380.親としての迷い
同じ頃、エミリアはワインを飲みながらロダンとうだうだ話していた。
ついもう一杯、というか……かなり飲んでいる気がするのだが。
(私ってものすごーくお酒に強いのよね、びっくりする)
エミリアは日常、お酒を飲まない。飲むのはほぼ仕事やロダン絡みだけ。
それでも飲む時は猛烈に飲めるし、翌日にもさほど影響はない……はなかった。起きた直後こそ稼働率は低くなるが、急激に持ち直してしまう。
二日酔いで半日、一日無駄にするということがない。
なので飲める時は飲んでしまう。
話は色んなところに転がり、大学の影の話に戻り、そしてフォードのところへと辿り着いていた。
酔っている。
エミリアもロダンも自覚があって、酒の席だから話せるようなこともあった。
「そろそろフォード君は初等学部を考える頃か」
「……そうね」
エミリアはフォードの進路について、ロダンへ相談するのを躊躇していた。
もちろんロダンが相談相手として最適なのはわかっているが……ひとつの理性として相談し難さを感じてしまう。
が、今はシャレスとの会談後とお酒が入って、しかもフォード自身がいないので話がしやすかった。
「初等学部というのは、どこかの付属なのかしら?」
「そうだな……ほぼ大学に紐付いている」
ロダンも酒を飲んでいたが、返答は明瞭だった。
「初等学部の場合は、そこまで子ども自体の学力は問われない。問題は金銭的な部分と本人の学習意欲だな」
「学習意欲は旺盛よ。金銭的問題もないように思うけど……」
「なら大丈夫じゃないか。俺の目から見てもフォード君は将来有望だ」
うーむとエミリアが唸り、ワイングラスを傾ける。
エミリアには前世の知識があるから、初等教育の大事さはわかる。
反面、この世界は初めの一歩が重要でもある。その重みは前世とは比べ物にならない……なにせ貴族制がまだ厳然として存在するのだ。
イセルナーレ魔術大学も早い子は14歳くらいで入学してくる……。色々と違うのだ。
だから初めの一歩について、今の段階で決めていいのかは迷ってしまう。
うーんうーん。
「……フォードと相談しないとね」
「俺も相談に乗るよ」
「ありがとう。この国のことを、私も学んでいる最中だから……頼りにしているわ」
フォードは本を読むのが好きだけれど、そこから先をどうすべきは親として悩ましい。
学者とか……でも、何の?
ルーン魔術もやれるかもだけど、それでいいのだろうか、とか。
「俺も君も多分にだが」
「うん」
「魔術の訓練は楽ではない。苦しかった。ようやくそれを認めることができている」
「そうね…………」
「フォード君にそうさせたくはない気持ちはわかるが、もしかすると彼自身がそれを望むかもしれない」
ロダンの深い青色の瞳がエミリアを見つめていた。
確かに、そうだ。
エミリアも虐待に等しい魔術訓練を受けて、それをフォードには一切していない。
だけど彼が何を選ぶかはわからない。
「選択は無数にあるということね」
「うむ……もしかするとだが。あえて苦難の道を選ぶ子もいる。」
広い視点で考え続けるしかない。
でも今のロダンの意見はエミリアにはないものだった。
最後のワインをぐっと喉へと流す。
頑張ろう。実家のこともフォードのことも。今が色々と変わりゆき、やらねばならない時なのだ。
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