恋人になった今は
「それにしても、今日の玲旺はずっと緊張してたよね?デートなんて慣れてるだろうに。どうしてなのかな?」
美涼が恋人繋ぎになっている手にキュ、キュっと力を入れながら、揶揄うような目を向けてきた。
実に楽しそうで、それは結構なことだが、まさかここで俺の緊張を弄ってくるとは……。
「うるせ。今日は絶対失敗できねえと思ってたんだからしょうがねえだろ。それとな、別に俺はデートに慣れてなんかいねえよ。むしろ、こんなのは今日が初めてだ」
「へ、へぇ~、そうだったの?ふ~ん?そうだったんだ。初めてだったんだ」
「なんだよ、その顔は。何か言いたいことでもあんのか?」
美涼が口元をニマニマとさせながら、手のキュ、キュを続けてくる。
「何も?ただ、玲旺の初めてだったんだなぁって思っただけだよ?」
「そうかよ」
楽しそうというか、嬉しそうというか、美涼のそんな表情を見ていたら、俺の口元にも自然と笑みが浮かんでいた。
こういうところでちょっとした幼さを感じさせるそのギャップも本当に魅力的で、マジで可愛かったからだ。
「それで、この後の予定は?どうするのかな?」
「あん?この後?」
「もしかして玲旺、何も考えてないの?」
「いや、だってもういい時間だぞ?」
「付き合う前のデートならそうかもしれないけど……、こ、恋人になった今は違うんじゃないかな?」
「美涼?」
頬を染めた美涼が恥ずかしそうにしながらも、俺を見つめてきた。
その瞳、表情、いやそれだけじゃなくて全身の雰囲気からも、なんて言うか艶っぽさみたいなものが溢れている気がするんだが。
「な、何?」
俺が名前を呼ぶと、まるで何かを期待しているかのように、美涼の声が弾んだ。
俺の望みを言ってもいいのだろうか?
いや、今日は散々本心をぶつけてきたんだ。
なら、最後までそれを貫く。
俺は自分から、美涼がやっていたように、恋人繋ぎになっている手にキュ、キュと力を入れた。
「今日はずっと美涼と一緒にいたい。美涼を離したくねえんだ」
「っ、……いいよ。じゃあ、玲旺の家に行こっか?」
こうして、俺達はずっと恋人繋ぎをしたまま、俺の住むアパートへと向かった。
そして、部屋に着いてすぐのこと。
「玲旺はもう望愛とはした?」
美涼がそんなことを訊いてきた。
「ああ。まあ、な」
状況的にめちゃくちゃ答えにくかったが、正直に答える。
「……何回したの?」
答えにくい質問パート2が来た。
「……四回」
「ふ、ふ~ん。そうなんだ」
「美涼?」
「――――玲旺!」
「おっと」
アパートへの道中はずっとしおらしくしていた美涼だったが、今の問答で火がついたのか、自分からギュッと抱きついてきて、俺を見上げるとその瞳を閉じた。
そんな態度を示されては、もう止められるはずがない。
俺は美涼に初めてのキスをした。
触れ合うだけの優しいキス。
ただ、それを幾度も繰り返した俺達は、徐々に激しさを増していく。
激しくキスをしながら、俺が美涼の服を丁寧に脱がしていくと、美涼も俺の服を脱がしてきた。
互いが下着姿になり―――。
「美涼。服と髪型だけじゃなくて、下着もすげー似合ってる。美涼があんまり可愛いからまた見惚れちまった」
俺は自分で言ったとおり、美涼の下着姿に見惚れた。
「は、恥ずかしいけど、うん……、気に入ってもらえたならよかった。すごく嬉しいよ」
美涼の気恥ずかしそうな、それでいて嬉しそうな様子に、俺は一つ思い至ることがあった。
「もしかしてだが、昨日デートを断ったのって、おしゃれしてくれるため、だったのか?」
昨日だって全然悪くないと思うのだが、今日の美涼は何から何まで可愛すぎるんだ。
「~~~~っ、そ、そういうことは聞いちゃダメだよ!?」
「わりい」
「だ、だって、せっかくの玲旺とのデートなんだから、おしゃれしたいに…、可愛いって思ってもらいたいに決まってるじゃない。昨日は、もう玲旺と関わっちゃダメって、そればかり考えてて、デートするなんて思ってもいなかったから……」
美涼がさっきまでのキスのせいとはまた違う理由で顔を赤くし、涙目になってしまった。
だが、俺は美涼の言葉が舞い上がりそうになるほど嬉しかった。
その想いのまま、美涼を抱きしめる。
「そっか。ありがとな、美涼。本当にありがとう。めちゃくちゃ嬉しい。昨日の美涼も好きだが、今日の美涼はそれ以上に綺麗で可愛くて最高だ」
「っ、うん……」
俺が本心を伝えると美涼からも抱きしめ返してくれた。
そして俺達は、燃え上がった気持ちそのままに、ベッドで互いを何度も求め合い、結局、夜が明けるまでに四回、体を重ねたのだった。
たぶん、いや、間違いなく、望愛とした回数が影響していると思う。
美涼が途中、「まだ三回目だよ?」と言ってきたからな。
ちなみに、美涼が好きなのは意外、でもないかもしれないが、対面座位だった。
俺が勉強を見てもらった礼を二人にしたあの日、望愛と俺が抱き合っているのを見て、自分もしたいとずっと思っていたそうだ。
基本的に受け身だった美涼だが、この体位のときに、一番蕩けた表情で、一番激しく乱れていた。
そんな美涼を相手にして、俺がさらに燃えたのは言うまでもないことだった。
お読みくださりありがとうございます。
とうとう一章の終わりが近づいてきました。と言っても、ストックはないので、あと何話になるかはまだわかりません。
次話以降もお楽しみいただけたら幸いですm(__)
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