ピンク髪ヒロインは理解不能
本日も、[日間]現実世界(恋愛) 連載中 2位 でした!読者の皆様、本当にありがとうございます!!!m(__)m
美涼はすぐに屋上へと来てくれた。
「玲旺君、望愛。全然来ないと思ったらどうして二人でこんなところに―――っ、望愛!?どうした?何かあったのか?」
最初は、何かを疑うような怪訝そうな表情をして俺達の元へ歩いていた美涼だったが、望愛の顔、恐らくは腫らした目元を見た瞬間、顔色を変え、駆け足になった。
「美涼さん……。ごめんなさい、私のせいで図書室での勉強会が……」
「そんなことはどうでもいいから!いったい何があったんだ!?」
「それは……」
望愛は困っているような、あるいは迷ってるような、そんな表情を浮かべて言い淀んでしまった。
そんな望愛を見て、美涼が俺に視線を向けてきた。
その目は明らかに、何があったか教えて、と俺に訴えている。
「ちょっと浅野絡みで色々あってな。悪いが望愛の傍にいてやってくれないか?で、できたら話を聞いてやってほしい。邪魔だったら俺は消えるからよ」
さっきあったことなら言えるが、俺の口から言っていいものか迷うところだし、望愛が考えたいことってのが何かは俺にもわからないため、美涼にはざっくりと伝えることにした。
「ああ、そういう……。もしかして望愛は、自分一人で解決しなきゃって思ってる?」
さすがは美涼と言うべきか。具体的なことはわからなくても、現状をある程度察したようだ。
「……はい。実際、これは私の問題ですから」
「それを言ったら、私だってそうだったよ。久住とのことは本当なら私の問題だった。でも、玲旺君も望愛も私を助けようと動いてくれただろう?だから今度は私の番だ。問題があるなら、どうしたらいいか、一緒に考えさせてほしい。玲旺君も同じ気持ちだよね?」
「まあ、そりゃ、な。俺にできることなんて、あんのかわかんねえけどよ」
美涼のときは漫画の知識があったから、ある意味、我武者羅に動けたが、今の望愛は漫画になかった状況だからな。
「美涼さん、玲旺くん……。ありがとう……。私……、昇くんとのこと、もうどうしたらいいのかわからないんです」
望愛の答えに、俺も納得した。だから一人で考えようとしていたのか。
「なるほど……、だいぶ思い悩んでるみたいだね。それなら、ちゃんと話を聞くためにも、こんなところじゃアレだから、場所を変えようか。そうだね……、ここは玲旺君の家を使わせてもらえないかな?」
「あん?なんでそこで俺ん家が出てくんだよ?」
突然のお願いに、昼休みのやり取りで、勉強会を俺の部屋でやろうとしたことが頭を過り、思わずジトっとした目を向けてしまう。
「っ!?ち、違うよ!?玲旺君の家に行ってみたいとか、望愛だけ行ったことがあるなんてズルいとか、そんなこと全く考えていないからね!?」
「……ならなんでだよ?」
美涼の慌てた様子に、俺はますます疑いを濃くする。
「んんっ…、こういうのは落ち着いて話せる場所が大切なんだよ。その点、玲旺君の家は徒歩で行けるし、一人暮らしだから、途中で邪魔が入ることもないでしょ?まあ、望愛の部屋というのもアリだとは思うんだけど……、望愛は話をするならどこがいい?」
「私は……、私も、玲旺くんの家がいい、かな」
「だ、そうだよ?今から行ってもいいかな?玲旺君」
美涼がいい笑顔を向けてきた。
俺に襲われるかもとか、全く考えてないとわかる。
信頼されてる、ってことなんだろうな……。
「……はぁ、わーったよ。望愛には前に言ったが、美涼も、部屋が散らかってるからって文句言うなよ?」
「ふふっ、約束するよ」
そうして、俺達は屋上を後にし、途中、俺は鞄を取りに教室に戻ったが、三人で校門を出るのだった。
アパートへと向かう道中で、俺達三人はケーキ屋に寄った。
前に、望愛が家に来たときは、飯を作るという目的だったため、特に気にならなかったが、話をするとなると、家には客をもてなせるようなものは何もないからだ。
ということで、今回は俺の奢りだと伝えて、店に入ったんだが、入るときに、「さすが玲旺君。ストレス解消には甘いものが一番だからね」と美涼に言われてしまった。
安直に、女は甘い物好き、くらいにしか思ってなかったのだが、どうやら正解だったらしい。
あと、女店員さん。俺が店に入った瞬間、「ひっ!?」って言っちゃったよな?
当たり前だけど、何もしねえよ?一応客だし、そんな怖がらなくてもよくないか?
女子二人は真っ直ぐショーケースの前に行き、楽しそうに話しながらケーキを選び始める。
望愛の機嫌もだいぶ持ち直してきたようでよかった。
俺はそんな二人を見守るように後ろで控えていたんだが……、店員さん、俺の見た目で、ケーキなんて似つかわしくないのはわかるが、怖がりながらチラチラ見てくるのも勘弁してくれねえかな。
するとしばらくして、美涼が俺の元へと寄ってきた。
「そんな後ろにいたら見えないでしょ?玲旺君もこっちに来て一緒に選ぼうよ」
言いながら、俺の右腕を取ってショーケースの前まで引っ張っていく。
「っ、玲旺君はどんなケーキが好きなのかしら?」
すると、望愛もなぜか俺に訊きながら左腕を取ってきた。
両腕が、同じようでそれぞれ違った柔らかさに包まれていて非常に心地いい。
ただ、どういう訳かその後も解放されることはなく、俺の腕は二人の胸にそれぞれ包まれたまま、ショーケースの前で三人並びケーキを選ぶことになった。
そうして、望愛と美涼から俺も何度か話を振られながら、全員ケーキを選び終え、俺は会計を済ませたのだが、そのときの店員さんの俺を見る目が、生暖かいものに変わっていた気がした。
解せねえ。
ちゃんと流れを見てたよな?別に、俺が二人を侍らせているとかではないからな?
最後にそんな納得のいかない気持ちになったが、ケーキ屋の次に向かったのはコンビニだ。
それぞれ飲み物を選んでもらい、ここも一応俺が支払いを済ませ、ようやく俺達はアパートに到着した。
「ここが玲旺君の部屋……」
三人で部屋に入ったのだが、美涼だけ、なぜかぼーっと突っ立ったまま、室内を眺めていた。
「どうした?美涼も適当に座ってくれ」
「あ、うん。男の子の部屋に入るのって初めてだから、なんだか新鮮でね。ふふっ、玲旺君、ダンベルなんて持ってるんだね」
「……筋トレが趣味なんだよ」
あれ?なんかデジャヴった?
「やっぱり目がいきますよね」
クスクス笑いながら望愛が美涼に言うと、何が面白いのか、二人でおかしそうに笑いだすのだった。
「それじゃあ、望愛。まずは今日何があったか教えてくれるかな?」
三人の前にそれぞれケーキと飲み物が並び、準備が整ったところで、美涼が切り出した。
ようやく、と言うか、いよいよ今日の本題だ。
望愛がアップルパイを食べながら、思い出すようにして話し始める。
昇が友達と喋っていた内容やそのときの雰囲気を、そして真実がどうであるかを―――。
「なんなんだそれは!浅野がそんな嘘を吹聴するような人間だったなんて……、彼女というものをいったい何だと思ってるんだ!?今からでも浅野のところに行って、私が投げ飛ばしてやろうか!」
苺のショートケーキを食べながら、相づちを打ちつつ、望愛の話を聴いていた美涼だったが、段々険しい顔になっていき、望愛が話を終えた瞬間、怒りを露わにした。
握った拳がプルプルと震えている。
ってか、昇のこと呼び捨てになってるし、相当腹を立ててんだろうな。
「大変よ、玲旺くん!美涼さんが本気で怒ってるわ」
「まあ、俺も気持ちはわかるからなぁ」
俺は買ってきたブラックコーヒーを一口飲みながら苦笑した。
話は俺もちゃんと聴いていたが、二人が徐々にヒートアップしていくのがわかり、傍観することにしたのだ。
「そんなことを言ってる場合ではないわ。本当に飛び出していきそうな勢いよ?だから、美涼さんにあ~んでケーキを食べさせてあげて!それで怒りは静まるはずよ!」
「……お前、何言ってんだ?」
思わず素でツッコんでしまった。
コーヒーを噴き出さなくて本当によかったぜ。
って、違う!
マジで意味がわからねえ。『だから』、以降が完全に理解不能だ。
このとき俺は、本気で望愛のことがわからなかった。
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