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【コミカライズ】夫に愛されなかった公爵夫人の離婚調停  作者: りょうと かえ
4-2 ふたつの因縁

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380.親としての迷い

 同じ頃、エミリアはワインを飲みながらロダンとうだうだ話していた。


 ついもう一杯、というか……かなり飲んでいる気がするのだが。


(私ってものすごーくお酒に強いのよね、びっくりする)


 エミリアは日常、お酒を飲まない。飲むのはほぼ仕事やロダン絡みだけ。


 それでも飲む時は猛烈に飲めるし、翌日にもさほど影響はない……はなかった。起きた直後こそ稼働率は低くなるが、急激に持ち直してしまう。

 二日酔いで半日、一日無駄にするということがない。


 なので飲める時は飲んでしまう。


 話は色んなところに転がり、大学の影の話に戻り、そしてフォードのところへと辿り着いていた。


 酔っている。

 エミリアもロダンも自覚があって、酒の席だから話せるようなこともあった。


「そろそろフォード君は初等学部を考える頃か」

「……そうね」


 エミリアはフォードの進路について、ロダンへ相談するのを躊躇していた。


 もちろんロダンが相談相手として最適なのはわかっているが……ひとつの理性として相談し難さを感じてしまう。


 が、今はシャレスとの会談後とお酒が入って、しかもフォード自身がいないので話がしやすかった。


「初等学部というのは、どこかの付属なのかしら?」

「そうだな……ほぼ大学に紐付いている」


 ロダンも酒を飲んでいたが、返答は明瞭だった。


「初等学部の場合は、そこまで子ども自体の学力は問われない。問題は金銭的な部分と本人の学習意欲だな」

「学習意欲は旺盛よ。金銭的問題もないように思うけど……」

「なら大丈夫じゃないか。俺の目から見てもフォード君は将来有望だ」


 うーむとエミリアが唸り、ワイングラスを傾ける。


 エミリアには前世の知識があるから、初等教育の大事さはわかる。

 反面、この世界は初めの一歩が重要でもある。その重みは前世とは比べ物にならない……なにせ貴族制がまだ厳然として存在するのだ。


 イセルナーレ魔術大学も早い子は14歳くらいで入学してくる……。色々と違うのだ。


 だから初めの一歩について、今の段階で決めていいのかは迷ってしまう。


 うーんうーん。


「……フォードと相談しないとね」

「俺も相談に乗るよ」

「ありがとう。この国のことを、私も学んでいる最中だから……頼りにしているわ」


 フォードは本を読むのが好きだけれど、そこから先をどうすべきは親として悩ましい。


 学者とか……でも、何の?

 ルーン魔術もやれるかもだけど、それでいいのだろうか、とか。


「俺も君も多分にだが」

「うん」

「魔術の訓練は楽ではない。苦しかった。ようやくそれを認めることができている」

「そうね…………」

「フォード君にそうさせたくはない気持ちはわかるが、もしかすると彼自身がそれを望むかもしれない」


 ロダンの深い青色の瞳がエミリアを見つめていた。


 確かに、そうだ。

 エミリアも虐待に等しい魔術訓練を受けて、それをフォードには一切していない。


 だけど彼が何を選ぶかはわからない。


「選択は無数にあるということね」

「うむ……もしかするとだが。あえて苦難の道を選ぶ子もいる。」


 広い視点で考え続けるしかない。

 でも今のロダンの意見はエミリアにはないものだった。


 最後のワインをぐっと喉へと流す。


 頑張ろう。実家のこともフォードのことも。今が色々と変わりゆき、やらねばならない時なのだ。

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