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【コミカライズ】夫に愛されなかった公爵夫人の離婚調停  作者: りょうと かえ
4-2 ふたつの因縁

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366.新学期前

 新年は仕事もなく、だらだらと過ごした。初めて仕事をしたのは、新年が明けて5日ほど経ってから。


 大学の仕事と並行して、魔術ギルドの仕事もちょいちょいと片付けていく。


 採点も大詰めに……やはり成績優秀者はガネットとキャレシーだった。


 座学はガネット、実技はキャレシーがやや上……合計するとほぼ同じくらい。


(やっぱりこのふたりは、あまり差がないのねー)


 ふたりはお互いに切磋琢磨している。それが良い傾向になっているのだろう。


 成績を大学に報告し、これで私の仕事は終わりだ。まぁ、一応異議申し立てがくれば対応しないといけないけれど。


 人のいない大学の野外のテラスにて、エミリアはルールーと向かい合って話をしていた。


「ルールーさんのおかげでスムーズに終わったわ……!」

「いえいえー! でも少しの間、気を付けてくださいね」

「それは……どういう意味で?」

「成績に納得できない学生から、カチ込まれる危険がありますからね」


 拳をぎゅっと握って警戒するルールー。


「あー……」


 エミリアがふむと頷く。

 ウォリスでもそんなことがあったような、なかったような。


 血の気の多い学生は成績に納得できないと先生に食ってかかる。


「私の時はなかったけれど、昔はお礼参りとかあったようね」

「ウォリスでもそんな風なことが……」

「あとは貴族の子弟が集まって教師へ抗議したり……」

「……それは圧をかけるため?」

「たまにねー」


 ルールーが戦慄する。


「集団で? それはイセルナーレにはないですねぇ」

「ええっ? 私がいた時はちょいちょいそういうのがあったと噂で聞いたけれど」


 こーいう細かい点ではやはり国の違いがあるようだ。


 ルールーと宅配ピザを食べながら、次の学期のことを聞く。イセルナーレでは2月頃から新学期。


 ただ、新学期の前には次の教える内容を詰めないといけないわけで。

 イチから作るとかなりの作業だ。


 資料を色々とテーブルに広げながら、ふむふむと頷く。


「でもそこは私が作ったカリキュラムがありますので……エミリアさんが私の作ったもので良ければですけれど」

「全然大丈夫よ!」


 エミリアにはルールーが光り輝いて見えた。なんと素晴らしい!


「元はと言えば、急遽のお仕事なので……でも良いのでしょうか?」

「うん?」

「普通、魔術師の先生はカリキュラムを自分で作りたがるのですけれど」


 小首を傾げるルールーにエミリアは軽く手を振った。


「私はあまりこだわりがないから」

「へぇー、なるほど……」


 これは多分に、前世の記憶も影響している。エミリアは道なき道を自分で作ったりするタイプではない。

 自分で何もかも作り上げるのは大変だと知っている。


 マニュアル8割、オリジナル2割くらいで満足するタイプだ。


 なので、すでにフローや手本があるなら活用することに一切の躊躇がなかった。


「あなたのほうはそれでいいの? お金も払うけれど……」

「そんな! 私の資料を使ってくださると、むしろ大学からお金が貰えますので」

「あ、そうか……そこまでお仕事だったということね」

「そうなんです!」


 ルールーがエミリアに手を合わせる。まるでエミリアの背後から光が差しているかのように。


「だから私の作業も口座も……! エミリアさんが私の資料を使ってくれれば救われるのです!」

「そうね、私の時間も救われるわ……!」


 んふふーとエミリアとルールーは微笑み合う。これぞWin-Winの関係というやつだ。


「さて、じゃあ来期のカリキュラムについて――あれ?」


 エミリアは首を傾げる。


「どうかしましたか?」

「ピザがもう一切れあったような……」


 ピザの入った箱はテラスの隅にあって、まだ食べている途中だった。


 でも記憶から1枚減っているような……。


(まぁ、いっか)


 話しながらだったので、食べたのかも。自信がない。

 それよりも大学の話のほうが重要だ。


 エミリアは深く気にすることなく、資料へと意識を戻したのであった。

【お願い】

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