表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
1/3

01

 ──ここは何処かの銀河の何処かの星系にある魔法の法則や理や概念が支配する惑星『マナルーン』のとある冒険者ギルド。

 スイングドアを開いて、年の頃は十代半ばな少女がギルド内に入ってくる。

 ギルド内にいる冒険者たちは、スイングドアが開くことで鳴る鈴の音を聞いて、入ってきた少女に一瞬視線を向けるも直ぐに視線を戻した。

 少女は威厳を出しているつもりなのか、上半身をふんぞり返しながら歩き、受付嬢がいるカウンターへ。

「──おい、我が出した『魔王の配下として共に世界征服をする同士募集』の依頼はどうなっておる? 半年も過ぎたのに、誰も我の所に()んではないか?!」

 そして、カウンターに辿り着くや開口一番にギルドへのクレームを入れた。

 クレームを付けられた受付嬢は苦笑いを浮かべつつ、片手でクエストボードを指し示し、

「あの様にちゃんと依頼書は貼り出してますよ」

 そうクレームを言ってきた少女に言い返す。

 さて、クエストボードに貼られている少女が出したと思われる依頼書には、

『──世界征服の同士、求む! いまなら、採用即で四天王に取り立てます──』

 という文言を皮切りに、好待遇を謳う文言が並ぶ。しかし、かの依頼書の依頼主が来ていることが、ギルド内に屯している冒険者たちに知れ渡ると、そこかしこから失笑と嘲りの言葉が漏れ聞こえてくる。だが、少女は動じない。眉一つ動かすことなく、彼女は何食わぬ顔。

「──……おい、あの変な依頼を出し奴の隣の見ろよ」

「ありゃあ、偽者の聖女じゃねーか」

「ああ、そういうこと」

 等々の嘲りが混じりだすと少女の能面のような顔は一変して、

「──おい、貴様ら、魔王たる我の罵詈雑言や嘲りは構わぬが、此奴を嘲ることは、何人足りとも赦さん!!」

 自らを魔王と称した少女の怒りが頂点に達すると同時に、濃密な魔力が彼女から溢れ出した。そして、溢れ出た濃密な魔力は質量を伴い空気を押し退けて、ギルドの内にいた冒険者と受付嬢たちを圧し、彼らの頭をテーブル・カウンター台・果ては床に押し付けた。

 偽者の聖女と呼ばれた少女が魔王の服の袖をくいくいと引っ張り、それで正気を取り戻した彼女は、ハッとなり魔力の放出を止める。

「すまぬ、ついカッとなってしまった。うむ、そうだな。人材集めは後回しにして、まずは強力な武器を手に入れるとしよう!」

 そう言って、魔王はギルドの窓から彼方に見える、惑星マナルーンとは双子連星の惑星『ロボトゲネシス』を見て、ニヤリと笑う。


 ──さて、幕間の合間に捕捉説明をすると、自らを魔王と称した少女と、偽者の聖女と言われた少女の話をしよう。

 かつて、聖女と呼ばれた『偽者の聖女』は、“頑張れば、願いは叶う”という信条の持ち主だった。そして、なんの因果か彼女は心を対価に支払って奇蹟を起こす能力を得た。その当時、少女の側には勇者と呼ばれる人間がおり、彼女の能力を使って片っ端から困っていた人を救っていった。

 結果、彼女の心は空っぽに。そこへ、間が悪いことに“自分こそが本物の聖女”と名乗る人物が現れた。既に、心が空っぽで奇蹟が起こせなくなった彼女は、案の定、お払い箱になった。そして、人々は彼女に『偽者の聖女』のレッテルを貼り、非道な酷いことを彼女にしたのだった。

 そうして、月日がある程度経ったある日のこと。

 諦観した彼女のもとに、魔王を名乗る少女が姿を現したのだった。


 ちなみに、“本物の聖女”と“勇者”ならびにその仲間たちは、とある町の広場で揃って生首を晒していた、のだとか。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ