378.大学に潜むアレ②
昼間に行ってきた調査で、疑わしい地点はいくつか絞り込んでいる。
それらの場所は樹木や茂みがあり、なおかつ食事に関する場所だ。
学食、テラス、飼料の保管場所など。それらは灯りがあるので、夜でも監視がしやすい。
「とりあえず学食の近くにピザを置いてみますか」
「うん!」
学食は当然、夜は休みだ。
ただ、昼なら印象は全然違うだろう。学食は窓ガラスに覆われた明るめのレストランという作りだった。
魔力灯によってぼうっと明るく、比較的視界は維持されている。
周囲には外でも食べられるように、テーブルと椅子が並んでいた。
学食の周りには落ち着いて食事できるよう、茂みなどの自然が点在している。
(さて、戻ってくるでしょうか?)
フォードが箱からピザのピースをひとつ取り出す。そして茂みに近いテーブルの上へ、ピザを持っていく。
「ここでいい?」
「ええ、お願いします」
ルルはピザに一瞬、反応したが……顎の下を撫でることで気を紛らわせることに成功した。
「きゅうーん……」
「よしよし。あのピザはご飯じゃないですからね」
ふにふにふに。
セリスの撫でが心地良いようで、ルルはピザの優先度を下げた。
フォードがピザをテーブルの上に乗せる。あとはテラスの反対側のテーブルにもピザを置いて……。
そしてそろーりとセリスたちはピザを監視できる樹木の裏に隠れた。
「静かにね」
セリスの言葉にフォードがこくこくと頷き、ルルがぐっと羽で同意を示す。
あとは待つだけ。
深夜になっても困るのだが、その時はその時――すぐ結果を出せるとは思っていない。
じーっと周囲を警戒する。
「何か見つけても、静かに教えてね」
「はーい……!」
「きゅー……!」
フォードとルルは隠れ始めてから明らかにテンションが高くなっていた。
わかるわかる。
スパイ小説みたいなやり方だもの。
ただ、追っているのは野生動物だけど。
「……きゅ」
「茂みから来るかもだし、うーん」
前を向きながらフォードが唸る。
「猫ちゃんや犬ちゃんじゃないなら、キツネさんとかネズミさんとか……モグラさんとか?」
「きゅーい」
イセルナーレの街並みは綺麗ではあるけれど、下水や裏通り、公園も少なくない。小動物なら何でも可能性はある。
と、そこでルルがパチっと目を見開いて――ピザのひとつを見つめていた。
フォードとセリスもそれにならうと、ひとつのこんもりした影が動いているような。
(灯りから自分の身体を上手く隠してますね)
ただ、薄ぼんやりとした影から体長と体型はなんとなくわかる。
丸っこくて、もふっと。
背丈はルルと同じくらい……。丸さ加減もかなり似ているような。
「…………」
そのまま息を潜めて見ていると、件の動物がピザの置かれているテーブルに近づいた。
「……ごくり」
そのまま器用に半身だけテーブルに乗せると、腕だけを伸ばしてピザ生地をゲットした。
(かなり器用……?)
そして腕も丸っこくて毛並みがふさふさ――犬や猫、ネズミなどではない。
「くぅーん」
鳴き声がひとつしたと思ったら、影が素早く動き、テラスから逃げ出した。
「……! 追いましょう!」
「うんっ!」
勘の良い動物だ。逃げてから食べるつもりか。
丸っこい影は茂みに入らず、てててーっと駆けていく。
セリスたちはその影を追って、走った。
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