361.料理もできる
フォードとルルがシャワーを浴びて戻ってくる。その時にはさすがにふたりともしゃっきりとしていた。
「ふぁー、いいお湯だったー」
「きゅーいー」
この世界のいいところはルーン魔術で現代的な生活が送れるところだ。
出てきたホカホカのふたりを拭いて、フォードに服を着させる。
「リビングで待っていてね」
「はーい。行こう、ルル!」
フォードがルルを伴ってリビングへ向かう。
エミリアはささっと浴室へ入り、素早くシャワーを浴び始めた。
フォードが生まれてから、早くシャワーやお風呂を済ませる術が磨かれたような気がする。
(まぁ、癖みたいなものかしらね)
やはりお湯は良い。アルコール後の気だるさがさっぱりと消える……。
10分ほどで浴室から出て、着替える。ふつーの部屋着だ。全然気合が入っていない。
「へぇー、本当にキリンさんって大きいんだ〜」
「ああ、俺の何倍も背が高い」
「すごー! それで首も長いんでしょ!」
「きゅう」
首が長いと大変ではありませんか?
ルルが軽く身を乗り出している……。
ルルはかなり丸いので、首らしい首はない。だから気になるのだろうか。
そこでロダンがエミリアに気付いた。
「エミリア、さっぱりしたか?」
「おかげさまで。朝食を完成させちゃうわね」
「出来る限り用意はした」
ロダンとともにキッチンに向かうと、ほとんどの部分が出来上がっていた。
あとはちょっと加熱すればいいぐらい……。
やっぱりロダンはできる男だ。
「残りは私が――」
と、言いかけてロダンが腰に腕を回してくる。フォードとルルからは見えない角度から。
「一緒に作りたい」
「えっ……?」
「君の家で、作りたいんだ」
かすかな熱と青色の瞳がエミリアを包み込む。瞳の中には「そうしたい」という強い想いがあった。
「ありがとう……。じゃあ、そうしましょ」
「ああ」
とはいえ、やることは多くなかった。コンロの火をつけて、フライパンを温める。
温めたフライパンに油をしいて、ベーコンと……それに割った卵を投入するくらい。
でも隣にロダンがいて、ひとつひとつの動作を彼と一緒にやると全然違って感じる。
ロダンが料理慣れしているのは、本当だ。むしろエミリアより上手いかも。
片手で卵を割れるのだから。
ぽんと割ってしまうのにはびっくりした。
「……プロっぽいわ」
「うん?」
「その片手で卵を割るの。私はできないもの」
「これか。野外訓練でやっていたら、できるようになっていた」
「器用すぎ……!」
「年上の騎士から習ったが、ふむ……今思えば彼の実家は食通貴族だったな」
「絶対にかなりの料理人よ!」
戦国時代にも同じような武将として、伊達政宗がいた。
武人でありながら献立から配膳まで行ったという。
その騎士も食べるだけでなく、自分で料理を作るほど好きになったのではないだろうか。
白身と黄身をフライパンに落とし、熱していく。見事な手さばきだ。
「かもな。君を驚かせられたのなら、嬉しい」
にこりと微笑みながらも、手は止まらならない。少なくともフライパンでエミリアの出番は――塩胡椒を振りかけるくらいだった。
にしてもふたりで料理をすると、なんと楽しいことか。
あっという間に朝食が出来上がり、リビングへと持っていく。
リビングではフォードがルルを抱えてお腹をむにむにしていた。
「わぁー、おいしそー!」
「きゅー!」
フォードとルルも食べ盛り。ふたりの分はたっぷり用意して、朝食だ。
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