# 第二部 第四話 絶望の魔将ギルガス
# 第二部 第四話 絶望の魔将ギルガス
魔界と人間界の連合軍が結成されてから三日後。
決戦の日が来た。
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境界平原。
数万の兵士が並ぶ。
魔界軍。
人間界軍。
本来なら敵同士。
だが今は同じ方向を見ていた。
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先頭には、
グラン。
リリス。
エリス。
ルシオン。
レオン。
セドリック。
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「緊張するな……」
グランが呟く。
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「魔王がそれ言う?」
リリスが笑う。
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「だって怖いし」
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「正直でよろしい」
エリスも微笑む。
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その時。
大地が震えた。
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ドゴォォォォォン!!
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遠くの山が崩れる。
空が黒く染まる。
そして――
巨大な影が現れた。
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身長十メートルを超える巨体。
黒い鎧。
六本の腕。
赤い瞳。
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絶望の魔将ギルガス。
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彼が歩くだけで地面が割れる。
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「来たか」
ルシオンが剣を抜く。
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ギルガスは笑った。
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『弱い』
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「は?」
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『全員弱い』
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次の瞬間。
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ドォォォォォン!!
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衝撃波。
ただ拳を振っただけ。
それだけで連合軍の最前列が吹き飛ぶ。
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「なっ!?」
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レオンが目を見開く。
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強い。
異常に強い。
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ベルゼヴァル級ではない。
だが、
今までの敵とは次元が違った。
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『絶望しろ』
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『それが我らの力だ』
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ギルガスの魔力が広がる。
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兵士たちの顔色が変わる。
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「もう無理だ……」
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「勝てない……」
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「逃げたい……」
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心を折る魔法。
絶望そのものだった。
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連合軍が崩れ始める。
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その時。
グランが叫んだ。
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「諦めるな!!」
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しかし。
声が届かない。
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絶望が強すぎる。
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ギルガスは笑った。
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『貴様の力では止められん』
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そして。
巨大な拳が振り下ろされる。
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狙いは――
グラン。
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「グラン!」
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リリスが飛び出した。
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「やめろ!!」
グランが叫ぶ。
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間に合わない。
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ドォォォォォン!!
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大爆発。
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土煙が舞う。
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静寂。
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「リリス……?」
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グランの顔が青くなる。
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土煙の中。
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リリスが倒れていた。
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「ば、か……」
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血が流れている。
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初めて見るほどの重傷だった。
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「なんで……」
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リリスは苦しそうに笑う。
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「だって……」
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「好きな人を守るの……当たり前じゃない……」
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グランの思考が止まった。
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周囲も静まり返る。
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エリスも。
ルシオンも。
誰も言葉が出ない。
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リリスは気付いた。
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「しまった……」
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つい本音を言ってしまった。
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顔が真っ赤になる。
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だが。
それ以上に。
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グランの怒りが限界を超えていた。
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「ギルガス」
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静かな声。
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今まで聞いたことがない声。
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魔王の瞳が紫に輝く。
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『ほう』
ギルガスが笑う。
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『怒ったか』
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「当然だろ」
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グランの周囲に、
膨大な魔力が集まり始める。
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その時。
エリスが隣に立った。
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「一人じゃありません」
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勇者の剣が光る。
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「私も戦います」
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ルシオンも前へ。
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レオンも。
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セドリックも。
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そして。
魔界軍も人間界軍も立ち上がる。
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絶望に飲まれかけた兵士たちが、
再び武器を握った。
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グランは笑った。
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「そうだったな」
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「俺は一人じゃない」
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ギルガスの表情が初めて変わる。
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嫌な予感。
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そして。
システムが激しく光った。
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新能力解放
【魔王と勇者の共鳴】
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条件達成
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魔王と勇者が同じ願いを抱いた時、
発動可能
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グラン
「え?」
エリス
「え?」
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二人同時だった。
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しかし次の瞬間。
眩い光が空へ伸びる。
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伝説にも存在しなかった新たな力。
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ギルガスが初めて焦る。
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『その力は……!?』
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## 次回予告
### 第二部 第五話
# 「魔王と勇者の奇跡」
グランとエリスの力が一つになる!
ギルガスを追い詰める連合軍!
そしてリリスが目を覚ました時、
まさかの修羅場が始まる!?
戦場で恋も大爆発!?




