## 第一話 イケメン魔王なんて聞いてない!
# 『魔王の世界もイケメンが人気!俺も魔王になりたい魔族のさえない一人!』
## 第一話 イケメン魔王なんて聞いてない!
魔界。
人間たちが想像するような恐ろしい世界ではない。
もちろん魔物もいるし、戦いもある。
だが――。
一番大事なのは。
**顔だった。**
「今年の魔王人気ランキング一位は、魔王レオン様です!」
広場の巨大水晶に映し出された結果に、
女性魔族たちは歓声を上げる。
「きゃああああ!」
「レオン様素敵!」
「角の形が完璧!」
「笑顔が反則!」
俺はその様子を見ながらため息をついた。
「またかよ……」
俺の名前は、
**グラン。**
十八歳。
どこにでもいる下級魔族だ。
黒髪。
平均身長。
平均能力。
顔も普通。
特技なし。
友達少なめ。
つまり――。
モテない。
「お前、またランキング見てるのか」
声をかけてきたのは親友のバルド。
筋肉だけは立派な牛型魔族だ。
「見てるんじゃない。勝手に目に入るんだ」
「諦めろ。イケメンが強いんだよ」
「なんで魔界までそんなルールなんだよ!」
俺は叫んだ。
人間界の噂を聞けば、
向こうもイケメンが人気らしい。
だが魔界も同じだった。
理不尽である。
「俺だって魔王になりたい!」
そう叫ぶと、
周囲の魔族たちが吹き出した。
「ぷっ!」
「グランが?」
「無理無理!」
「せめて顔をどうにかしろ!」
大爆笑だった。
心が痛い。
泣きたい。
帰りたい。
いや帰る家はある。
「くそぉぉぉぉ!」
その日の夜。
俺は一人で丘に座っていた。
夜空には紫色の月。
魔界の夜は妙に綺麗だ。
「魔王か……」
魔王になれば。
強さも。
名誉も。
金も。
人気も。
全部手に入る。
だが現実は厳しい。
歴代魔王は全員。
強くて。
カリスマがあって。
しかもイケメンだった。
「終わってるじゃん」
その時だった。
突然。
空から何かが落ちてきた。
「え?」
ドゴォォォォン!!
大爆発。
地面に巨大な穴が空いた。
「な、なんだ!?」
恐る恐る近づく。
穴の中心には、
黒い宝箱があった。
見るからに怪しい。
絶対に開けちゃいけないやつだ。
普通なら逃げる。
だが俺は普通ではない。
夢だけは大きい。
「開けるか」
ガチャ。
箱を開けた瞬間。
黒い光が溢れた。
『適合者確認』
「え?」
『歴代最強魔王システム起動』
「は?」
『魔王候補グランを認証しました』
「はぁぁぁぁ!?」
光が俺の体を包む。
頭の中に声が響く。
『目標。世界最高の魔王になること』
『達成報酬。すべて』
『失敗。特になし』
「失敗してもいいのかよ!」
『はい』
「優しいな!?」
『ただしモテません』
「それは嫌だぁぁぁぁ!!」
すると画面のようなものが現れた。
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魔王候補:グラン
レベル:1
魔力:5
剣術:2
知力:6
カリスマ:1
顔面偏差値:39
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「顔面偏差値まで表示するなぁぁぁ!!」
俺の悲鳴が魔界に響いた。
だが。
この日から。
さえない魔族グランの人生は変わり始める。
最弱。
不人気。
モテない。
そんな俺が――
やがて歴代最強の魔王と呼ばれることになるとは、
まだ誰も知らなかった。
## 次回予告
**第二話 「魔王システム最初の試練」**
最初のクエストはまさかの――
「一日で友達を十人作れ!?」
戦闘能力ゼロの試練に苦しむグラン!
そして謎の美少女悪魔が現れる!
「あなた、本当に魔王候補なの?」
波乱の魔王生活が始まる!




