのポケットに手を入れて念卦符に手を触れて
(ゴーラル、また力を借りるよ。)
そして、上空の雨雲を操作して少し下の方に降ろして来て、俺達の戦っている場所全体が影で覆われるようにした。
これで準備万端、と俺はニヤッと口を釣り上げて笑い
「さあ、何処からでも来てください。こちらは準備万端ですよ?」
と挑発した。
「では、行きます!風の精霊よ私の周りにて風の結界を張りあらゆる攻撃から身を守りたまえ。たぁ」
楓が精霊に自身の周りを守らせると同時に、軽身功にて速度を上げ俺の方に向かって来た。
俺は、その行動に対して、右の掌から純粋で濃密な水の塊を発射させて、少しずつ風の結界を削り取って行く。更に俺の攻撃と風の結界の崩れた所から割れた泡の飛沫が楓の体に掛かり始め徐々に服が破けていく。
それでも、楓は突撃を止めずに向かって来て、とうとう俺と肉薄するところまで来た。
「よくここまで来れましたね。ご褒美に接近戦をしてあげます。こちらの準備も整いましたから。」
そう言いながらも硬気功と軽身功で身体能力をアップさせた楓と数合拳を交えていると、こちらの言葉に疑問を持ったのか
「え?それはどういう事です・・・」
か?と楓が俺に問いかけようとした直後、雨雲から雨が降りだし周りの残った泡を割り始めた。
楓がその意味を悟った時には既に俺が足元に絡ませていた影に足を固定され逃げ場を失って、もう頭と髪を両手で隠して守りに徹する以外方法は無かった。だが、それだけで防げるほど甘くなく。
パンパンパンパンパン・・・・
「きゃあああああああああああああ!」
と言う、泡の割れる音と、楓の絶叫だけが辺りに響き渡っていた。
「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」
もう既に半裸の(下の大事なところは隠せているがほぼ全裸)楓が地面に大の字に転がり、大きく息を弾ませて休んでいる所に、楓と同じ学園の中等部通っている次女の紅葉が帰ってきて、楓の服(布の欠片ともいう)と体の火傷を見て
「っ!お姉ちゃん!何があったの。誰に襲われたの。貞操は無事!?」
と物凄い驚いた顔で楓に掛け寄った。
その際に、俺の方を向いて「クルスお兄ちゃん、いらっしゃい。これからこの家に泊まるんでしょ?また稽古付けてね?」
と声を掛けてきた。
その声を聴いて紅葉の帰宅を知った楓がそちらを振り向き、微笑みながら近寄ってきた紅葉の頭を撫でて
「大丈夫ですよ。少しクルスさんとミックスペアバトルの為の訓練をしていただけですから。服も事情を話せば学園が支給してくれますし。火傷もクルスさんなら治療は問題ないらしいですから。・・・では、クルスさん。紅葉も帰ってきたのでそろそろ夕飯の準備を手伝いに行きたいですので、治療をお願いできますか?」
楓の言葉に俺は頷くと
(治療)
と念じながら右手を体の火傷部分に翳す。
すると、右手の掌が白く輝き始め、火傷の跡が無くなって行き、次第に輝きも収まって行く。
その行為を何度も行い、全身に瑞瑞しい潤いを持った白い肌が蘇って行くと、楓が感心しながら
「あれだけ赤く爛れて、水膨れのようになっていた肌が嘘のようですね。・・・アンッ!」
楓が感心して、感想を述べている所を苦笑しながら見ていた俺だが、ふと、隣を見ると紅葉の視線が俺と楓の白く潤いを持った肌の中にある、ある一点(綺麗なピンク色の突起)を交互に見ていることに気づき、俺は楓に気付かせる意味を込めて、その一点を指で弾いてやった。
「クルスさん、何を・・・あ!」
・・・どうやら、自分の現状と紅葉の視線と、その意味を理解したらしく、顔を赤く染めて、今更で遅いと思うが手で胸を隠してから立ち上がり、紅葉に向いて
「・・・コホン。さ、紅葉。今日はクルスさんも一緒ですから少し多めになると思うので手伝いに行きますよ?未来さんとクルスさんはゆっくりとして来て下さいね?それでは、夕食時に三日後の学園でのことについて少しお話がありますので、その時に序に今回の依頼の事について報告と連絡を行います。それでは、紅葉?」
「はーい。それじゃーね。お兄ちゃん。また、夕食で。」
「ええ、また後で。」
俺は紅葉と楓に手を振りながらその後ろ姿を見送った。
この後、家の中から「きゃーーー!楓その服どうしたの!誰に襲われたの!貞操は大丈夫なの?」
といった悲鳴が聞こえてきたのは余談なのだろう。
少しエロくなりましたが何とか抑えれている筈です
もし、やり過ぎならご指摘ください